199.全滅
リハビリ&勉強がてら新作を出してみました。
詳しくは後書きにありますので、是非ご覧ください。
「はぁ………ッ!」
――GYRUUUUUUUUUUUUUU!!
会心の一撃を浴び、倒れ込む魔物。
他の三人も各々任された魔物を倒しきったみたいで。
「これで三カ所目か。一体どうなっているんだ?」
「魔物はこの遊園地エリアに広く出現しているみたい。駆けつけた援軍から今、別の場所にも現れたって通信魔法が飛んできたわ」
最初に現れた魔物を駆逐した後、俺たちは今回のを含め、既に三カ所のエリアを回っていた。
リーフの情報だとまた別の場所に同じ魔物が現れたらしい。
ちなみにパーク内いた市民たちは誘導隊として編成された勇者軍部隊の尽力で何とか全員外に出すことが出来た。
だから今パーク内は俺たちと勇者軍の人間……そして敵しかいない。
幸い大きな被害は出ていないらしく、負傷者も数名程度で全員軽傷という半ば奇跡に近い被害で済んだ。
勇者軍の迅速な対応が成果に結びついたと言えよう。
「そっちの方は大丈夫そうなのか?」
「うん。今のところは問題ないみたい。結構な数で対応しているっぽいから」
「にしても、こりゃちょっと異常事態だな。予め情報はあったものの……」
「情報?」
「ああ。実はほんの二時間くらい前に妙な手紙が本部宛てに届いたらしくてな」
「妙な手紙?」
「『本日未明、グレズリー・ワールドにて死の雨が降り注ぐ。覚悟を持って、運命を受け入れよ』って書かれた手紙が本部内の郵便ポストに入っていたんだと。それで俺たちはその確認の為にリベルカ団長から直々に命令を受けて、ここに来たってわけ」
「そんなことが……」
「最初は誰かの悪戯かと思っていたから、現地入りして様子を伺っていたんだが、まさかこんなにも早くアクションをかけてくるとはな……保険部隊を配置しておいて良かったぜ」
「でもおかげで手紙の通りに死の雨が降り注ぐことはなかったから、良かったよ」
「まぁな。とりあえず市民は守れたから一安心よ」
ちなみに今回の一連の任務の指揮は二人が執っていたみたい。
流石は現役のSランク勇者だ。
その看板は伊達ではない。
「ところでよ。お前たちこそ、何でこんな場所にいるんだ? さっきの反応だと、今回のことは知らなかったんだよな?」
ギクッ……!
そうだった。
俺たちはさっきまでこの二人と鉢合わせになるのを避けるために、行動していたんだった。
魔物のことで気を取られていて、すっかり忘れていたけど。
「ええ、いやぁ……俺たちはただ観光しに来ただけだ。たまには遊園地もいいじゃないかなって思ってさ」
「ほう、二人きりでか?」「二人きりで?」
「ぐっ……!」
ハモりを添えて、一気に向けられる疑いの視線。
特にユーグはその疑いの眼差しが強かった。
すると、ハッと思いついたようにリーフが口を開いた。
「あ、しーちゃん、もしかして……デー――」
「本当なのか、シオンッ!」
「え、なにが!?」
リーフが言葉を発する前にユーグが遮ると、即座の俺の両肩に手を乗せた。
そしてブンブンと俺の肩を揺らしながら、訴えかけるような目で俺を見てくる。
「お、お前、いつからリィナちゃんとそんな関係になってたんだ? この俺を差し置い――この恋愛マスターである俺に知らせもせずに!」
あ、なんか言葉を言い換えたぞこいつ。
でもおかげでユーグの言いたかったことがよく分かった。
俺は迷わず、その問いに答えた。
「いや、誤解だって。俺たちはお前が思っているような関係にはなってない」
「ほ、本当なのか?」
「本当だって。な、リィナ?」
横目でチラッとリィナの方を見ると、彼女はコクリと頷き。
「そうですよ、ユーグ先輩。わたしたちはただ遊園地へと遊びにきただけです。先輩の思っているような如何わしいことは何もしてません。それに誘ったのはわたしのほうですし」
「お、おいリィナ。その返答は――」
「やっぱそうなんじゃないか! てか誘われたって……貴様、俺の心の内を知っておきながら……!」
「いやっ、だから……!」
ああ、これはかなり面倒なことになってしまった。
確かにリィナの言っていることは間違いではない。
間違いではないけれども……
(ユーグがリィナに好意を持っているなんて、言えないからなぁ……)
どうしたものか。
このままでは――
「えっ、本当ですかっ!?」
と、そんなアホみたいなことで頭を悩ましていた時。
脇からリーフの驚嘆の声が耳に入ってきた。
俺たちの視線は一挙にリーフへと集まる。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
俺がそう問いかけると、リーフは声を震わせながら。
「ぱ、パーク内に入っていた別動隊が全滅したみたい……」
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