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25部

「いや、まず、警部と連絡がとれるなら、保護を優先するべきだろ!」

 上田は伊達からの電話に向かって叫んだ。

『今回の警部が巻き込まれた事件は確実に警察関係者が絡んでます。特に僕らは同じ課なので匿うこともできませんから、情報の共有は避けた方がよかったと思います。

 それに今の論点は警部の身の上話ではなく、影山のことですよ。』

「そうだとしてもだな…………………」

 上田が言い返そうとしたところで、後部座席から手が延びてきて、上田の携帯を奪い取り

「それで?話進まんから変わったけど、結局俺らに何を調べさせる気なんや?」

『ああ竹中さん、そんなところにいたんですね。

 ダメですよ、謹慎中は大人しく家にいないと。』

「誰がゆうてんねん。

ええやろ、上田よりは話が進むで?」

『………………………そうですね。

実際のところ、僕らが今、警部の周りの人を調べるのはあまりよくありません。

 捜査一課の方で加藤さんの事件を調べてるならなおさら、僕らに注目が集まるのは避けたいですから。

 僕らが任されている捜査から脱線しないようにしましょう。』

「いや、『僕ら』って、お前ら三人はまったく捜査してないだろ」

 上田が言い、竹中が

「まぁ、その辺は置いといてやな、片倉や松前が裏から色々と調べてんねやろ?

 俺らがするべき捜査ってなんや?」

『影山が自分を実験台にして、人が入れ替わっても気づかれないのかを試した結果は成功したと言っても過言じゃないですよね?

 実の母親はでき損ないの次男が家を勝手に出ていったと思ってるし、友人達は影山光輝の死を嘆いて事件を起こしたものまでいる。

完全に入れ替われたわけですよ。

 それを使って今回の失踪を起こさせているなら納得できると思いますよ。』

「影山があの会社の人間と接触してないかを探ればええんやな?」

『そうですね。あの会社で怪しい人物とかいなかったですか? 』

「あやしい人物ねぇ……………」

 三浦がいい、上田が

「例の出資者なんて怪しいと思いますよ。

 名前だけで顔もわからないから影山が使ってる偽名の可能性は十分に考えられると思います。」

「まあ、そういうことや。

 こっちは謎の出資者を探す、お前らは何を調べてんねん?」

『加藤さんの事件とあとは正体不明のジジイの身元ですかね。

 まぁ、ジジイの件は僕の単純な興味なんで無視してください。

 ただ、加藤さんの事件は確証はまだですけど、尻尾は見えてきたかもしれないです。

 確証が出たらお伝えしますので、加藤さんによろしく言っといてください。』

 伊達はそう言うと電話を切ってしまった。

「加藤に何をよろしく言うねん?」

 竹中が上田に携帯を返しながら聞いた。上田が

「そのままの意味じゃないですか?

 もう少しで犯人を捕まえられるぞってことだと思いますよ。」

「警部の話はどうなんですかね?

 死んでると思ってた人が生きていて、生きてると思ってた人が死んでいて。

 例えば、一連の事件が解決して影山を捕まえたら誰の名前で起訴するんですか?」

三浦が聞き、竹中が

「そら、影山光輝の名前やろ?」

「でも、正式な手続きで死亡が確認されてるんですよ。

 それに影山光輝だと証明できるかによりますよね?」

 上田が言い、三浦が

「警部が探してる確証を持った人物が見つかれば話は早いですけど、俺達が探すと面倒なことになるって話でしたね。

 石田准教授が最も信頼していた人物は誰か、まず僕らは石田准教授がどんな人なのかもよくわかってないですからね。」

「山本の幼なじみで、黒木議員とも仲良し、それくらいしか俺らにはわからへんからな。

 そこは山本が自由に動き回れるようになるまで待たんと俺らにできることはほぼないやろな。」

 竹中はそう言って後部座席に寄りかかった。

「とにかく、僕達は謎の出資者からあの会社をもう少し調べましょう。」

上田が言い、三浦が

「どうやって調べますか?」

「竹中さんのリストからとりあえず就業体験を受け入れてる企業を回ろう。もともと出資者が見つけてきたのなら、企業の誰かが出資者と直接会ったことがあるかもしれないからな。」

上田の言葉を聞いて、三浦はリストから近場の企業を探して車を発進させた。

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