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異世界転移と残酷なる鬼神死生(ロストアビリティ)  作者: 乃ガマ
第1章「神を脅したら、異世界転移した。」
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第3話「振り向く運命」

君に出会えた運命様に超感謝を––



「・・・・・・痛い」


痛みからの目覚め。

なんと、嫌な目覚めだろうか。


チンピラ5人に集団でボコられた。


ボコられたことなんて、中2ぐらいまでだ。

中2からは、ほとんど、喧嘩に負けたことはなかった。


「魔法なんて、チートだぜ。魔法使えない一般人に使うようなもんじゃない」


俺は、氷を刺された腹を撫でる。

痛い。


制服は血で、(にじ)んでしまっている。


運が良かったのか、氷は、先の方しか刺さっておらず深い傷にはならなかった。


だとしても、顔はかなりやばいな。


口の中がすごい血の味がする。

口に溜まった血を吐き出し、ため息をする。


持っていた、ティッシュで顔を拭く。

余った、ティッシュを鼻に詰める。


体はどこも、傷だらけだ。

かなり、殴る蹴ると、好き放題されたからな。


「てか、魔法でねーし。おい、タイトル詐欺だろ」


元気のない暗い声音で、ボヤく。


どこが、魔法の書だ。

ぱちもん寄越しやがって。

そりゃ、売れねーわ。


「アイツとか、本なしだったし。意外だな。本なしで、魔法使えるのとか、俺とメインキャラとかだけだと思ったんだがなあ」


ホント、理不尽な世界のようだ。

異世界ってやつは。


俺は、制服についてる、ホコリとゴミを払い、荷物を持ち立ち上がる。


「クソッ」


異世界での初戦闘で負けた悔しみを感じながら、明るい市場の方へ歩んでいった。


=======================


体中が痛い。

それらを(こら)え、市場を歩く厄翔。


周りの人々は、傷だらけの厄翔を避けるように歩く。


顔でさえ怖いのに、傷だらけだなんて、人々にとっては近寄り難い。

厄翔を気遣う人も、話しかける人もいない。


「なんだよ.....クソが」


うっかりと口を滑らす厄翔。


横を歩いていた人は、その言葉にビクッと体を震わす。


それを見た、厄翔は後悔した。

それと、同時に。


(顔が怖いからって、誰か「大丈夫ですか」くらい言えよ)


と、悲しむ。


先程の喧嘩に負け、顔がさらに怖くなる厄翔。

そして、異世界の住人たちの薄情さにイラつく厄翔。


心まで暗い。


だめだと思うが。

異世界に来た不安なども募り、想いが爆発する厄翔。


(だめだ。喋るな。喋ったら、また怖がらせる。口を開くな)


そう、頭の中で唱え続ける。


弱々しい足取り。

厄翔は、予想外の異世界初日は、笑顔では終われないようだ。


と、思ったが。


(・・・・・・・・・・・え?)


今、横をローブを被った女の子が通った。

だが、その女の子は。


チラッと見えた横顔を厄翔は見逃さなかった。


厄翔は、振り向く。

そして、口にした。




「美少女.....!?」「大丈夫.....?」




(・・・え)


厄翔が振り向いた瞬間、美少女も、また振り向いていたのだ。


顔を見合う2人。


そして。


『・・・・・・え?』


厄翔は気遣われ、美少女は褒められたことに驚いた。


=======================


2人は、市場の先を行った噴水の横に、座り込む。


美少女の手からは淡いエメラルドグリーンに似た目に優しい光が、厄翔の腹を包む。


「すまねぇな。回復魔法的なの、使わせちまって」


と、厄翔は申し訳なく頬をかく。


ローブを外し、赤いツーテールを下ろした美少女は、苦笑いして。


「何言ってるの。あんな傷だらけな人を放っては、おけないでしょう」


と、言ってくれた。


誰も厄翔を気遣ってはくれなかった。

そんな厄翔に話しかけてくれたのは、この美少女だ。


救われた.....って言うのが一番合うかな。


彼女と会わなかったら、異世界を嫌うとこだった。


「ありがとな」


「かまわないわ、別に」


少し、素っ気無い美少女。


厄翔は、ジロジロと値踏みするように見る。


「な、何?」


さすがに、ジロジロ見過ぎたかと思う厄翔。


「いやぁ、美少女だなぁって」


「・・・なっ!?」


カーッと赤くなる美少女。


「冗談?」


「ちげーよ!ガチだよ!」


苦笑いする厄翔。


「顔見たっていうのに怖くないの?」


怯え怯え美少女は、問う。


「全然。逆に君の可愛さを生み出す異世界が怖いよ。てか、俺のほうが確実に怖いだろ」


「顔が怖くない?」とか、俺のセリフだろ。


「こ、怖くない.....?そっか、顔までは知らないのね」


美少女は、小声で喋る。


「ん?」


「い、いえ!なんでも.....って、ホントにあなた顔怖いわね」


「今更かよ!」


てことは、顔を見ることなく、傷だけで声かけたという事になる。

金目当とかでは、ないようだ。


(まあ、俺は、どー見ても金持ってそうに見えねーけど)


