表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

182/265

182.大掃除


「こ、これは……中々酷いですね……」


「凄いだろ?」


「は、はい。正直、驚きました……」


 場所は工房内にある大倉庫。

 普段はゴミ置き場として使われている倉庫なのだが、ここへ彼女を連れてきたのは……


「まぁこれを見てもう察しているかもしれないけど、ここの掃除を手伝ってもらいたいんだ」


 そう、俺が彼女に求めた償いは大掃除の手伝いだった。

 ここには今まで工房内で出た大量の鉄くずや色々な経緯で生まれたガラクタが眠っているまさに工房版貝塚みたいな場所。


 一応何度か掃除はしているのだが、日々の作業でゴミは増える一方で。

 最近では工房もそこそこの知名度を得てきたからか、仕事量に比例してゴミの山は遂に大倉庫の天を突いてしまうまでになっていた。


 流石にこれ以上、増えると倉庫から溢れかねない。


「と、いうことでみんなでここの掃除をしようってわけだ」


「なるほど、事情は分かりました。でも、これだけでいいんですか?」


「もちろん! ここの掃除をしてくれるだけでも俺たちとしては大助かりだし。工房のみんなも喜ぶから」


 それに、いずれはやらないといけないこと。

 正直な話、掃除とかで普段の業務を阻害されたくはない。


 特に今のように仕事量が増えている時期はそっちに集中したいというのが俺たち職人の本音なのだ。


「そ、そういうことでしたら。喜んで掃除をさせていただきます。ですが一つだけお願いが……」


「なに?」


「今回はあくまで私の失態で招いたことです。なので今回の掃除、私一人でやらせてもらえませんか?」


「えっ、この量だよ? 流石に一人じゃ……」


 処理できないだろう。

 ぶっちゃけ俺とグランが本気になってやっても一日で終わるかどうか……


 でも彼女は真剣だった。


「お願いします。自分の犯した罪を身を持って感じ、反省するために。どうかこの場は私に任せてもらえないでしょうか?」


「う、う~ん……」


 何となくそう言うかなと思ってはいたけど、まさか言ってくるとは……

 

 でも一人で捌くにしては流石にオーバーな量だ。

 

 それにリラちゃんはまだ年端もいかない女の子。

 力的にも体力的な面でも一人で任せてしまうのは何と言うか、罪悪感がある。


(でもこの様子じゃ絶対にひかないよなぁ……)


 だって眼が本気(マジ)だし。


 まぁでも確かにこれは彼女が罪を償いたいと言って提案したことだ。

 もし自分が逆の立場だったら同じことを言っていただろう。


 良心で言っていたつもりだったけど野暮な行為だったみたいだ。


「分かった。んじゃここの掃除をお願いできるかな?」


「はい! お任せください!」


「あ、でも無理だけはしないでね。中には重たいものもあるだろうから、何かあれば遠慮なく呼んで。俺はここからすぐ近くの作業台にいるから」


 少し心配しつつも。

 俺はその場に彼女だけを置いて、立ち去った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻冬舎コミックス様より
コミックス4巻発売中!
現在「comicブースト」様にて好評連載中です!
俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件

i801353


↓comicブースト様連載サイト↓
俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件



↓幻冬舎コミックス様紹介サイト↓
俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件



アルファポリス様より
小説2巻発売中!
無能と蔑まれし魔術師、ホワイトパーティーで最強を目指す

i801359


↓アルファポリス様紹介サイト↓
無能と蔑まれし魔法使い、ホワイトパーティーで最強を目指す

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