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♯プロローグ

お読みいただきありがとうございます♪


以前から色々な作品を読ませて貰い、自分でも書いてみたいと軽い気持ちで書いてしまいました汗


拙い文章でお恥ずかしいですが楽しんで頂ければ幸いです

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


男が目覚めるとーーー左目がやけに暗く感じたがーーーそこは薄暗く人の気配がない場所だった。


(こ…こは…どこ…だ?)


覚醒して纏まらない思考でとりあえず身体を起こそうとするが。


(か、身体が、動かない?)


何故か身体に力が入らずに動かす事が出来ない。

身体の感覚は一応あるのだが、それでも自分の身体ではないような程微弱にしか感じられなかった。


(一体、なにが?)


少しずつ働くようになってきた思考で現状に至るまでの事を思い出す。


(確か、俺は旅行中だったはず)


男は長期休みを利用して3()()()旅行の最中だった事を思い出す。


(それから、2人が移動ばっかりで退屈だと言って気晴らしに公園を立ち寄ってそれから・・・っ!!)


それ以上思い出そうとすると男の頭に激しい痛みが襲って来た。


(あ、頭が痛い!こ、これ以上は無理だ!)


男は痛みのあまりそれ以上思い出す事が出来ない。

だが、激しい痛みとともに()()()()()()()()()()()()が男に湧き上がる。

まるで痛みがその感情を忘れるなと言っているかのようにも感じられる。


(なんだ!この言いようもない激しい怒りは!)


問題はその原因が分からないことだが––––


(クソっ!今は現状の把握が先だ!)


未だ収まらない怒りを男は理性で押さえ込み考えを切り替える。


(周りに人の気配はない・・・2人は何処にいるんだ?)


この場にいない2人の事を考えていると元々設置してあったらしい燭台に火が灯る。


(ここは、石の部屋?)


唯一動かせる目を動かし男は辺りを見渡すと、そこは石造りの部屋で部屋には手術道具な様な物や器具が置いてある事が分かった。


(手術室なのか?俺の身体が動かない事に関係がありそうだが・・・それにしても明るくなったのはいいが、相変わらず左目が暗いのはおかしくないか?)


男は自分の身体に起きている異常について考える。

身体が動かないこともそうだが、左目が暗闇しか視えていないのだ。

はじめは部屋が暗かったため気のせいだと男は思っていたのだが、部屋に明かりが灯ると左目が視えないという事に改めて気付く。


(なんだ!?俺の身体に一体なにが起こっているんだ!?)


男が自分の状況について改めて認識し、パニックに陥り掛けるも部屋の外から話し声が聞こえてきたため、平静をなんとか取り戻す。


「本当に…が…いた…持ちの…なのですね?」


「はい…の求めてい…です。…実際に…いかがかと」


声の数からどうやら2人組みが部屋の外にいるらしい。

声色から若い女と男が話しているのだという事が分かった。


(何を喋っているんだ?もしかして俺の事か?)


男がそう思っているとガチャリとドアノブが回される音が聞こえた。

どうやら部屋に入ってくるようだ。


男はこの2人の様子を伺おうと思い、目覚めてない振りをする事にした。

一応気付かれないように薄目で2人の事がどういった人物かは確認するつもりだが。


部屋に入ってきたのは身長の低い小柄の女性と思われる人物と壮年の男性だった。

しかし、黒いローブを着てフードも被っていたため正直なところ、男からはだろうという予測でしかない。


「この男が本当に私が求めていた素体なのですか?」


「はい、この男が主任が探しておられた素体で間違いございません。確認は現場にいた所長が『女神の眼』にて行っておりますので」


どうやらこの2人は女の方が立場が上のようだ。


「これで私の夢の第一歩が踏み出せますね」


「おめでとうございます!素材の方も選別をはじめなければいけませんね」


「そうですね。選りすぐりの物を用意しないといけませんね。あれ?」


薄目で様子を伺っていたが不意に女と目が合ってしまったようだ。


「この男、目覚めているようですね」


「そんな!目覚めるとしてもまだ先になるはず!」


男はもう気が付かれているならと開き直って自分の状況について聞いてみることにした。


「お前ら俺をどうするつもりだ!それにここはどこか教えろ!」


男は2人に半ば叫びになりながら問いかける。


「・・・目覚めても自我は戻らないはずでは?」


「申し訳ありません!ですがこの男には錬金薬『傀儡師の傀儡(ワイヤープラー)』にて自我を奪っていたのですが・・・」


「投与して何日目でしたか?」


「・・・3日目です」


「効果が切れるにしても早過ぎますね・・・」


「この男には薬に対して耐性があるのかも知れません」


男を無視して話す2人に男は苛立ちを感じるが、話の内容がとても穏やかではない。

自我を奪うなど男がとても許せるものではなかった。


「お前ら俺に何をした!自我を奪うだと!?この身体が動かなかったり、異常があるのはお前たちのせいか!」


男は墳義に駆られ2人に言い寄るが


「ですが、自我があろうとなかろうと、最終的にこちらの言う事をきくように()()()のですから良しとしておきます」


「ありがとうございます!この男が言っているように、身体の自由を奪う事には成功しているようですが、薬の投与はどう致しましょうか?」


「そうですね。現状いくら暴れられても()()()()()()だとしても、これからはそうも言っていられなくなってきますので、投与は引き続き行ってください」


「はっ!」


男の事を置いて尚話し続ける2人だったが、女が男に近付いて話しかけてきた。


「はじめまして、()()()さん。」


「な、何故俺の名を知っている!?」


男はたしかに()()()と言う名だったが、ユウトが自分の名前を教えた記憶はないーーー失くした記憶で会っていれば別だがーーーしかし、この女はユウトの名を知っていた。


