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210.二人の絆


「し、しーちゃん?」


「ま、マスター!」


 部屋に入った途端に声をあげるリィナとリーフ。

 その声の張りから元気さが伝わり、少しホッとする。


「二人とも、具合はどうだ?」


「うん。わたしは大丈夫だよ」


「もう何ともない。完全に回復した」


「そうか。ならよかった」


 とはいえ、まだまだ入院は必要とのことで、あと2、3日はここにいるらしい。


「良かった。リィナちゃんが無事で……」


 リィナの無事を見て、マスターことガロさんもホッと一息ついた。


「マスター、わざわざ来てくれたんですか」


「もちろんだ。聞いた瞬間に真っ先に店を出てきたよ。そもそも、こうなったのは俺の責任だから」


「責任……? どうしてマスターが?」


 リィナが疑問符を浮かべると、ガロさんは言いにくそうに表情を歪めながら答えた。


「その……彼との遊園地デートを勧めたのは俺なんだ。チケットも俺が手配してその後の様子も見ていたし……」


「あぁ、やっぱりそうだったんだ」


「そう。だから……っていまなんて?」


 ガロさんは一度言葉を止めると、リィナに問い返す。

 リィナはそんなガロさんを見て少し微笑むと、


「やっぱりあの視線はマスターだったんだ。入園する前から誰かに見られているような感覚があったから、何だろうって思ってたんだけどようやくスッキリしたよ」


「ま、マジで……?」

 

 ああ、やっぱりバレていたか。

 まぁあの熱い視線に気づかないわけがないよな。


 当の本人はかなり驚いているみたいだけど……


「ま、まさかリィナちゃんにまでバレていたなんて……」


「あんなに圧をかけたら誰でも気づくよ。わたしは遊ぶことに集中したかったから、気にしないように頑張っていたけど」


「くっ……俺もまだまだ未熟ということか!」


 未熟というか根本的なところを解決した方がいいと思う。

 特に服装とか……


「でも今回の件はマスターのせいじゃない。どちらにせよあの場に魔物が出ればたとえどこにいたとしても駆けつけていたと思うから」


「リィナちゃん……」


「今回はわたしが未熟だったからこそ招いたこと。だからマスターは気にしないで」


「ううっ……すまん、すまんよリィナちゃん!」


 落ち込むマスターをそっと励ますリィナ。

 そんな二人の姿を見ていると、その間にある友情が目に見えて分かった。


 本当の親ではないけど、傍から見ればお父さんと娘のようだ。


「なんだかほっこりするね」


「だな」


 そんな二人を見ながら、俺はリーフのベッドの近くにあった椅子に腰をかけた。


「しーちゃんもわざわざありがとうね。お見舞いに来てくれて」


「大事な仲間が傷ついたんだ。見舞いに行くのは当然だ」


「うふふ、やっぱりそういうところはしーちゃんらしいね」


「そうか?」


「うん」


 二コリを笑顔を見せるリーフ。

 俺としては、ごくごく当たり前のことをしているつもりなんだが……


「そういえばユーグの姿が見えないが、あいつはどこにいるんだ?」


 俺が部屋中を見渡していると、リーフが口を開いた。


「ユーグさんなら、屋上に行ったよ。風にあたってくるとか言ってた」


 風にあたってくる……か。

 ということは何かあるな。


「ん、どうしたの?」


「いや何でもない。ちょっと会いに行ってくるよ。あいつのことも心配だからな」


「うん、分かった」


 俺を席を立ちあがると、ユーグに会いに施設の屋上に向かうのだった。

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