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1話 幼馴染

初投稿です。 初心者なので文章の拙い点など多々あると思いますが見逃していただければ幸いです。


アドバイスやコメント等大歓迎ですのでよろしくお願いします。

 

「クレト!起きなさい。 もうライラちゃんが迎えに来てるわよ!」


 一階から叫ぶ母の声で目がさめた。 俺はしぶしぶ身体を動かし地を這うように階段へ向かう。

 朝は苦手だ。 まだ寝たいという欲望と起きなければならないという現実がケンカしている。

 階段の手前まで辿りつくと欲望に負けた俺の身体は動かなくなる。

 しだいに瞼が重くなり俺は夢の世界へと落ちていく......


「お・き・な・さ・い!!」


「げぇふ!!!!!」


 夢の世界へと足を踏み入れた直後、腹部に凄まじい衝撃を受けて意識が覚醒した。


「な、なにするんだよライラ......」


「なにするんだよじゃないわよ!! 今日は一緒に魔物狩りに行く約束だったでしょ!!」


「あー、忘れてた。」


「ふーん?」


「すぐに支度します......」


 俺はこれ以上ライラを怒らせないように急いで支度を済ますと二人で家を後にする。


「もう、ほんとにクレトは朝弱いんだから!」


 ライラは頬を膨らませドタドタと前を歩く。


「悪かったって言ってるだろ。」


「そんなこと言って! いつも遅刻するじゃない!」


「本当にごめんって。 今度クレープ奢るからさ。」


「ほんと!? 約束だよ?」


 こういう時のライラは甘いものをチラつかせておけばちょろいもんだ。


 俺とライラはメルテスコ王国の辺境にあるケルポック村で育った。 いわゆる幼馴染だ。

 ライラは金色の髪を首に少しかかるくらいの長さに切りそろえており前髪も眉毛の上で切り揃えている。 本人曰く戦闘の邪魔になるからだそうだ。


「クレト! ライラ! 遅いよ!」


「ごめんね、カナン。フェルマ。」


「どーせまたクレトが寝坊したんだろ?」


 集合場所にいたのはカナンとフェルマ。この二人は姉弟で、カナンは一つ歳上の女の子。茶髪を肩の少し下までのばしている。少し厳しいが優しく俺たちのお姉さん的存在だ。 フェルマは俺と同じ歳で黒髪の短髪を真ん中にまとめあげた少し生意気な性格の男の子だ。


「わりぃ、どうしても布団が俺を離してくれなくてさ。」


「まぁ、クレトらしいな。」


 フェルマがそう言って笑う。


「じゃあいくか!」


 そう言ったカナンの先導で狩場へと向かった。

 俺たちのパーティは前衛が俺とフェルマ。 中衛にカナン。 後衛にライラといったポジションで狩りをする。 俺とカナンは剣。 カナンは魔法による支援もする。 フェルマは槍で前衛と中衛を担っている。 ライラは後衛で魔法支援だ。


 狩場である洞窟に着くと30センチほどの大きさの蝙蝠型の魔物【レイバッド】が襲いかかってきた。


「来たよみんな! 構えて!」


 カナンの声で気を引き締める。

 まずはレイバッドの攻撃を俺が弾く。 その隙にフェルマが槍で羽を一突きし、飛べなくなって地面に落ちたところをカナンの火魔法とライラの風魔法で攻撃する。


「ファイア!」


「ウィンドカッター!」


 難なく一体目の敵を倒した俺たちは更に先へと進んで行く。

 俺たちがこんな魔物退治をする理由。 それは俺たちが冒険者を目指しているからである。 冒険者はダンジョン探索や国からの依頼、その他にもギルドに所属しての依頼などによってお金を稼ぐ職業である。 都市に行けば冒険者になるための学校があるのだが、俺たち辺境の村人には払うことの出来ない学費が必要となる。 そんなわけで俺たちは5歳になった頃から戦闘の訓練を行っているのだ。 ちなみに俺は8歳。 あと2年でこの村で独り立ちが許される年齢となる。カナンは一つ歳上なのだが俺たち三人と共に村を出るつもりらしい。


 今日も4体ほどの敵を倒したところで洞窟探索を終了する。


「今日は疲れたなー。」


「まぁでもかなりいい感じになって来たよな俺たち!」


「早く冒険者になりたいね!」


 冒険者になるためにはギルドと呼ばれる組合に登録しなければならない。 ギルドへ所属すると今度はクエストをこなすことでランクが上がっていく仕組みだ。


「まぁ ライラみたいに魔法の才能があればすぐにでもなれるだろうけどね。 」


「そんなことないよカナン。 私はカナンみたいに前衛で戦ったりはできないもん。」


「まぁ人によって才能は違うってことだよな。 俺は魔法はからっきしだから二人とも羨ましいけどな。」


 ライラは俺たちの中でもずば抜けて魔法のセンスがあり、この歳で中級魔法を使える。 この世界では魔法を使える人間の5割ほどは初級魔法しか使えない。 上級魔法使いともなると全体の1割程度だ。 更にその上の最上級魔法使いなど伝説に出てくる程の珍しさでS級冒険者の一部や、王宮魔法使いなどに限られている。


  実際カナンとフェルマは初級魔法しか使えないし、俺に至っては初級魔法ですら使えない始末だ。


 そんな話をしている間に村へと戻ってきた。


「じゃ、次は明後日だね!」


「おう、またな!」


「お疲れー」


 ライラ、フェルマ、カナンの順に別れを告げ、俺も軽く言葉を交わし帰路に着いた。

 俺とライラは村の東側、フェルマとカナンは西側に住んでいるため俺とライラの二人はまだ一緒だ。


「ねぇ、クレト明日は暇かな?」


 少し歩いた所でライラがそんなことを聞いてくる。


「ん、まぁ明日は狩りもないし特にすることはないけど。」


「ほんと!? じゃあ都市に行かない? 明日、レイナールさんが薬草を売りに都市に行くっていっていた

 から、荷台に乗せてもらおうよ!」


「そうなのか? でも帰りはどうするんだ?」


「レイナールさんも夕方に帰るらしいからきっと乗せてもらえるよ!」


「そうか、なら行こうか。 クレープ奢るって約束もしたしな。」


「やった!」


「明日は寝坊しちゃだめだからね!」


 ライラは嬉しそうにスキップし、俺の家の前まで来るとそう言って自宅へと帰って行った。

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