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第二王女と第三王女

異世界に来て2日目、勇人達は朝食後に自分達の決意を伝える事にし、朝食を部屋まで持ってきてくれた給仕に王との謁見をしたい旨を伝えた。


「王は起床後に大臣達と雑務をこなされますので、正午過ぎならば謁見は可能かと思われます」


「なら、王様に正午過ぎに謁見したいとお伝え下さい」


「承りました」


給仕は一礼して部屋から出て行き3人は朝食を食べて正午までどうするか相談をする。


「勇人この後はどうする?正午まで時間があるけど」


「俺は特にないけど、2人はどうしたい?」


「僕も特にはないかなぁ」


「私はせっかくお城にいるんだから少し見て回りたい、かな」


隼人は勇人と同じでしたい事は無かったみたいだが凛は城の中を見て回りたいらしい。


「多分頼めば少しぐらいなら見て回れそうだけど」


勇人は少し不安だった。

城の中を見て回るのは許可してくれそうだが入ってはいけない部屋や場所があると思うし、何より昨日玉座の間まで歩くだけでもこの城が広いと分かったので、自分達だけでは回る事が困難ではないかという不安があった。


「案内してくれる人がいれば大丈夫じゃないかな?」


隼人はそう言うと「少し聞いてくる」と部屋の外に待機している城の人に聞きに行った。


「聞いてきたけど今から案内の人を呼んできてもらえるって言ってたよ」


隼人のお陰で正午までする事が決まった。


「今日の予定は午前は城の散策に決定だね」


「私昔からこういうお城に一回は来たいと思ってたのよ」


「どうして?そんな趣味凛にあった?」


城に来たかったと言う凛に勇人は不思議に思い聞いてみた。


「趣味とかじゃ無いけど、やっぱりお城って言えばお姫様とか王子様でしょ?ちょっとした憧れみたいなものかな」


少し照れながら凛が答え


(凛も女の子なんだなぁ)


とデリカシーのない事を考える勇人であった。


「勇人?今失礼な事、考えてたでしょ?」


暗い笑顔で近寄って来る凛に気圧され


「ぜ、全然考えてないって!」


「絶対嘘ね!勇人は顔に出るからすぐ分かるんだから!」


(や、やばい、っ!隼人!なんとかしてくれ!)


追い詰められる勇人は目線で隼人に助けを求めるが


(いつも勇人が凛に追い詰められるのは勇人が9割悪いからなぁ)


