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180/265

180.捧げます


『朝から災難だったな……』


「全くだ。今日は最高の一日になりそうだよ」


 部屋の窓際で大きなため息をつきながら、俺は空を見上げる。

 あの後、俺たちは親方を説得し、何とか状況を収拾。


 同時にいいタイミングでリラちゃんが起きてくれたからか、ようやく解放されることとなった。

 リラちゃん自身は起きて早々、軽いパニックになって大変だったけど、大事(おおごと)になるのだけは回避することができた。


(ホント、朝から心臓に悪すぎだわ……)


 最初は怪しんでいた親方だったが、俺の言うことだからと言い分を認めてくれた。

 とりあえず、良からぬ波紋を広げることを阻止できたから良かった。


「はぁ……なんかすっごい疲れた」


 一応親方からはまだ勘違いされたままで、今日も休んでいいと言われている。

 今日は朝からバリバリ動く予定だったけど、気力を削がれたせいでやる気が出ない。


 だからこうしてのんびりとしているわけだ。


「流石に午後からは働かないとな……」


 依頼されている剣の完成にはまだ程遠い。

 より良い一本を造るには一日でも多く稼働せねば。


「一応次のステップを考えておくか……」


 俺は自前の手帳を開き、これからやらないといけないことをスラスラと書いていく。


「えーっと、次はいよいよ魔剣化に――」


『待て、シオン。どうやら来客みたいだぞ』


「え?」


 グランの言葉で扉の方を振り向くと、そこに立っていたのは……


「り、リラちゃん?」


「あ、あの……今大丈夫でしょうか?」


 開けっ放しの扉の前で立ち止まる彼女。

 頬を紅に染め、恥ずかしそうに身体をモジモジとさせていた。


「どうしたの?」


「え、えっと……今朝は本当にすみませんでした。わたしのせいで、シオンさんに多大なご迷惑を……」


「そのことならもういいよ。リラちゃんも悪気があってやったわけじゃなかったんだし」


 というか俺の方こそ、謝りたいくらい。

 俺とグラン以外胸の件は知らないからな。


 面倒なことになるのはアレだからということで言わないようにしたけど、罪悪感が凄い。


「で、でもシオンさんに迷惑をかけてしまったのは変わりありません。この件は後日しっかりとした形で謝罪しますので……」


「いや、本当に大丈夫だから。気にしないで……」


「いえ、それではわたしの気が収まりません。どうかわたしに謝罪をさせてください」


 引き下がらないリラちゃん。

 昨日の戦った女の子と同一人物なのが未だに信じられない。


 通常時は本当に性格が真逆なのだ。


「謝罪といっても、リラちゃんは俺に何をしてくれるの?」


 これ以上、言っても無意味っぽいのでリラちゃんのやりたいようにさせてあげることに。

 だが、この気遣いが逆に仇となった。


 リラちゃんは俺の問いにすぐに答えた。


「そ、その……わたしの……わたしの……」


「わたしの……?」


「す、全てを……シオンさんに捧げますっ!」


「……はい?」


 今まで以上に顔を真っ赤に染めながら。

 彼女はとんでもない発言を口にしたのだった。

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