45部
「大井さんは左腕に負傷しましたが命に別状はなく、現在は警察病院に入院中です。
安静の状態が続いているので、正式な事情聴取はまだできませんが、影山が社長であったことは確認できました。
大隈さんの殺害にも関与していた可能性が高いとの証言も取れました。」
上田が報告すると山本が
「捜査一課はその証言からどう動くつもりだ?」
「影山についての情報が不足しているので指名手配するのには二の足を踏んでます。
こちらの情報も確定のものではないので、提供できませんし、影山秀二として指名手配するべきか影山光輝として指名手配するべきかわかりませんからね。」
上田が言うと三浦が
「影山秀二で手配して、捕まえてからでいいじゃないですか?
どっちにしても戸籍の偽造とかそんなことでは捕まえられる訳ですから。」
「別件逮捕は違法捜査だ。
法律を知り尽くしてるような影山相手にそんなことしたら手が出せなくなる。」
山本が言い、大谷が
「別件になるんですけど、諸外国での日本人による犯罪を外務省はずいぶん前からこの事態を把握していたようですが、公表を避けてきたようなので気になって調べてみたら、政府の発行した外交官が持つ旅券で渡航していることがわかりました。
諸外国からは日本政府が送り込んできた暗殺部隊なのではないかと強く批判されてます。」
「それって、この前もわかってたよな?」
三浦が言うと大谷が
「A国での事件以外にも要人の暗殺や日本にサイバー攻撃を仕掛けていたハッカー等も殺されてるみたいです。
捕まる前に自殺した犯人もいたようなので、真相がわからないからこそ政府の関与を否定できなくなってます。
事態は更に深刻になったと見るべきですね。」
大谷が言い終わると、電話がなって上田が携帯を見ると竹中からの着信だった。
「もしもし、竹中さん?
どうかされましたか?」
上田が聞くと竹中は少し怒りぎみに『山本に代われ!」とだけ言ったので、山本に携帯を渡した。山本は受けとると
「代わりました。
どうしたんですか?」
『お前、しっかり電話持っとけや!
何回かけたと思っとんねん!』
『かけたんは僕なんですけどね。』
後ろから高山の声もしたが山本はあえて触れずに
「すみません、色々とあって携帯を持ってませんでした。」
『まぁ、ええは。
こっちで調べとった苗木についてわかったで』
「何がですか?』
山本はあまり期待せずに聞いたが、竹中は驚くべきことを告げた。
『テレビでやってるA国の要人殺害の実行犯の中に苗木和也がおったらしい。
色々と確認しんとあかんことはあるけど、その捕まっとる奴が安藤やったら入れ替わった相手が生きてたことと、入れ替わった奴が外国で悪いことしてるっていう影山の計画が立証されることになるでる』
「それで確認は終わったんですか?」
『そのつてがあったらもうやっとるわ。
そっちでなんとかできへんか?』
「武さんに頼んでみます。」
『大丈夫なんか?
あの人等は信用できるんか?』
「わざわざ捜査命令を出しているということは、少なくとも事件を解決させる意思はあると思います。
あの人達が何を考えていても俺には関係ありませんからね。」
『そうか…………………とりあえず任せたわ。』
竹中はそう言って電話を切った。山本は席を立ち部屋から出た。




