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6部

ゴミ箱の周りに座っているボロボロの服を着て髭のぼうぼうの男に向かって、きれいなスーツを着た男が話しかけた。

「山本警部が逃げてますね。計画は順調ですか、影山さん?」

 呼ばれた男は顔を少し上げて

「ああ、国会議員資格試験合格おめでとう、大久保君」

 京泉大学法学部准教授だった大久保は今回の試験を受験して国会議員となっていた。そして、命を狙われているためホームレスのふりをしている影山秀二を見つけて話しかけたのである。

「そんな話をしに来たんじゃないんですよ。命を狙われているんだから、もっとましな場所に隠れたらどうですか?」

「そうだね、この付け髭がかなりうっとうしいからそろそろ変装も変えようと思ってるよ。」

「それで、計画はどうなんですか?」

「僕と近い位置にいて、身の危険があったから国会議員にまでなったんでしょ?それなら、もう少し余裕がある物と思ってたよ。」

 影山は大久保の質問に答える気がないのかというくらいの感じで話している。

「何も進んでいないと解釈して良いんですか?」

「準備の種はもうまいてしまったし、成長も順調にしてるみたいだよ。

 表向きが面倒なことになってるからまだ表面化はしてないと思うけど、かなり段階的には進んでいるよ。」

「山本警部はどうしますか?

 どの段階で消すべきかもお考えなんですよね?」

「情報では謎の老人と一緒に逃げてるらしいよ。

 その老人が何なのかわからないと簡単には手を出せないと思うんだよね。」

「ホームレスのジジイ一人くらいならどうとでもなるんじゃないですか?」

 大久保は苛立ちを隠せずに聞くが影山は受け流すように

「まだその時じゃないんですよ。

 それに彼が持っているかもしれない物がまだ見つかっていないので下手に手を出して、山本警部に存在を知られても困るからね。」

「本当にあるんですか?影山さんの極秘資料なんて。」

「元は消したけど、複写、あるいはデータがまだ残っているかもしれないからね。

 慎重に動かないと、今回の計画にも支障が出てしまうからね。」

「敵陣に突っ込んでわざわざ成らなくても、影山さん自体が最強の駒なんですから無理はしない方がいいと思いますよ。」

「そういう大久保君も飛車かあるいは角みたいに色んな所に移動してないで、自陣をもう少し守ってください。

 大久保君の後ろにいる王があなたを後ろから刺すかもしれませんからね。」

「北条総理ですか?」

 大久保は顔をゆがめて聞く。影山は笑顔で

「総理は敵陣にいると思いますよ。玉ではなく金かあるいは銀くらいのものだろうけどね。」

「わかりました、気をつけときますよ。

 あの人が今更裏切るとは思えませんけど。」

 大久保はそう言い残して、大きな道の方に消えていった。

その後ろ姿を見ながら影山はひげを弄びながら、

「この変装も限界だな。そろそろ、本当の僕に戻る頃合いなのかもしれないな。」

 そう言って、ニヤリと笑った。


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