「勇人、自業自得だよ」


苦笑いされながら助けを拒否される。


そんなやりとりをしているとドアをノックする音が聞こえてきた。


「勇者様、カトレアでございます。城を見て回りたいと仰られたそうですので、私がご案内させて頂きます」


どうやらカトレアが城の中を案内してくれるらしい。


「カトレアさん、王女様なのに大丈夫なんですか?」


「私の事はカトレアと、呼び捨てにしてもらって構いませんよ。それに王女も割と暇なんですよ」


微笑みながら喋るカトレアは美しく思わず勇人は目を逸らす。


「カトレアさんは王女様なんで易々と呼び捨てなんて出来ないですよ」


「ユウト様は勇者様ですからそのような事お気になさらないで下さい」


そんな会話を聞きながら凛はボヤいていた。


「勇人の奴、デレデレしちゃってさ」


「まぁまぁ、少しぐらい大目に見てあげようよ」


隼人はボヤく凛に勇人のフォローをしているが


「隼人は勇人の肩を持つの?」


凛の視線が刺さる。


「そ、そう言う訳じゃ無いけど」


「はぁ、カトレアさんが綺麗なのは認めるけど、なんか、ねぇ」


少し寂しそうな表情をする凛に隼人は声を掛けようとするが


「ここがお城の庭園です」


気がつけば城の中庭にある庭園まで来ていた。

様々な花が咲き、手入れも素人目からしても行き届いており、とても美しい光景だった。


「綺麗」


「ほんとだね」


花に見惚れる凛に隼人は少しほっとしていた。

元気がない凛を見ているのは隼人にとって辛かった。


「勇者様丁度良い機会ですのでご紹介したい人がおります」


庭園に着きカトレアから紹介したい人物がいると告げられる。


「誰、ですか?」


「私の末妹です。名前はアキレアと言いまして、この時間は庭園で過ごしている事が多いですのでおそらく・・・」


末妹を紹介すると言いカトレア辺りを見回し、やがて目的の人物を見つけ声を掛ける。

アキレアがこちらに気付き近付いて


「お姉様どうなさいました?それにこの方達は?」


おそらく年齢は10〜14の間で外見はカトレアが端麗ならアキレアは佳麗としか言えない可憐な少女だった。


「アキレアこの方達はこの世界を救うために来て頂いた勇者様ですよ」


「そう、なのですね」


少女の目から一瞬光が消えるが


「初めまして、私はマグオート王国第三王女、アキレア・マグオートと言います。以後お見知り置きを」


すぐに笑顔になり優雅な礼をしながら自己紹介をする。


「俺は神田 勇人です。まだ実感が無いんですけど勇者です」


勇人が照れながら自分が勇者であると言って後に2人も続く


「僕は風間 隼人と言います。勇人と違い勇者では無いですがよろしくお願いします」


「私は早乙女 凛です。2人とは幼馴染で、私も勇者じゃ無いですけどよろしくお願いします」


3人が軽く自己紹介をした後アキレアを見ると目を見開いて驚いていた。


「ユ、ユウト?失礼ですが勇者様はユウトと仰るのですか?」


先程の態度とは違い食い気味に勇人に尋ねる。


「は、はい。勇人って言いますが、俺の名前がどうかしましたか?」


「なん、で、あの人も・・・」


衝撃を受けた表情で小さく呟くアキレアに勇人は大丈夫かと聞くと


「す、すいません。少々取り乱してしまいました。知り合いとお名前が似ていましたので少し驚いてしまいまして」


アキレアはすぐに元の表情に戻り、お恥ずかしいと謝罪をする。


「俺と名前が似てる人ですか、その人はなんて名前なんですか?」


「勇者様が気にされるような名前ではありませんよ」


勇人はアキレアに聞いたのだがカトレアが会話に割って入る。


「それよりもアキレア、そろそろ戻らないと先生が探していましたよ?」


「そう、ですね。では勇者様達には悪いですが、私はこの辺りで失礼させていただきます」


アキレアはそう言い残すとこの場を後にした。


「慌ただしい妹で申し訳ありません」


「気にしてないので大丈夫です」


「折角ですのでもう一人の妹の方もご紹介しておきたいと思うのですがよろしいですか?」


遅かれ早かれ会うことになるのは間違いない、そう思い勇人達はその提案に乗ることにした。


庭園から10分程城内を歩き、次妹の部屋の前に辿り着く。

部屋の前に待機している侍女にカトレアが話をして部屋の中に入る。


「あら、カトレア姉様じゃありませんか?私の部屋に来られるなんて珍しいですわね」


お茶の時間だったのだろう、ティーカップを片手にこちらを伺う様子で見つめる目つきの鋭い美人がカトレアに話しかける。


「何か私に御用でも?それに後ろの方達は?」


「この方達はアウレアを紹介したくてお連れしたのですよ」


「姉様、私こう見えて忙しいんですのよ?この後ロータス教国の貴族の方達とのお茶会に出なければいけないのは姉様も知っておいででしょう?」


興味無さげにカトレアに言ってのけ、表情には煩わしさが出ていた。


「アウレア!お客人に対する態度ではありませんよ!それに貴族との茶会よりもこの方達の方がよっぽど重要なのです!」


カトレアに叱責を受けても悪びれる様子はない、しかし貴族よりも重要だと言われ少し興味が湧いたのか表情から煩わしさが消えていた。


「なら姉様教えて下さいまし、その方達はどういった方達なのですか?」


「良いですかアウレア、この方達は世界を救って下さるべく、この世界に来てくださった勇者様方です」


カトレアが勇人達の素性を説明するとアウレアの表情が驚愕の表情に変わり、手に持っていたティーカップを落とす。

側に控えていた侍女達が紅茶で濡れたアウレアのドレスやテーブルを拭こうと慌ただしくするが、アウレアはそれらを払いのけ立ち上がりカトレア達の元まで足速に駆け寄る。


「勇者様ですって!姉様何故もっと早く仰って下さらなかったのですか!」


駆け寄ったため少し乱れたドレスを直し、優雅な一礼をしながら


「マグオート王国第二王女アウレア・マグオートですわ。以後お見知り置き下さいませ勇者様」


先程までの態度が嘘だったかのように美しい笑顔を勇人達に向ける。

最初の印象が印象なだけに勇人達は少し戸惑ったが、自分達も先程アキレアにしたように自己紹介をした。


「勇者様はユウト様と仰られるのですね!私の事はアウレアと呼び捨てにして下さいまし」


「王女様に呼び捨てなんて」


「構いません!私達歳もそう離れておりませんし、友人のようにお呼び下さいませ」


勇人が断ろうとするもののアウレアの発する圧が凄く勇人は根負けしてしまい、すぐには難しいが少しずつ

善処するということでとりあえず納得はしてもらえた。


「アウレア様そろそろ準備なさいませんと・・・」


興奮しているアウレアに侍女が申し訳なさそうにこれから行かなくてはならない茶会の事を伝える。


「もうそんな時間ですの?仕方ありませんわね・・・ユウト様!是非私とまたお話しして下さいまし」


「分かりまし、分かったよ」


敬語を聞き不満そうな顔をしたアウレアを見て慌てて砕けた感じに言い直す。


「ありがとうございますユウト様!ではカトレア姉様?」


「すいません勇者様、アウレアは着替えなくてはいけませんので一度先程の部屋までお連れ致します」


勇人達は部屋から出て元来た道を戻って行く。


「すいません。アウレアは昔より夢見がちでして・・・」


カトレアが勇人達に謝罪をする。

なんでも、アウレアは創作の物語などに出てくる勇者や英雄といったものに憧れを持っているらしく、実際に本物の勇者に出会い舞い上がってしまったという事をカトレアから説明される。


「俺達も気にしてないので大丈夫です」


「そう言って下さると助かります。それでは謁見の時間までもうしばらくお待ち下さい。私も王と謁見の準備に入りますので迎えには申し訳ありませんが、代わりの者を寄越します」


元の部屋まで戻ってきたためカトレアとはそこで別れ再び3人で待機して過ごす。


今日紹介された2人の王女についてそれぞれ感想を言っているとドアをノックする音が聞こえて


「勇者様、謁見の準備が整いましたのでお迎えにあがりました」


準備が出来たと告げられ、3人は王の元に行くのであった。







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