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10話 施設3ヶ月目
――フェレインが死んだ……
俺が実験室へと連れられている際にフィーンが殺してしまった。俺がいればとめられたはずなのに……
フィーンはその後別室へと連れていかれた……
部屋にいるのはトーマとノルンと俺だけ。
トーマとノルンは飴の影響なのか、意識がもうろうとしており起き上がることもできずに呆然と天井を見つめている。
俺は二人の手を握り続けた。
食事も無理やり食べさせる。
服を脱がし体を拭く。
綺麗だったノルンの肌は傷だらけになっていた。
「ごめん、ごめんなさい。 ごめんなさい。 ごめんなさい。ごめんなさい。 ごめんなさい。 ごめんなさい。ごめんなさい。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 」
ノルンがうわ言のようにごめんなさいと連呼する。
「ノルン……。 謝らなくていいんだよノルン。 俺たちは仲間じゃないか……」
絞りだした俺の言葉がのるんにとどくことは無く、ノルンのうわ言も止まることは無かった。
憎い。 あいつらが憎い。 あの男が憎い。
憎悪が心を支配する。
焦点の合わない二人の顔を眺めながらただ時間だけが過ぎていった。