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187.実際どうなのよ?


 俺は今、ひょんなことからリィナの行きつけのお店で後片付けの手伝いをしている。

 いつもはのほほんとしているリィナも今はかなり活動的でバッシング作業でお店の中を右往左往していた。


 行動から見て貢献したいという想いが露わになっているのが分かる。


 あ、ちなみに俺は厨房で御皿洗いを任された。

 

「俺も普通の生活を送っていたなら、こんな風にアルバイトしていたのかな……」


 なんだかんだ振り返ってみると俺の人生は普通じゃないことが分かって来る。

 特に他の人の話を聞いていると尚更だ。


 勇者になりたい、そう思った時から人生の形というものが変わったのだろうか。


 いや、違うな。

 俺が勇者になるのはある意味では必然的なことだった。


 多分、人生が変わったのはあの時の――


「シオンくん! どうしたよ、浮かない顔して!」


「が、ガロさん!?」


 突然背後からバシッと背中を叩かれるもんだからビクッとしてしまう。

 驚きで心臓がバクバクだ。


「あ、もしかして手伝いについて不満があったのか? そうだったら、本当にすまない……」


「ち、違いますよ! ちょっと考え事をしてただけです」


 手伝いに関してはむしろ喜んでさせていただきたいくらい。

 いつも友人がお世話になっているから、という諸々の意味を込めてね。


「そ、そうか? 遠くから見ていて結構な哀愁が漂ってきたから、心配になってな」


 俺、そんなに哀愁をただ寄せていたのか……

 まぁ、あまり良い過去じゃないしな。


「すみません、ご心配をおかけしてしまって。俺なら大丈夫です」


「そうか。何かあれば気兼ねなく相談してくれよな! 俺はいつだって相談に乗るぜ? あのリィナちゃんのお友達なら尚のことだ!」


「ありがとうございます」


 初めて来た時も思ったけど、本当に良い人だな。


 リィナが一所懸命に頑張る理由が良くわかる。


「ま、言えない悩みがあったとしても俺の料理を食えばそんなもん解決だ! だから、いつでも食いに来てほしい。もちろん、特別サービスてんこもりでな!」


「ど、どうも……」


 リィナも同じこと言ってたな。

 美味しい物を食べると気持ちが少し軽くなるのは確かだろうけど。


「んでさ、シオンくん」


「は、はい?」


 空気は一変し、ガロさんは俺の首に手を回してくる。

 そして顔を近づけ、


「どうよ、最近は?」


「さ、最近と言いますと……?」


「リィナちゃんとの関係だよ! あれから進展したのか?」


「い、いや……」


 進展と言われてもそもそもリィナとはそういう関係じゃないしなぁ……

 友人としてならたまに買い物に行くくらいしか……


「どうだ? もうキッスはしたのか? それとももう行くところまで逝っちまったのか!?」


「いや、ないですから! そもそも俺とリィナはそういう間柄じゃないですし!」


「えっ、違ったっけか? 可笑しいな俺の脳内では二人はアツアツの恋人のていで認識していたのだが……」


「それは自己捏造です。間違いなく」


 俺がリィナとそういう関係……考えもしないことだった。

 というか俺の年齢とリィナの年齢を考えると色々とマズイ。


「そうか……二人はまだ友人関係だったのか。すまない、勝手な勘違いをしてしまって」


「だ、大丈夫です……」


 分かりやすくしょんぼりするガロさん。

 もう見ても、よほど彼女のことを気にかけているのが分かる。


 確か前に来た時もリィナのことを気にかけてくれって言ってたし。


「まぁなんだ。俺が言うのもあれだが、彼女は相当な優良物件だと思うぞ? あ、今の時点では優良な投資物件ってところか。まだ年齢は幼いが、大きくなったら相当なクールビューティーに化けると思ってる」


「それは俺も思います」


 正直に言おう、リィナは可愛い。


 普段でもその美貌からで軍内の視線を集めているのが何よりの証拠だ。


 まだ年相応の幼さはあるが、全体的に発達途上なだけで全く色気がないわけじゃない。


 ガロさんの言う通り、将来は予想を遥かに上回る美女と化していることだろう。


「だろ? 俺ももう十数年生まれるのが遅かったらなぁ……即告ってたのに」


「あはは……」


 ガロさんのことだからこれも本心なんだろうな。

 実際、ガロさんのリィナに対する愛はとても大きいものだって分かるし。


「んで、シオンくんよ。実際どうなのよ?」


「どうって言いますと?」


「恋人じゃなくても、これからそうなる可能性だってあるわけだろ?」


 まぁゼロではないだろうけど……


「それとも、リィナちゃんはあまりタイプではないとか?」


「そういうわけじゃ……」


 タイプじゃないというよりは俺にはもう――


「じゃあ、もう言っちゃおうゼ! 俺はリィナちゃんの好みとか完璧に把握しているから色々と助言できると思うし!」


「え、いや……俺は……」


「よっしゃ、そうと決まれば準備が必要だな。ちょっと待っていてくれ!」


「あ、ガロさ……行っちゃった……」


 何か変なヤル気を出させてしまった。


 にしてもどうしよう……これはまた……


「面倒なことになったぞ……」

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