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128.クール美女とモテ男

本章からユーグとリィナの物語に入ります。

ユーグ視点で進んでいきます。

引き続き、当作品をよろしくお願い致します。


「あ、ユーグ教官! おはようございます!」


「うん、おはよ~」


「ユーグ様! おはようございます!」


「おはよ~」

 

 歩けば道行く人に声をかけられる長身のイケメン。

 二の腕が露出した服を()()()着ているのは、日々の筋トレで培ってきた逞しさを表現するため。


 男が持てる最大限のステータスを保持し、当然の如く女の子にはモテモテ。

 

「モテるだけに……ってなに言ってんだ俺は」

 

 自分で自分にツッコミを入れながら、俺は別棟に繋がる道を歩いていく。

 

 俺の名前はユーグ・フリードマン。

 職業は勇者をやっていて、一応勇者軍本部所属のSランク勇者だ。


 今日も例によって朝鍛錬と育成組の指導を終えると、いつも行くあの場所へと向かっていた。

 

「今日はいるかな~」


 いつもその場所で会するある人物。

 実はいつもそこに行く理由の一つだったり、じゃなかったりする。


「あ、見て! ユーグ様よ!」


「きゃ~~~! 今日も素敵だわぁぁ!」


「朝からユーグ様に会えるなんて……あたし、今日死ぬまで頑張れそうな気がする」


 今日も今日とて熱い視線と黄色い声援が飛んでくる。

 これが俺のいつもの日常。


 男としては非常に名誉なことであり、嬉しいことだ。

 朝から俺に会ったせいで死なれるのは嫌だけど。


 まぁでもこの声援が一日を生き抜くための活力剤にもなっているのは事実。

 非常にありがたいことだ。


「ユーグ様、あの……これからどちらへ?」

 

 一人の少女が歩み寄って来る。

 後ろには数人の女勇者たちの姿があった。


 軍服を見たところ、育成組か。


「ちょっと別棟の方に用があってね。これから行くところなんだ」


「そ、そうなんですか! えっと……な、何か私たちにお手伝いできることはありませんでしょうか!」


「おや、何か手伝ってくれるのかい?」


「も、もちろんです! わ、私たちに出来ることがあれば何なりとお申し付けください!」


「あはは、それは嬉しいね。でもごめんね。今回は手伝いをしてもらうほど大変な仕事じゃないんだ」


「そ、そう……ですか」


 しょんぼりと肩を落とす少女。

 レディのお誘いを真っ向から断るのは気が引けるが、こうでもしないとキリがないのだ。


「またその時が来たら、手伝ってほしいな」


「も、もちろんです! その時は真っ先に私たちに教えてください! 光よりも速いスピードで飛んでいきますから!」


「ありがとう。それじゃ、俺も行くよ」


「は、はい! お仕事、頑張ってください!」


 俺は少女たちに笑顔で手を振ると、先へ進む。

 

 こうやって手伝いをしたいって言ってくれる人がいるのも日常茶飯事。

 そのほとんどが女の子だけど、多分目的は俺と少しでも仲良くなるため。


 やり方はどうであれ、向こうから近づいてきてくれるのは嬉しいことだ。

 たまにそれが良からぬ方向へ行ってしまったりもするけど。


 実際、過去に何回か良からぬことがあった。

 俺個人ではなく、相手同士の人間関係にトラブルが起きたり……

 

 だから基本、個人的なお誘いや手伝いは断るようにしている。

 一個を受け入れてしまうと、それが火種になって事件までに発展してしまう可能性があるからだ。


 そうなるくらいなら、しっかりと断った方が身のためみんなのため。

 断ることにナイーブになっていたらダメなのだ。

 

「さて、今日は……」


 目的地に到着。

 やってきたのは別棟にある娯楽室。

 

 ドラゴン討伐の遠征より、帰ってきてから毎日のように通っている場所だ。

 ここでは文字通り、多数の娯楽物が置いてあり、勇者たちの休憩場として使われている。


 もちろん、お目当ては……


「お、いたいた!」


 ボードゲームの席にちょこんと座る琥珀色の髪を持つ美少女。

 身体は小さいのにそこに座っている時の覇気はとんでもない。


 これが猛者のオーラというものなのか。

 ちょうど対戦中なようで、それがより強く感じる。


 俺はそんなオーラを纏った少女にいつもの如く、挨拶をする。


「よっ、リィナちゃん! 今日も可愛いねぇ~!」


「……」


 だが話しかけても返答がない。

 対戦中だからってのはあるかもしれないけど……


(今、その対戦相手離席中なんだよな……)


 机の隅に立ててある離席中の看板。

 対戦中に離席する時にはこの看板を立てないといけないルールになっている。


 で、今その看板が立っているので相手が離席中なのは間違いないのだが……


「よっ、リィナちゃん!」


「……」


 二度目の声かけ。

 でも彼女は何故か聞こえていないフリをする。


 対戦中ならまだ分かる。

 俺もたまに集中し過ぎていて周りの声が聞こえないことがあるからな。


 でもそれはあり得ない。


 だって今は対戦してないし、距離からしてほんの数十センチのところにいるのだから。


 多分、彼女は()()()そうしている。


 だがしかし!


 俺はこの程度では引かない。


「よっ、リィナちゃん!」


 本日三度目の声かけ。

 するとようやく彼女の方に動きが現れ、その小首を俺の方へと向けてくる。


 そしていつものように、冷やかな目線で俺を見ると、


「……あ、ユーグ先輩。いたんですね」


 そう、小声で言った。

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