表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS吸血鬼リーシャちゃん!  作者: 1234
ナーマン・キュトラ編
9/39

Ⅸ. ナーマンは死ぬかもしれない

 ナーマン・キュトラは冒険者である。

 

 冒険者とは、人里離れた場所に発生した魔境や遺跡の探索や雑用を行う職業である。

 そしてナーマンはその冒険者の中でもかなりベテランの部類に入る、C級冒険者であった。

 そんなナーマンは今、魔境に居た。

 この魔境というのは、先週発生したばかりの、出来立て魔境のことである。


 「だというのに、なぜこんなにも広いんだ?」


 そう、その魔境は以上に広かった。

 普通魔境というのは、発生してから何年もかけて巨大に成長していくものなのである。そのはずなのだが、この魔境は先週発生したものとは思えないくらい広大であったのだ。


 「まるで発生してから数百年経った魔境のようだな」


 この魔境の異常性はそれだけではなかった。それはこの魔境の魔物が異常に強いということである。

 

 ナーマンの前方にある木の陰から飛び出すものがあった。


 『ブジョギュアアアアアアアア!ジョア!』


 バツンッ、とナーマンの体から何かが落ちた。 


 「ヒギッ、ァ、ァアアア!」


 ナーマンの絶叫。


 ベテラン冒険者であるナーマンのレベルが50であるのに対して、この魔境に存在する魔物のレベルは100が最低レベルなのである。一人で勝てる相手ではない。

 

 目の前にいる、三つの首を生やした豚モドキもそうだ。絶対にレベル100を超えている。

  

 「畜生!いてえ、いてえよぉ!」


 ナーマンは叫ぶ。


 これまで冒険者として生きてこれたのは、明らかな格上相手に殺し合いを挑んでこなかったからだ。だからナーマンはベテランになれたのだ。

 ナーマンには確実に死ぬような闘いに命を賭けるような、度胸もなければ勇気もないのだ!臆病者のナーマン・キュトラは打たれ弱い!

 故に今は足を震わせ、迫りくる死に怯えて泣くことしかできない。

 ナーマンは先ほど切り落とされた右腕の付け根を左手で押さえつけるが、血は止まらなかった。

 「助けて、助けて……」

 誰も助けに来るわけないだろ!

 豚はそう言うかのように顔を歪ませ嗤った。


 しかし豚の愉悦は続かなかった。


 「カガリじゃない?でもまあいいや!」


 我らがキチガイ、リーシャちゃんが来たからだ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