213.ユーグ戦2
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交わる剣。
響き渡る金属の音。
誰もいないこの空間に俺たちは互いに闘志の刃を向けていた。
「ああ、この感覚。あの時を思い出すなぁ!」
「そうだなっ!」
いつしかユーグの目には潤いが戻っていた。
そして代わりに燃えさかるような熱い眼差しを向けてくる。
「貰った!」
と、相手の観察をしているところで隙を見せてしまった。
ユーグはこれぞとばかりのその隙を狙ってくる。
だが・・・・・・!
「ふっ!!」
「なにっ!?」
その隙を逆利用し、相手の隙を誘導。
俺は剣を盾にすると、腹部めがけて一発喰らわせた。
「ぐふっ!!」
よろけるユーグ。
だがまだこれでは終わらない。
次の追撃をし、再び剣を構え、今度は彼の剣体を狙いに行く。
「ぐっ、やらせるか!」
しかしユーグも簡単には勝たせてはくれない。
俺の攻撃をなんとか受け止めると、距離を取った。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
さっきの回避行動で一気にスタミナを持っていかれたのか、ユーグの息は荒くなっていた。
「流石だな。さっきのは貰ったと思ったんだが」
「ふん、簡単にやられてたまるかよ。現役の勇者が何年も前に退役した奴に負けたなんて噂が広まったら、俺の立場がねぇからな」
この場には俺たちしかいないし、噂は多分広まらないと思うが・・・・・・
「さ、ユーグ。次は決めるぞ」
「望むところだ。俺も次で終わらせるつもりだったからな」
互いに決着の告知をし、相手に刃を向ける。
「行くぞ・・・・・・ッ、シオンッ!!」
「・・・・・・こいっ、ユーグ!」
ユーグはそう叫ぶと、一直線に突進してくる。
「こ、これは・・・・・・!」
覚悟という言葉が身体全体にあふれ出るような気迫だ。
「おりゃぁぁぁぁぁぁ!」
ユーグの刃が俺の剣体に直撃する。
一撃目は上手く受け流したが、二撃目はよろけを取られる。
「今度こそ貰ったぞ! シオン!」
三撃目。
その気迫溢れた剣筋が三度俺の剣体に向けて飛んでくる。
端から見れば勝負ありという感じだ。
が、これこそ俺が望んだ展開だった。
「悪いな、ユーグ」
「ッ!?」
ユーグの剣は勢いよく振られ、俺の剣体に直撃する。
「くっ!」
その一撃は身体全体に大きな負荷を与える。
ジーンとした振動が剣から身体に伝ってくる。
「はっ!」
だが俺はすぐに足場を切り替えると、浅い姿勢で逆に彼の剣を弾き飛ばした。
「なっ!!」
ユーグの体勢に大きな隙が生まれる。
このチャンスを逃すまいと俺は怒濤の剣撃を放つと、
「な・・・・・・うわぁぁぁっ!」
「これで、終わりだ」
最後の仕上げ。
俺は彼の剣を天高く吹っ飛ばすと、そのまま地面に突き刺さった。




