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220.精霊湖の聖水3


 沈黙の時間は数分続いた。

 脳内に流れ込んでくる記憶のようなものがピタリと止まると、俺は小さく息を吐いた。


「どうだ?」


「なんか記憶のようなものが見えました。ハッキリではないですが」


「そうか。どうやら成功のようだな」


 親方はうんうんと頷くと、ニヤリと笑った。


「流石はシオンだ。初見で成功とはバケモノ魔力にもほどがある」


「えっと……あまり自覚はないんですけど、失敗するとどうなるんですか?」


「大体は魔力を吸われるだけで終わるが、最悪の場合は脳内を焼かれる可能性もある」


「脳を焼かれるって……」


 一瞬脳内に走った刺激……もしかしてあれが関係しているのか?


「とはいえ魔力を吸われるだけで終わったとしても魔力の枯渇で死活問題になることもある。吸われる魔力量は計り知れないからな。それがこの聖水の扱いが難しい一番の理由だ」


「普通の人間なら魔力枯渇で死んでしまうとはいうことか」


「まず間違いなくな。吸いつくされ、最後は見るも無残な姿になるだろうよ」


 なんか恐ろしいな。

 心の底から成功して良かったと思う。


「ともかく成功してホッとしたぞ。お前は聖水に認められたんだ」


「認められた……?」


「さっきも言った通り、この儀式には膨大な魔力が必要なのが大前提だ。その上で聖水は自らの力を与えるに相応しいか判断する」


「聖水が判断するって……まさか、生きているんですか?」


「生きている……というのはあながち間違いではないが、正確にはこの聖水に蓄積された残留思念が関係していると言われている。詳しいことは俺にも分からん。なにせ古代文明が残した遺産だからな」


 聖水に中には思念が宿っている。

 その中にある様々な想いが力を与えるに相応しい者か判断した……ということか?


 難しいな。


「ちなみに脳が焼かれるというのは聖水を行使しようとした者の魔力が反発し、聖水に宿る思念とぶつかった時に起きる。術を行使する時に一瞬だけ脳内に刺激が走っただろう?」


「あ、はい。痛みはなかったですけど、なんかこうガツンと来るような」


「それがずっと続いた時に思念が対立する魔力を呑み込もうとし、許容範囲を超える魔力量が脳内から吸われていく。あとは……さっき言った通りさ」


「なんかえげつない話ですね」


 あまり考えたくはないな。


「ま、とりあえず儀式は成功した。その剣はもう神器の力に片足を突っ込んでいる。後は……お前次第だ」


「はい。必ず満足のいく剣を作ってみせます!」


「うむ! いい顔だ。それでこそ我が愛弟子! がっはっはっはっは!!」


 親方の笑い声が空間内に響き渡る。


「では帰るぞ。あまり長居しては身体に来るからな」


「はい!」


 俺は祭壇に置いた剣を再び鞘に戻すと、再び聖水の力は封じられ、工房に戻ったのだった。

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