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218.精霊湖の聖水


 精霊湖の聖水。

 遥か昔、古代の精霊王が生成したとされる伝説の神水。


 その水を一度飲めば、不老不死の肉体へと変化し、全知の知識と永劫の命を手に入れられると言われている。

 更に武器の媒介にすればどんなガラクタだろうと神器並みの力を得るともされている。

 

 そのため、鍛冶の神ヴァルカンはこの神水欲しさに神の身分でありながら、精霊王に跪き、奴隷の如く足まで舐めたという伝承もある。


 神さえも屈服する伝説の神水……それが精霊湖の聖水なのだ。


 親方はそれを使ってみるかと俺に提案してきた。


「でも精霊湖の聖水って扱いが難しいと聞きますけど……」


「普通の人間ならばな。だが、お前とそこの黒い相棒が力を合わせれば大丈夫だろう」


 そう言って親方は俺に背中を見せると、


「ついてこい。聖水のある場所まで案内する。剣も持ってこいよ」


「は、はい!」


 親方についていくと、やってきたのは工房内にある書庫だった。

 ここには世の中に存在する武器のことや、鍛冶についての書物が何段にも渡って並んでいる。


 俺も勉強する時はこの書庫でよく知識を深めたものだ。


「親方、書庫で何を……」


「シオン、ここから先は他言無用だ。たとえ、工房内の人間でもな」


 親方は静かにそういうと、俺の目を見てきた。

 まっすぐに、俺の目を見ろと言わんばかりに。


「……分かりました。お約束します」


 俺はそう答えると、親方は小さく頷いた。


「よし、じゃあ行くぞ」


 親方は書棚の一部に手を当てると。


「異界の門よ。我がガレイド・ドルクの名において、封じの鎖を解き放つ……≪シュバリエート≫!!」


 流れる魔力。

 その魔力の行きつく先には巨大な魔方陣があった。


 手を当てた場所に発現した魔方陣に親方の魔力が流れていく。


『凄まじい魔力だな』


「ああ、封印系統の術式だろうけどここまで魔力が溢れ出るものは初めてだ」


『恐らく神位レベルの結界術式だろう。術式図は精霊術に近いが……』


「神級の魔術か……そんなものが」


 結界が解除されると、書庫が大きく横に開き始める。

 その奥にはいかにもたいそうなものが隠してありそうな、通路があった。


「封印は解除した。行くぞ」


 親方はずんずんと通路に足を踏み入れていく。

 俺たちも続いて入っていくと、自動で通路が塞がれていく。


「心配しなくても帰りは自動で開くようになっている。外側から入るには術式の解除が必要だがな」


 俺の心を察したのか。

 親方が横目で俺を見てくる。


「親方、さっきの術式って……」


「ん、ああ……まぁ昔色々あってな。魔法の類は一切使えなかったが、何故かあれだけは使えるのさ」


 とはいっても、さっきの尋常じゃない魔力は親方のものだ。

 あれだけの魔力があって魔法が使えないなんてことはないはずだが……


「なんだ、気になるか? 俺の昔話」


「い、いえ……単純に凄いなって思ったので」


「ガハハハッ! そりゃありがとうよ」


 正直、気になる内容ではある。

 が、不必要に他人の過去に首を突っ込むのは野暮というもの。


 ここは好奇心を抑え込まないと。


「ほら、見えてきたぞ」

 

 歩いて約二分といったところか。

 正面に一筋の光が見えてくる。


 光は徐々に広がっていくと、大きな講堂のような場所についた。


「あれだ。あの祭壇の上にあるのが精霊湖の聖水だよ」


「あれが……」


 ここから直視して約50mくらい先の祭壇。

 そこに置いてあったのは空色に羽の装飾で彩られた一本の壺だった。

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