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19話 ノルンの日常

 最近アイシャさんとクレトの様子がおかしいのです。


 以前よりも距離感が近くなったような気がします。 お風呂にも一緒に入っているようですし、これは由々しき事態です。


 私の朝は朝食作りから始まります。 クレトが魔力の訓練に行き、ジュリアさんが朝食の準備を始めたところでジュリアさんを手伝います。 火魔法で火力調節することもかなり慣れてきました。 朝食を食べ終えるとクレトとジュリアさんは修行へ出かけます。 その間に朝食の片づけと部屋の掃除、朝食の準備を行います。 アイシャさんはいつも2度寝して昼まで起きてはきません。 今日はクレトが蜘蛛型の魔物を狩ってきました。 家へ持ち帰ったそれを見たときに泡を吹いて倒れてしまったことは内緒です。 人の数倍はあろうかというそれをクレトに捌いてもらい素揚げします。 誤って油に引火したときは少し焦りましたが問題なしです。 私以外の3人は蜘蛛を平気な顔で食べていましたが私は中々食べることができませんでした。 見かねたアイシャさんが無理やり口の中に蜘蛛の素揚げを入れてきて半泣きになりましたが、食べてみるとなかなか美味でした。


 昼食を終えるとクレトとアイシャさんが訓練に行きます。 私は昼食を片付けるとジュリアさんに魔法の訓練をしてもらいます。 ジュリアさん曰く「クレトの魔法は特別すぎるからあなたに魔法を教えるほうが楽だし覚えもいいから楽しいわ。」 だそうです。 私は火魔法と水魔法、風魔法に土魔法が使えます。4属性も魔法を使える人はかなり希少らしいのですが、私の場合施設で行われていた実験の影響だろうとのことです。 幸運なことに見た目は亜人のままなので飴の影響以外で体を蝕んでいるものはありません。 飴による依存症と幻覚症状もジュリアさんの治療でかなり良くなってきました。 


 魔法の修行を一通り見てもらったところで、ジュリアさんは転移魔法で出かけていきます。 なんでも帝国にジュリアさんの創設した魔法学園があるらしく、一日に数度は業務へ戻らないといけないそうです。 多忙です。 すごいです。


 そうそう、魔法について少し説明しましょう。


 魔法は初級魔法・中級魔法・上級魔法・最上級魔法の4ランクに分かれています。


 更に属性というものがあり、火魔法・風魔法・土魔法・水魔法の4属性があります。


 込める魔力によって初級火魔法、中級火魔法、上級火魔法という風に変わってくるわけです。 火魔法と風魔法を合わせたファイアストームなどの複合魔法は込める魔力量に応じたランクのワンランク上の魔法に分類されます。 3属性以上の複合魔法だと魔力量に関係なく最上級魔法と分類されるようです。


 4属性以外にも魔法は存在します。 治癒魔法や空間魔法・光魔法・闇魔法などですね。 ちなみにジュリアさんの転移魔法は空間魔法です。 これらの魔法はユニーク魔法と呼ばれていて才能の突出した方でないと扱うことができません。 生まれたときから使える方、死線を潜り抜けることで使えるようになる方、はたまた血のにじむ努力によって使える方など様々なようです。 つまり現在では才能があるのかどうか、訓練次第で使えるのかどうかすらわからないということですね。 あ、そうそうクレトの変身魔法や物質変形魔法などはユニーク魔法に分類されていますがジュリアさんの知っている中では使える人間を見たことがないそうです。 そんなクレトを1人前に育て上げているジュリアさん……感服です。


 そんなことを考えているとアイシャさんとクレトが帰ってきました。 いつものようにクレトはボロボロの傷だらけです。 もう少し手加減できないものでしょうか? さてさてそれでは夕食の準備を始めなければ。 今日はジュリアさんがまだ帰ってきていないので一人で夕食の準備です。 クレトがなぜか心配そうに見守っています。 もう心配性ですねクレトは。 また火力を間違えて鍋ごと溶かしてしまったことは内緒です。 夕食の準備が終わったところでジュリアさんが帰ってきます。 綺麗だけどどこかボワっとした金髪がさらにボサボサになっています。 4人で夕食を食べ終えると食器を片付けてクレトの筋トレ観察です。 ですが皆さん、これはクレトの筋トレを見ているわけではないのです。 クレトの上半身を見ているのです。 じゅるっ。 いけません涎が出てしまいました。 クレトはいつも変身魔法の訓練を兼ねて人間の姿になっています。 クレトの面影を残した12歳くらいの少年なのですがイケメンです。 でも私は魔物姿のクレトも好きです。 真っ赤な目。 とがった牙。 少し黒っぽい肌。 人間の形でありながら人間とは全く異なる存在。 かっこいいです。


 ですがいつまでも見ているわけにはいきませんクレトが筋トレを終える前にお風呂に入らなければならないのです。 すぐに汗も流したいでしょうからね。 私はお風呂へ向かうと身体を流し浴槽に浸かります。 クンクン。 先日からどうもお風呂場から変なにおいがします。 私は犬の亜人ですので鼻が利きます。 どこか男臭いにおいとでもいうのでしょうか?そんなにおいです。 お風呂を上がると風魔法と火魔法の複合魔法で熱風を出し髪を乾かします。 するとクレトがお風呂場へと向かう姿が見えました。 そして3分程するとアイシャさんもお風呂場に向かいます。 むむむ、またクレトと一緒に入るようです。 ずるいです。 しばらくするとお風呂場からアイシャさんの声が聞こえてきました。 犬の鳴き声の練習でしょうか? そんなわけありませんよね。 どーせあの二人のことでしょうから訓練でもしているのでしょう。 ですがこの声を聞いていると変な気分になります。 奴隷だった頃年上のお姉さん達が主人の寝室で似たような声をあげていたのを思い出すからです。 何をしているのか聞いても「貴方にはまだ早い」としか言われませんでした。 私はその後女の主人に買われ家事を3年程させられていたのでお姉さん奴隷と話をする機会も失ってしまいました。 みなさん元気にしているでしょうか? あ、ちなみに私のいたメルテスコ王国では奴隷と言っても犯罪者から奴隷になった人以外はある程度の人権が与えられています。 なのでそこまで苦しいものではありませんでした。 そんなことを考えていると二人がお風呂から上がってきました。 なぜか入る前より疲れた顔をしているアイシャさんが気になります。 でもお肌はツルツルなんですよね。 不思議です。


 その後は部屋へと戻り就寝です。 私の寝室はクレトとの二人部屋でそれぞれの布団を並べています。 クレトはすぐに寝てしまうので可愛い寝顔を眺めながら寝るのが至福の一時です。 


 こんな感じで私の一日は終わります。 


 おやすみなさいクレト。





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