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203.統べる者

新年、あけましておめでとうございます。

今年も引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします!



 突然姿を現す謎の魔人。

 その魔人は挨拶をすると、ニコリと爽やかな笑みを浮かべた。


統べる者(ドミネーター)だと?」


「そうだよ。聞いたことはないかな?」


 初耳だ。

 だが分かることが一つだけある。


 それはこいつが今まで戦ってきた魔人の中では群を抜いて強大な魔力を持っているということ。

 ゴルドやバルガも結構な魔力の持ち主だったが、それとは比べ物にならないくらい。


 かなり大玉だ。


「とうとう幹部様のご登場ってわけか」


「幹部……まぁ、人間界の言葉を借りるとそう言うのもかもね」


「何をしにきた?」

 

 俺の一言にヴァンゴッドと名乗る魔人は答えた。


「君たちに会いにきたのさ」


「俺たちに?」


「そ! あのゴルドやバルガを倒したのがどんな勇者たちなのか一目見たいと思ってね。遠路はるばる魔界からやってきたのさ」


 なるほど。

 何となくコイツの意図がわかった。


「わざわざこの場所を襲わせたのも俺たちを誘き寄せるためってことか」


「そゆこと! 流石はグループのリーダー、中々頭が回るようだね」


 ヴァンゴッドは続ける。


「でも君の場合はそっちから来てくれたから、ちょっと予想外だったかな? そちらのお嬢さんと仲良くデート中だったみたいだし」


「うっ……!」


 掘り返してほしくないことを……

 同じ想いだったか、隣にいたリィナも横に顔を背けていた。


 それに対を成すかのようにユーグが俺の方を睨んでくる。


「ま、そんなことはどうでもいいや。僕の目的はほぼ達成しているし」


「目的?」


「さっきも言った通り、君たちに会うってことだよ」


「本当にそれだけか? 戦いに来たんじゃないのか?」


 俺がそういうとヴァンゴッドは顎に手を据えた。


「戦いかぁ……今回は考えてなかったかなぁ~」


「なんだと?」


「今日はあくまで挨拶をしに来ただけなんだ。世の中には順序ってものがあるからね」


「順序だと?」


「うん。それに――」


 ヴァンゴッドは一拍置くと、不敵な笑いを見せながら。


「ここで僕と戦うと、君たちは先を絶望することになるだろうからね。まだ六魔との闘いも終えていないんだし」


「どういう意味だ?」


 余裕の態度を見せるヴァンゴッドに俺が問うと。


「さっきも言ったけど、僕は魔王軍の序列五位なんだ。魔王様を除いてね。ということはつまり、僕は幹部の中では一番の雑魚ってわけだ」


「……」


 要はこいつより強いヤツが魔王を含めて五人いるということか。

 

 コイツはさっき自分と戦うと絶望すると言った。

 挑発的な言動だが、冷静に考えてみればそれはあながち間違いではない。


 悠々と話す魔人(こいつ)には底知れぬ余裕があった。

 その余裕は強者にのみ許された特権。


 奴は力を最大限にまで隠しているみたいだが、魔力の質を感じ取れば一発で分かる。

 

 コイツが言っていることは、嘘ではないと。


「君なら何となく分かっているんじゃないかな。僕の言った言葉の意味が」


「まぁな」


 少なくともここで戦えば全員怪我が済まないだろう。

 最悪の場合は、殺されても可笑しくはない。


「いちいち腹立つ野郎だな。おい、シオン。やるならやっちまおうぜ」


「でもここでやりあったら……」


「間違いなくこの辺は吹き飛ぶことになる……」


 感情的になっているユーグは差し置き、二人は相手の力量を把握できているようだ。

 

 リィナの言う通り、戦闘を開始しようもんならこの辺は戦火の業火で焼かれることになる。

 

 しかもここは王都の敷地内。

 更に被害者が増える可能性もある。


 やり合うのは賢明な判断では――


「ん……?」


 突然。

 上空からポツンと一筋の光が現れる。


 その光は徐々に大きくなると、目の前で勢いよく落下した。


「な、なんだ……?」


 地面に埋まったそれは、光に包まれたながら、自力で浮遊する。

 そして俺の元へふわふわと寄って来ると、光は徐々に弱まっていく。


 そして。

 光が完全に消えた時、姿を見せたのは一本の剣。

 それも、見覚えのあるものだった。

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