「不思議に思っておられると思いますが、私があなたの名前を知っている事はどうでも良いのです」


「なんだと!?」


「大事なのはこれから何をされるかではないですか?」


「私は優しいですからね。良かったら教えて差し上げましょうか?」


ユウトは女にそう言われ、不安な気持ちになるも自分がどうなるのか聞いてみることにした。


「な、何をするつもりだ!」


「私の夢を叶えるための道具になっていただきます。」


「道具だと!?」


「具体的に言っても理解できないでしょうから、噛み砕いて言うならあなたには()()()()()()もらいます。」


ユウトは驚愕した。

自分の事を道具と言った事もそうだが人間をやめる?なんの冗談だと思った。


「今は意味が分からないでしょうけどその内分かるはずです。」


「ふざけるな!」


ユウトは激しい怒りと共に自分の決意を伝えた。


「お前ら俺をなんだと思ってやがる!身体の自由さえ戻ればお前らの思い通りになんてさせるか!」


男が感情のままに言ったのを聞き


「あ、あははははははははははははっ!」


「!?」


女がいきなり笑い出したため男は困惑する。


「いきなり笑ったりしてごめんなさい。だってあなたがとても面白い冗談を言うものだから」


男の決意を聞きそれを冗談だと言う女に対してユウトは強く抗議する。


「こんな状況で冗談なんて言うものかよ!」


「だって、その()()で私達をどうするおつもりですか?」


「薬さえ切れれば・・・」


「いえ、薬の事ではありませんよ?」


女は笑いながら男の考えを否定する。


「あなたは薬のせいで自分の思い通りに動けないと考えているようですが、それは薬だけのせいではないんですよ?」


「なに、どう言う意味だ!?」


「ユウトさん、分からないんですか?」


ユウトは女の言っている意味が分からなかった。


「主任、恐らく覚醒したてで記憶が曖昧になっているのでは?」


「そうかも知れませんね。ならユウトさんに自分の現状を見てもらいましょうか」


女はそう言うと手を頭の上に挙げ


「《水鏡(アクア・スペクルム)》」


女の手の上に水の玉が現れそれがどんどん大きくなっていき、一定の大きさまで膨れると一気に水が天井全体に広がった。


「なんだ・・・これは?」


ユウトは目の前の光景を疑った。

自分の常識では考えられない事が起きていたため、まるで映画や漫画の世界にでも入り込んでしまったような気持ちになる。


「ただの水魔法ですが?」


「ま、ほう?」


魔法などと自分が今だに夢の中にでもいるのだろうかとユウトが思っていると


「それより自分の姿を見て、自分について理解された方がよろしいんじゃないですか?」


女に急かされユウトは水面に映る自分の姿を見て驚愕する。


「あ・・・あぁ・・・」


水面に映る自分の姿は記憶の中の自分と全然違っていた。

利き手である右腕は肘先より先が無く、左脚も腿の辺りから切断されたかのように欠損していた。

さらに視えていなかった左目がある顔の左側が酷く焼け爛れており、視えなかったのはその傷が原因で失明してしまったのだと思われる。


「これで現実が分かりましたか?これが今のあなたなんですよユウトさん?」


女がユウトに諭すように言うもユウトの耳には入ってこない。


(こ、これが、俺?う、嘘だ、何故?こんな)


ユウトは自分がどうしてこんな姿になっているか理解出来ずにいた。

これが自分であるはずがないと、何かの間違いではないのかという思いが駆け巡る。


そう思っていると


「っ!!あああああぁぁぁぁぁああ!!」


突然、強烈な頭痛がユウトを襲った。

記憶を思い出す時に感じた痛みの比ではない程の痛みであったが、やがて痛みは沈静化する。

痛みが無くなるとこれまで感じた事のない激しい怒りを()()()()

ーーー失くしていた記憶と共にーーー


「いきなり大声を出したりして五月蝿いですね。そろそろ薬を飲んで静かになってもらいましょうか」


「薬の準備は整っております」


女が部下の男に薬の投与を指示しようとしていると


「お前らは絶対に許さない!!この俺が必ず殺してやる!!」


ユウトは激しい怒りを露わにしていた。


「五月蝿く叫んだと思ったら次はこれですか?」


女は呆れたように言うと


「もういい加減静かにしてもらいましょう」


「はっ!薬を投与させます」


部下の男が漏斗をユウトの口に突っ込み薬を流し込む。


「この『傀儡師の傀儡(くすり)』は即効性がありますから、またすぐに意識とサヨナラですね」


女が笑いながらユウトに言うが、すでにユウトの意識は薄れつつあった。


(く…そ…こい…つら…お…れ…は)


薄れゆく意識の中ユウトは決意を固める。

必ずこいつら全員殺してやるのだと、もはや自分の身体のことなどどうでも良い、そんなものは些細なことなのだ。


何故なら


––––––2人の仇を、俺の全てを奪った奴らを許しておけるか




ユウトの意識はそこで途絶えた。












道具解説


《女神の眼》

眼鏡の様に目に掛けて使用する。

使用者は対象者の加護や異能を見ることが出来る。

レアアイテムで国にも数個あるぐらいしかない。


《傀儡師の傀儡》

錬金術師が作った薬。

服用すると自我を抑制し、命令に従う人形のようにしてしまう効果がある。

ごく稀に薬に耐性がある者がいるが、記憶の混濁や命令に従うなどの身体の自由を奪う効果は現れる。

効果がある期間は人によるが一度の服薬で1カ月〜6か月は効果が持続する。

昔は主に奴隷などに使用されていたが、悪用する者や人道に外れた物であるため、現在では使用や作成する事すら禁止されている。

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