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♯地獄の始まり

今回少し短め・・・汗

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ユウトが気が付くと先程の女が何やら生物の身体の一部らしき物を品定めでもしているように見ていた。


「なにを、してやがる」


「もう意識が戻ったんですね。まだ1日しか経ってないのに目覚めるなんて、やはり耐性があるのは間違いないですね」


「答えろ、何をするつもりだ」


「あなたは本当に騒がしいですね。今からあなたに取り付ける素材を選ばないといけないと言うのに」


「取り付ける、だと?」


ユウトは女の言葉の意味が分からなかった。

取り付けるとはどういうことだと。


「あなたの身体は色々と()()()ますからね。まずはその足らない部分を付けようかと」


それを聞きユウトは感情が高ぶる。


「お前らが!俺をこんな身体にしたんだろうが!」


「いくら怒っても身体は動かないし、どうしようもないですよ?」


そう言いながら女は被っていたフードを取る。

女の顔を見てユウトは驚愕する。

何故なら


「こ、子供!?」


そう、女は少女だったのだ。

身長が低いのは小柄なだけかと思っていたのだが、顔をはっきりと見ると幼く、しかし間違いなく美少女と呼ばれる顔立ちをしていた。


「子供で悪かったですね!たしかに歳は10歳ですが、

これでも天才魔道士と言われているんですよ!」


少女は怒りながらもユウトに自分について語るも、ユウトにとってはそれは些細なことでしかない。


(子供が、こんな年端もいかない子供がこんな仕打ちを?)


少女が自分に対して行なっている、行おうとしている事にユウトは衝撃を受けていた。


「そんな事よりも先程言いましたが、あなたの欠けている身体に取り付ける素材を説明して差し上げましょう」


「説明、だと?」


「ええ、私は優しいですからね。まずあなたの右腕には我が国が昔、討伐したとされる悪魔の右腕を取り付けます」


そう言って少女が腕を見せてくる。

少女が持つその腕は真っ黒で腕全体に何かの模様が入ったかの様な紅い線が入っていた。


「通常、悪魔や魔物などの異物を人間と結合すると身体が拒否反応を起こし、肉体を保てなくなったり良くて精神の崩壊などの影響を受けてしまいますが、あなたには異能(タレント)のお陰でそう言った心配はありませんのでご安心下さい」


「悪魔と結合させるだと?意味が分からない、それに異能とはなんだ!」


少女が自分に対して行おうとしている事は何となくだがユウトは理解した。

恐らく自分を実験動物よろしく、悪魔だとか良く分からない生き物を自分と繋げて、まるでギリシャ神話にでも出てくるキマイラの様にする気の様だ。


しかし、ユウトにはその目的が分からない。

何故俺にその様な事をするのか、更には異能とはなんの事を言っているのか、ユウトには理解出来なかった。


「前にも言いましたがあなたは私の夢のために最強の生物になって貰いたいだけです。それに私があなたの質問に全部答えてあげるとは思わないでくださいよ?教えてあげてるのは私の善意ですからね」


「なっ!?」


「でも異能ぐらいなら教えてあげるのは良いですよ?」


少女は自慢げな笑顔で話し出す。


「異能とはあなたがこの世界に来た時に授かった能力です。一般的に異能は生まれた時に授かるのものですが、一万人に一人ぐらいの割合でしか所持している者がおりません」


「中でもあなたは非常に珍しい異能持ちなのですよ?」


ユウトには異能とか言われてもどれ程のものだと思っていた。

それもそうだ、異能など存在していない世界から来ているのだからそう思ってしまうのも仕方がない。


「あなたの持つ異能【完全同化(オール・イン・ワン)】はあるとされながらも今までその異能を持つ者は見つかっていなかったのですから」


「完全、同化?」


希少性よりも効果が気になった。

なにせ【完全同化(オール・イン・ワン)】など聞いただけでは良く分からない代物だからだ。


「【完全同化(オール・イン・ワン)】とは身体と異物が結合した時に真価を発揮する異能です。例えば魔物の思念が残っている異物が結合させるとしましょう。すると大抵は精神を乗っ取られるか崩壊してしまい身体の主導権を取られてしまいます」


「もしくは、先程言ったみたいに身体が拒否反応を起こし身体の形を保てなくなるのが一般的なものです。しかしあなたの異能があれば異物と完全なる一体化を果たし、身体の主導権はあなたのものにすると言う異能なのです」


熱弁する少女にユウトは嫌味を込めて鼻で笑った。


「珍しいとか大層に言った割にはとんだハズレ異能じゃないか」


「ハズレなんてとんでもない!」


少女がすぐに否定する。


「良いですか?その異能があれば例えドラゴンの王と言われる竜王だろうが、魔族の王である魔王だろうが、あなたに取り込まれた時点であなたの力に負け同化してしまうのですよ?」


「たしかに異能研究者の間では使えない異能と言う烙印を押されています。しかし私の様な合成獣(キメラ)研究者からすれば喉から手が出る程欲しい異能です」


ユウトには信じられない話だった。

竜王だの魔王だの物語の中で聞く単語ばかり出てくるのだ。

現実感が希薄になるのも無理はない。


「ではそろそろ術式を開始しましょうか」


少女は欠損している右腕に悪魔の腕を合わせると何かの魔法陣を展開させていた。

すると腕が少しずつ結合してきた。


「っ!ぐああぁぁぁあああ!」


言いようもない激しい痛みと共に。


「言い忘れてましたが術式中は激しい痛みを伴うので痛みで狂わない様に頑張って下さいね」


少女は少女らしい笑顔でユウトに話しかける。


「まだ始まったばっかりでこれから全身に施術を施さなければいけないのですから」


絶望的な言葉を添えて。

どうやらここから地獄が始まるらしい。

痛みで薄れゆく意識の中ユウトが考えるのは


(こいつは…許せない…が…2人を殺し…た…()()()だけは…)


自身のこれからではなく、心から愛する者を奪った者へ対しての怒りだった。


––––––汝、力…我等…契…


意識が途切れる前に誰かの声が聞こえた様に感じるが、そこでユウトの意識は途絶えた。











現在公開出来る情報


【完全同化】

長年の研究により【同化】という異能があるために上位の異能があるであろうという推測で語られていた異能。

どのような異物、上位の存在であろうが完全なる同化をする事が出来る。

しかし【同化】が使えない異能であるため異能研究者の間では存在しても異能の中で使えないものだという烙印を押されている。


【同化】

異物と拒否反応なく同化する事が出来る。

上位の存在とは同化する事は出来ない。

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