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7話 施設1週間目

ここに来てから1週間が経過した。


時間も日付も分からないが食事の回数などでおおよその日数はわかる。 1週間の間に3回程例の実験室へと連れていかれた。 内容は前回と同様だ。


自分の中に未知の物質を入れられるのは気持ちの良いことではないが我慢するしかないだろう。


部屋の仲間達も何度か連れていかれたが特に変わったことはなかった。 いや、一つ気になることもあったか。 俺以外の四人は実験室から帰る際に必ず【飴】をもらっているらしいのだ。


恐らく初日に実験室の男が俺に渡そうとしたものと同じものだろう。 なぜ俺にだけくれないのだろうか? まぁそんなことは些細な事であってそこまで気にすることでもないか。


今日はノルンが実験室へ行っている。 俺とトーマ、フィーン、フェレインの四人が部屋に残り話をしていた。




「じゃあクレトはそのドラゴンと戦って村を救ったんだな! すげぇじゃんか!!」


「いや、戦ったって言っても一方的にやられてただけだしな。 この左腕もその時食べられちゃったし。」


「ううん、立ち向かえるだけすごいよぉ。 私と同い年なのに……」


フィーンとフェレインが俺の話を目を輝かせて聞いている。


最近分かったことだがフェレインが俺と同じ歳の8歳。 その他の三人は9歳らしい。


「みんなはどうやって攫われたんだ?」


「俺とフェレインは森で狩りをしているところに変な男たちがやってきて気が付いたらここにいた。」


「……僕は村にクレトと同じドラゴンが攻めてきて、子供だけが生かされた……」


そうか、トーマの家族達はもう……


「そうか。 ごめん辛いこと聞いて。」


「いや、お互い様だ。」


少し気まずい雰囲気になりかけていた頃ノルンが部屋へと戻ってきた。


「お帰りノルン」


「た、ただいみゃ」


口に飴を入れているせいか上手く発音ができていない。 心なしか顔色も悪いようだった。



「おいおい、大丈夫かよ。」


「大丈夫? ノルンちゃん」


フィーンとフェレインも様子に気づき声をかける。


「大丈夫、大丈夫!」


どう見ても大丈夫そうには見えないが。 ノルンは汗ばんだ青白い顔で力なく笑った。



――そう、このときに気が付くべきだったんだ。 俺たちはもう既に地獄の入り口へと足を踏み入れていたことに……


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