Ⅴ. 迷宮には捨てられた奴隷少女がお似合い
「ぴぎゃあああああああああ!」
ぺしっ
「じゅごおおおおおおおおん!」
べちゃ
「まぼおおおおおおおおおお!」
どちゃ
レベルが四十上がりました。
・・・さっきから一体何なのだろうか、この羽虫たちは。はらってもはらってもやって来る。ウザ過ぎ。
俺は今ダンジョンの奥へ向かってひたすらに歩いていた。何時間ぐらい歩いたのかな?八時間くらい?
全くこの吸血鬼ボディーには感謝してもし足りないな。疲労感が一切ないからな。
さらに四時間くらい歩いたころ、吸血鬼の特性で暗闇でもよく見える目が何かを捉えた。
「なんだろう」
近寄ってみるとソレは小さな女の子だった。
手と足に鎖のついた錠がはまっている。奴隷だったのだろうか。
「こんな暗闇に置いていくなんて、ひどいことをするなあ」
リーシャはやはり間抜けである。奴隷がこんなところに放置されているということは、そうする他ならない、のっぴきならぬ事態が起こったこと言うことなのではないのか?そんなことすら考えられないやつなのだ。
「べぎおおおおおおおん!」
「また羽虫か」
ぶちゅん
レベルが二十上がりました。
・・・まあ、のっぴきならない何かは今しがたリーシャの手によって屠られてしまったのだが。
「この子の手枷を外してやらないとな」
ベキン!
力技であった。