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134.お願い


「それじゃあ、二人とも。また本部で」


「ありがとうございました、アゼル副団長」


「ありがとうございました」


 店から出た後。

 俺たちはアゼル副団長と別れ、近くのリフレッシュスペースで身体を休めていた。


 なんだかんだずっと歩き回っていたためか、身体に結構疲れがきている。


「いやぁ~ショッピングするのって中々体力がいるね。こりゃ鍛錬よりもきついかも」


「先輩は普段はショッピングとかはしないんですか?」


「う~ん、あまりしないかな。俺は基本的に取り寄せてもらう方だからね。行くとしてもデートとかで行くくらいかな~」


「それは意外ですね。先輩はこういうのに慣れているのかなと思ってましたので」


「全然。普段はこんなに歩き回ったりしないから、もうヘトヘトよ~」


 前に買い物に言ったのは2か月くらい前だったか。

 その時は隣に女の子がいたわけだけど、今はそういうのはめっきりとなくなった。


 最近忙しい日が続いているっていうのもあるが、何よりリィナちゃんの存在が大きい。

 今までは可愛い後輩という目線でしかリィナちゃんを見ていなかったが、今は違う。


 そう言えば彼女がこっちに帰ってきてから、他の女の子と遊ぶことがめっきりなくなった。


 今までは暇さえあれば、色んな子を捕まえて遊んでいたのに。

 最近じゃ、リィナちゃんとあの部屋でボードゲームするのが日課になっている。


 人生どう変わるか、分からないもんだ。


「あ、あの……ユーグ先輩」


「ん~どったの?」


「その……今日はありがとうございました。わざわざ付き合っていただいて……」


「気にしないで。俺もリィナちゃんとデートできてすごく楽しかったよ」


「デートじゃないですけどね」


 俺にとってはデートだ。

 普通に男女が二人っきりで買い物をすることをデートを言わずして何というか。


「まぁとにかく、無事プレゼントを買うことができて良かったよ。後は本人に渡すだけだね」


「は、はい……」


(ん……?)


 リィナちゃんの表情が急に曇り始める。

 プレゼントはしっかりと買うことができたのに……


「リィナちゃん? どうかした?」


「い、いえ! 何でもないです! 少し考え事をしていまして……」

 

 考え事か。


 でも、俺はもうこの時点で気付いてしまった。

 彼女が何かに悩んでいるということを。


 人が何でもないというのは基本的に何でもある証拠だ。

 そもそも何でもなかったら、そんな暗い表情にはならない。


 ここは一つ、力になってあげたい。

 お節介だの、世話焼きだの言われても別に良い。


 むしろリィナちゃんに言われるなら、本望だ。


「何かあるなら、相談に乗るよ」


「えっ……」


「悩み、あるんでしょ? 俺でよければ力になるよ」


「ユーグ……せんぱい……?」


 リィナちゃんがこんな表情をするのは初めてだ。

 普段からクールで表情に出ないタイプだから、分からない人には分からないんだろうけど……


 俺には分かる。

 これでも、人を見る目はあると思っているからな。


「でも、ご迷惑をおかけ――」


「ならないよ」


「……!」


 俺は彼女の言葉を先読みして返答。

 何となくそう言いそうな気がしたから、すぐに対応できた。


 当然。

 リィナちゃんは少々驚いた顔で俺を見ていた。


「迷惑なんてならない。だから話してほしい。俺たちは同士であり、友人だ。仲間が困っていたら助けるのが普通ってもんだろ?」


 自分で言っていてあれだが、なんか恥ずかしい。

 なんか俺らしくない感じだ。


 実際、今まで異性の子に対してここまで熱くこんなことを言ったことなかったし。


 でもそんな俺の熱い思いが届いたのか……


「じゃ、じゃあ……先輩。一つだけ、お願いしたいことがあるんですけど……いいですか?」


「お、おう! どんどん来いや!」


 勢いあまって変な返事になってしまう。

 だがリィナちゃんはそんなことなど気にせず、


「あの、実は……」

 

 その華美な蒼眼で俺を見ながら、あるお願いを口にした。

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