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216.激励


「みんなを頼みます、ロサリア……ロサリー」


「あら、ようやく愛称で呼んでくれたわね」


 帰り際、俺はロサリーことロサリアさんと会話をしていた。

 厳密には帰ろうとした時に引き留められたのだが。


 ちなみにガロさんはもう少しいるとのことでまだ病室にいる。


「いや、今は二人きりですし隠す必要はないかなと」


「あらぁ~あららら~? 二人きりに時は呼んでくれるのね、ふふっ♡」


「余計に含みのある言い方をするのやめてください」


 昔からそういう人だったが、この辺は変わってないな。

 まぁ人なんてそう簡単に変わるもんじゃないか。


 リーフが別枠なだけで。


「あははっ、なんかそういうシャイなところ変わらないわねぇ。でも……」


 ロサリーはニコリと笑うと、


「それ以外は、本当に変わったわね」


「変わった……? 俺がですか?」


「ええ。以前いた時も五割増しくらいで明るくなった」


「五割増しって……」


 どれくらいなのか分からぬ。

 まぁ前比50%越えなのだから、相当良くなった……という認識で大丈夫なのだろう。


「別にそこまで変わってないと思いますけど……」


「馬鹿ね。主観的に見れば誰でもそう思うわ。でも客観的に見れば全然違うの」


「そういうもんなんですかね?」


「そういうもんよ」


 いまいちピンとこないな。


「ふふっ、ちょっと理解できないって感じの顔ね」


「まぁ……」


「でも貴方は本当に変わったわ。あの時の暗い貴方はもういない。まるで人生を一からやり直してきたかのように感情が豊かになってる」


「別人ってことですか?」


「う~ん、そういうわけじゃないけど、昔のいいところはそのまま引き継いでダメだったところがそぎ落とされたって感じかな」


「はぁ……」


「とにかく、貴方はもう昔に貴方じゃないってこと。良い意味でね!」


 昔の俺じゃない……か。

 確かに昔の俺はお世辞でも人間性が出来ているとは言えなかった。


 今でもそれが良いとは言えないと思うけど、考えてみれば明るい出来事が増えた気がする。


 ずっと一緒だった幼馴染に再開して、親友に再開して、そこから人の輪が広がって……


 昔は孤独感というか、一人でいた時の方が多かったからそこは何となく変わったような気がする。


 今では周りに笑い合える人がいて、助け合える仲間がいる。

 

「なるほど、そういうことですか」


「あら、なんかまたいい顔になったわね」


「少しだけ理解出来た気がします」


 まだ分からないところは多いけど……


「そ、なら良かったわ」


 ロサリーはまたニコッと優しく微笑むと、俺の方に手をのせた。


「また色々と苦労しているみたいだけど、頑張りなさい。できることなら私もサポートするから!」


「ありがとうございます。でもまずは俺の仲間たちのことを気にかけてやってください。あれでも結構精神的にはきていると思うので」


「もちろん分かっているわ。なんたって未来のお嫁さんもいるんだし」


「未来のお嫁さん……?」


「ま、それはまだ先の話か。とにかく、貴方も頑張りなさい。応援しているから」


 背中をバシッと叩かれ気合を注入される。

 最後の一言がすんごい気になったが、まぁ今は触れないようにしておこう。


「それじゃあ、また時間ができたら来ます」


「ええ」


 俺は小さくお辞儀をすると、病棟を去った。

 それを見送るロサリーは小さくため息を吐くと、


「はぁ……相変わらずの鈍感くんだねぇ。これは難儀なわけだ」

 

 少しずつ小さくなるその背中を見ながら、前途多難に思うのだった。

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