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109/266

109.とある早朝の出来事


「ん、んん……朝か?」


 起きたら目の前にあったのは見慣れた自室の天井。

 カーテンから隙間から差し込む一筋の光が、ちょうど俺の目の元に届き、俺に朝を告げた。


「ふわぁ~」


 大きな欠伸を一つ。

 そこから地に足をつけ、いつものように洗面台へと直行する。


 気付けば、俺たちが王都に帰ってからまる二日が経過していた。

 王都に帰った後、俺はリベルカに報告を済ませ、工房に帰った。


 身体は疲れていたが、休んだ分の仕事を済ませるつもりで工房に行ったものの、親方に疲労を見抜かれ、休めと警告。

 二日間の休みを貰い、今に至るというわけだ。


「今日から仕事漬けだな……」

 

 最近、色々あって仕事が手につかない状況になっている。

 親方は気にするなと言ってくれてはいるが、やはり申し訳ない。


 まだまだ返すべき恩は残っているのに。


「……よし」


 歯を磨き、顔を洗い、服を着替える。

 テーブルには昨晩市場で買ってきた安売りパンが。


 それにバターを塗り、質素ながら朝食を済ませ、身支度を始める。


 今日はそのまま工房に行って仕事の予定。

 あれから発注数がとんでもないことになっているらしく、あまりの忙しさに職人も新たに何人か採用したらしい。


 そんな中で不在だったということで、さらに罪悪感が俺を襲った。


「せめて、この二日間分の仕事はこなさないと!」


 俺は玄関を出る前に頬を二回。

 パンパンと叩き、気合いを注入する。


 そしてよし行くかと玄関の扉を開けた――時だった。


「きゃっ……!」


 扉に何かが触れた。

 同時に謎の悲鳴が……


「って、リーフ!?」


 扉を開けると、目の前で尻もちをつくリーフレットの姿が。


「だ、大丈夫か? 怪我はしてないか?」


「だ、大丈夫。ドアをノックしようとしたらいきなり扉が開いて……」


「わ、悪い。まさかリーフがいるなんて知らなかったからさ」


「ううん、こちらこそいきなり訪問しちゃってごめんね」


 ちょうど俺の扉を開けるタイミングが悪かったらしい。

 でもそれよりも気になるのは、なぜここにリーフがいるかだ。


 時間もまだ7時前とかなり早いのに。

 その前になんで俺の家を知っているだろうか。


(親方以外、家の住所は公言していなかったはずだが……)


「リーフ、こんな時間にどうしたんだ? それに……」


「ご、ごめんね。ホント、いきなりで。家の住所は前にガイルさんから直接聞いたの。どうしても、しーちゃんに伝えておきたことがあって」


「伝えておきたいこと?」


「うん……」


 こんな時間にこんなところまで来て伝えたいことか。

 というのもここは王都から来るには少々遠い位置にある。

 

 工房からは歩いて10分くらいだが、王都となると30分くらいかかる。


 辺りに馬車とかないところを見ると、歩きで来たみたいだが……


「それで、伝えたいことってのはなんだ?」


「え、えっと……しーちゃんは今日の夜って時間空いてる?」


「まぁ空いてるけど、何かあるのか?」


「その……少し話したいことがあって。今日の夜に家に来てほしいなって思ってて……」


「家にってリーフのか?」


「う、うん……」


 少し言いにくそうな雰囲気を醸し出すリーフレット。

 二日前もそうだったが、リーフレットの様子がおかしい。


 何かを抱え込んでいるというか、何というか。


「ここじゃダメなのか? 周りに人はいないから聞かれる心配はないと思うけど……」


「で、でもしーちゃんこれからお仕事だよね? 少し長くなりそうだから、ちょっと……」


「そ、そうか……」


 それなら仕方ない。

 それに、彼女の様子を見る限り、二人きりで話したい内容のようだし。


「分かった。じゃあ、夜にリーフの家に行くよ」


「ごめんね、しーちゃん。ありがとう」


 俺はリーフから時間等の詳細を聞くと、リーフレットは足早に王都方面へと走って行った。

 

「一体、何を話すつもりなんだろう。あの具合だとあまりいい話じゃなさそうだよな……」


 とはいっても約束はした以上、行かないといけない。


「ま、今は仕事のことを考えないとな。……俺も行くか!」


 再び両頬に一発。

 気合いを入れ直すと、そのまま真っ直ぐ工房に向かうのだった。

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