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Ⅵ. 突発性キチゲェ症候群
俺は洞窟の入り口まで奴隷の少女を引っ張てくると、どこからともなく出した毛布を掛けてやる。
「ガチレズハーレムでも作るか…」
彼、いや彼女の頭の中身はどうなっているのだろうか?何故この状況でそんなことを思うのか?それは彼女が彼であったころの、幼少期にまで遡る。
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若い女と白衣のおっさんが神妙な顔つきで向き合っていた。
「・・・残念ながら、お子さんの頭はもうダメです。ダメダメサイコパスです」
「そんな!あああああ!」
女は白衣のおっさんの言葉に泣き崩れた。
突発性キチゲェ症候群、一度発症すれば二度と治らないといわれている、超難病である。
その症状は非常にアレなものばかりである。例を数個挙げてみよう。
・自分の都合のいいようにしか物事を解釈しない
・やけに正直者
・プラス思考にしか考えられない
・危機管理能力の欠如
・自分が世界の中心みたいに思ってる
・その場にそぐわない、支離滅裂な思考や発言をしてしまう
女が泣いてしまうのも無理のない話である。
こんなものを世に放ってはならない、そう思った女は、息子が中学2年生の春、首を絞めて殺した。