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淡きもの  作者: 朋太郎
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山で逝った君に送る言葉

淡きもの、それは人の命か。

 正月休みが8連休となった私は、久し振りに三村君のお墓参りに行った。8連休が12月28日から始まり、休みに入り6日目となった正月二日は、快晴に恵まれ暖かい。市営の墓地霊園には、正月を家族で過ごしている家族連れが何組か訪れている。私は、一人でそんな中を歩いて奥へ入っていった。彼のお墓の位置を思い出しながら、また、探しながら。霊園の中は、ずいぶんとお墓の数が増えている。それぞれのおH化は、正月の花を供えられ、少し華やぎ、きれいに掃除されている。沢山並んだお墓の群れの中を進んでいった。 彼のお墓の近くにも、いつの日かから多くのお墓が立ち並んでいる。すぐ横の区画には、幼くして亡くなった女の子のお墓なのか、小さな墓石に〇〇童尼と銘が刻まれたかわいい墓石が立っている。土の上に直接設置された小さな墓石には、いつも花がかわいらしく供えられている。しかし、そこへお参りに来て花を供えている人に会ったことはない。私は、そのかわいいお墓を目印にして、訪れる度に多くなっていくお墓の中で、彼のお墓の位置を探すようになった。 

 彼のお墓は、誰も訪れている跡は無く、この前私が来た時に供えた線香の燃え残りがいつものようにそこにあった。

 

 そんな月日が何年か過ぎてきた。私の日常は、変わらない。週4日の再雇用の日々を坦々と過ごしている。5年間の雇用延長期間満了日が迫ってきた。長かった職業生活から区切りをつけるつもりでいる。そんな今、職場の同僚であり、後輩であり、友人であり、兄のように慕ってくれた彼。その彼の事故死について、書いておくことが、今の自分にかされた使命の様にも思えてきている。


 当時、私はまだ若かった。職場の先輩の定年退職の記念に、有志で記念の日帰り登山をしようという話が出てきた。


 その先輩は、ハイキングが趣味で、よく歩いていた。その話を聞き、低山歩きに私が誘い、三村君も参加し、また職場の女性も二人参加して、5人でよく歩きに行った。計画は、先輩がいつも立て、案内文なども付けて、今度はここへと言って、誘ってくれた。そのグループに、ほかの人たちも加わるようになっていった。そんな経緯があって、記念登山の話が出てきた。






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