16部
「はい、今は上田さんと三浦さん、今川さんと藤堂に分かれて聞き込みに言ってます。相変わらず伊達さん達は何をしてるのかわからない感じです。」
大谷は電話で話していた。向こうからはきつめの関西弁で
「それで?今は何を捜査してるんや?」
「例の信号機の捜査利用が始まって失踪者や行方不明者が次々に発見される中で、ここ最近になって新たに失踪者が出ているんですよ。
素人が簡単に信号に見つからないように移動しているとは考えにくいですし、現状、失踪しているのは満期で出所した前科者と自殺願望のある者です。
竹中さんはどう思いますか?」
大谷は現在謹慎中の竹中警部と個人の携帯で話していた。別に誰かに盗み聞ぎされているとかは考えていないが、こっちの回線の方が気分的に楽だったのでそうしていた。
「信号から隠れながら移動できる方法を教えてる奴がいる、あるいは組織的に移動を誤魔化せるような・・・・旅行のツアーみたいな感じでバスに詰め込んで一斉に動かしてるんやったら、怪しまれずに移動することはできるんとちゃうか?」
「それなら、バスの使用履歴みたいなものを調べれば怪しいものが見つかるかもしれませんね。」
「上田はそのへん気がついてへんのか?」
「自分の捜査にかかりきりで、情報をまとめてるのは僕なので、そこに考えが言っていても証拠をつかんでから報告するつもりなのかもしれないです。」
「なるほどな。ほんで?
情報はどんな感じで集まってるんや?」
「失踪者の中にはひきこもりだった人がいて、ひきこもり支援を行っている会社の世話になっていたことや前科者の人の中には、前科が理由で就職がうまくいかず人生に困っていた人なんかもいました。
今までの聞き込みの結果としては、捜索願に書かれていること以外の情報ではひきこもり支援の会社のことがわかったくらいですね。」
「消えた自殺願望者はみんなその会社の世話になってたんか?」
「そういうわけではないですけど、その会社が最近、脱ひきこもりに成功しているというので、実績から依頼する保護者が増えているようです。
そのためか、聞き込み中に名前が何度か出てきたみたいですよ。」
「その会社、何て名前や?」
大谷は資料を探してつかみ上げ、
「え~と、株式会社『蝶々』です。
何でそんなこと聞くんですか?」
「暇やから、ちょっと調べといたるは。」
「ちょ、ちょっと待ってください、竹中さんは・・・」
大谷が言いかけたところで『ブツッ』と電話のきれる音がした。
大谷はため息をついてから
「まあ、仕事が一つ減ったと考えれば・・・・・」
そうつぶやいたが、新しい仕事が増えそうな気がして、またため息をついた。




