222.唸る一刀
遅ればせながら、あけましておめでとうございますm(__)m
今年もどうぞよろしくお願いします。
そして更新が遅くなっており、申し訳ございません……
色々と忙しく、手がつけられない状況でした。
出来る限り更新の方を早めていきたいと思っていますので、何卒末永い応援のほどよろしくお願いいたします。
あと、本日はお知らせがありますので、最後までお読みいただけると幸いです。
「よし、これで下準備は整ったな」
『いよいよ正剣化か』
「ああ、腕が鳴るぜ」
剣としての潜在能力でこれほどまでに強力なものは多分ない。
まだ力を完璧に宿しきっていない現時点でもとんでもない魔力だ。
素材も竜玉をはじめとして厳選したものを使い、そもそものポテンシャルが高い中であの聖水の力だだから強力な剣が出来ないはずがない。
でもまだこれは真の意味で剣として成立していない。
これを更に完璧に、いや……この剣が本来あるべき姿になれるか否かはすべて俺の腕にかかっている。
失敗は許されない。
陛下のためにも、鍛冶師としての自分のプライドのためにも。
「……よし!」
息を整え、集中モードに。
作業台に剣をのせ、金槌を握る。
魔力を込め、力の限り刃に魂の一振りを。
とはいっても力を入れすぎないよう、剣に命を吹きかけていく。
すると徐々に刃が光を帯びてくる。
光の粒子が集まり、それが剣の中へと集約される。
子供から大人になる瞬間……とでもいえばいいか。
これが正剣化への合図だ。
「あと少し……」
常に大量の魔力を剣に込めないといけないからか、身体にも変化が出てくる。
汗が吹き出し、身体の芯から熱くなっているのが分かる。
そして同時に手の震えが生じてくる。
正剣化に伴う魔力流動の影響だ。
大量の魔力を浴びることは力と引き換えに、人にとっては毒になる。
さっきの聖水があった空間と同じだ。
だがここで少しでも手を狂わせれば、正剣化は失敗してしまう。
どんなに腕のある鍛冶師でもこの過程で失敗するのは普通のことだ。
だからこそ魔剣作りや聖威剣作りはほんの一握りの人間にしかできない。
その前に魔力の影響で自分が参ってしまうからだ。
「くっ……!」
腕が熱い。
焼けるような熱さだ。
でもここで失敗するわけにはいかない。
この世界に足を踏み入れてから、俺は新たな目標が出来たんだ。
最高の剣を作り、いつか親方以上の鍛冶師になる。
勇者としての夢は失ったが、今はこうして新たな夢に挑戦できている。
それを応援してくれる人間もいる。
こんなに幸せなことはない。
『どうだ。我が相棒は?』
「ああ。流石は俺の一番弟子だよ」
……ようやくあいつも一人前の一歩手前まで来たな。
……
……
「……よし、成功だ!」
『満足のいくものが作れたか?』
「ああ、間違いなく俺の最高傑作だ」
汗まみれの手をタオルで吹き、剣を手に持つ。
光を帯びたその一刀はまるで唸りを上げ生きているかのように銀色に光り輝いている。
「よーし、次でいよいよ最後の工程だ。グラン、手伝ってくれ」
『うむ』
俺は剣を片手に外に繰り出すと、最後の仕上げに入るのだった。
本話もお読みいただき、ありがとうございます!
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