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21.二人の魔人

度重なる誤字報告、ありがとうございます!

とても助かっております。


「とうとう始まりましたか」


「ああ。これでようやく目障りな勇者共を屠ることができる」


 同時刻。

 ベルガンの森のとある場所で二人の男は不敵な笑みを浮かべ、勇者軍の動向を見ていた。


「でもまさか召喚系魔獣をここまで承服させることができるとは。城を離れられてもお力はご健在のようで」


「ふん、召喚系魔獣如きいくらでも出せる。それに、あんなものは勇者軍の陣形を崩すための駒に過ぎない」


「では、仕上げは自らの手で行うと?」


「それこそ俺が望んでいたことだ。俺はそのために勇者軍に極秘潜入し、組織を自分色に染めることができるまでの地位を得たんだからな」


「なるほど。全ては計画通りってわけですか」

 

 ベルモットは顎に手を当てながら頷く。

 

 ベルモットは魔王軍の幹部の一人。

 魔王ガルーシャの元で直々に命令を承る六魔(ヴァース)の一人である。


 六魔とは魔王ガルーシャの直近で活動する上位魔族たちによって構成される組織。

 名前の通り、魔王軍には六人の上位魔族が魔王を補佐し、ゴルドもまたその中の一人だった。


「真の目的は魔王ガルーシャ様のご祝福を受けるため……ってところですか?」


「当たり前だ。俺は魔界を脅かす存在をこの手で排除し、最上位魔族への道を切り開く。勇者を滅ぼすほどの成果を上げられれば、ガルーシャ様もさぞお喜びになるだろう」


 魔界では魔王ガルーシャによって執り行われる”誓い”という儀式により、最上位魔族という地位を得ることができる。


 最上位魔族は六魔では到底干渉できないような重要な任務や仕事が与えられ、待遇も上位魔族とは比にならないほどで括りでは統べる者(ドミネーター)と呼ばれている。


 上位魔族にはない力も権力も持った魔族であり、六魔を魔王に代わって管理しているのも彼らである。


 まぁいわば魔王軍の大幹部という存在になる。


 魔族ならば誰もが最上位魔族への道を手に入れたいと思っており、ゴルドもそれを熱望していた。

 そして六魔と呼ばれる上位魔族は最も最上位魔族に近いと言われている者たちのことを指す。


 ちなみに最上位魔族は魔王であるガルーシャを含めて五人しかいない。

 実質、魔界ではその五人の魔族が政治から何までの全ての実権を握っている。


「いつまでもあんなクソ野郎どもの下で働けるか」


 ゴルドは魔王ガルーシャを除く四人に対してそこはかとない嫌悪感を抱いていた。


「昔から毛嫌いしていましたもんね。特にファルシア様との口論を外から傍観していた身としては実に愉快なものでしたよ」


 ニヤリと不気味な笑みを浮かべてゴルドの野望を聞くベルモット。

 その姿をゴルドはギラリと光る力強い眼で見ながら、


「何だベルモット。俺を侮辱しているのか?」


「いえ、素直な感想を述べたまでですよ。それはそうと、勇者軍の勢いが強まってきましたよ。どうやら彼らが現地入りしたようですね」


「Sランク勇者たちだな?」


「はい。ただ、現団長の姿は見えないようですが」


「リベルカのことだ。どうせ城籠りでもしているのだろう。臆病なのは昔から変わらんな」

 

 ゴルドは勇者軍のことなら全て把握していた。

 魔族として勇者軍を潰すために身元を詐称して内部に潜りこみ、地位と名声を得て団長の座にまで登りつめ、そして自分ありきの組織へと少しずつ変えていった。


 ベルモットの言う通り、全て計画の内だった。


「おっと、どんどん魔獣たちの勢いが弱まってきてますね。どうするんですか? ゴルドさん」


「Sランクどもはこの俺が直々に始末する。団長であるリベルカもまとめてな」


「私の力は必要で?」


「いらん。今の勇者軍如き俺一人の力だけで十分だ。お前はさっさと城に帰ってガルーシャ様に現状報告でもしてくれればいい」


「承知しました。では、この件に関しては手出し無用との認識で宜しいですか?」


「構わん。元々この俺が立案した計画だ。責任はこの俺が最後まで取る」


 自信満々にそう話す。

 ゴルドは自分の勝利を確信していた。


「であるならば、私はこの辺で失礼させていただきますよ。くれぐれも油断なさらぬように……」


 そういうとベルモットはその場から消えるように姿を消す。


「ようやくだ。ようやくこの俺の野望が叶う時が来た。ふふふ……はははははっ!!」


 ベルガンの森の奥深く。

 野望に浸る一人の魔人の高笑いが盛大に響き渡った。

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