コイツ、いいヤツなのかもな。

直感だが、そんな風に思えた。


丁度、治療が終わったらしく、手を止める美少女。


そこで、大事なことを思い出す。


「そーいや、名前まだだったな」


おっほんと厄翔は、わざとらしく咳払うと、


「俺は、御仁井(おにい) 厄翔(やくと)だ。厄翔でいいぜ。よろしく頼む!」


ドンと、胸を張る厄翔。


「オニイ.....ヤクト?変わった名前ね」


と、不思議そうにする美少女。


「うーんとな。俺は、とある森の集落出身なんだ。名前は、集落ではこんな感じだぜ?」


完全な嘘だ。

なぜならば、「異世界人なんだ、俺!」。

.....なんて、言ったなら完全に怪しまれる。

怪しまれないにしろ、変な人とか、信じてもらえないに違いない。


「そうなんだ。私は、アエ.....」


美少女は、何か言おうとするが、出かけた言葉を飲み込む。

それから、ジーッと厄翔を見て。

「森出身者らしいし、大丈夫かしら」と、小声で言い。


「アエリナよ。よろしく」


美少女は、アエリナと名乗った。


「アエリナかぁ。いい名前だなあ」


まあ、お決まりだが、口に出てしまった。

流れ的にこうだしな。


「本当に思ってる?」


下から厄翔の顔を覗き込み、怪しむアエリナ。


わーお、かわいい。


「まじ、まじ。美少女の名前にぴったりだぜ」


キメ顔で、厄翔は、覗き込んできたアエリナに照れ隠ししながら、言う。


「そうゆう、変態的発言はやめてくれない?ムカつくから」


と、むくれて言うアエリナ。


「変態的発言が出るのは、アエリナが美少女だったことが悪....い、だだッ!!」


「あーうるさい。うるさい」


頰を抓るアエリナ。


「ちょ、俺、ケガ人なんだけど」


「ヤクトは、治すとこが、たくさんありそうね」


「おや?また治してくれるのかい?」


厄翔は、アエリナのその発言に目を輝かせ、


「なら、こんな人目のつくとこでなく、暗い、裏路地へ......い、だだッ!ごめんなさい!冗談ですぅ!!」


また、抓られてしまった。


そんな、アエリナを見て、厄翔は思う。


まだ、出会ったばっかだ。


だが、思った。


これは、運命だと。


赤髪のツーテール。

凛とした大きな瞳。

背は小さめで、小柄。

言葉と声音には、貴族のような、

いや、それ以上の威厳と力強さ、優しさを感じだ。


この子は.....


「俺のメインヒロ」

「大変だぁ!!」


厄翔の言葉を遮るように男が、厄翔たちの前を通り過ぎる。


かなり、慌てていた様子だ。


「な、なんだぁ?俺の喜ぶ瞬間を狙ったように、邪魔しやがって」


厄翔が、気を落としていると。


「ちょっと話聞いてくる!」


アエリナは、前を通り過ぎた男を追いかける。


「え、ちょ、待てよ!」


傷が治ったばかりの厄翔は、素早く行動が出来ない。


腹を抑えながら、走り出す。


「ちょ、アエリナさん。早くね?」


すでにアエリナは、数メートル先を走っていた。


=======================


「や、やっと、追いついた...おえっ」


吐きそうになるのをグッと堪える。


アエリナは、男に事情を聴いてるようだ。


「で、変な獣人の2人組が急に店に来てな」


男は、こめかみに血管を浮かべながら怒る。


「店の金を、盗みやがったんだ!」


アエリナは、真摯に話を聞いている。


「だから、衛兵に捕まえ」

「わかったわ。後は私に任せて」


と、言うと。


またも、走り出す。


「ちょ、お嬢ちゃん!」


厄翔は、一瞬固まる。


「まぢかよ.....」


疲れた体に鞭を打ち、先ほどより遅い足取りで走り出した。


=======================


「アエリナってば、意外に体力あり過ぎ」


そんな風に嘆いていると。


「グハッ!」

「ブファッ!」


近くで、戦闘が始まっているようだ。


アエリナは大丈夫だろうか。

厄翔は、アエリナの心配をしながら、彼女の姿を追っていたが、途中でスタミナ切れで見失った。

市場にいた人の話を聞き、ここらへんだということは分かった。


「俺、まだこの世界じゃ、レベル10ぐらいなんだけど」


魔法が使えない俺には、この拳しかない。


「いつかは、魔法を覚え、勇者として、アエリナの手を引っ張って冒険に出るぜ!」


などと、未来を考える。


「観念しなさい!」


「そうよ!そうよ!」

「もう、諦めろ!」


ん?アエリナの声だ。

他の人の声に混ざって、アエリナの声がした。

まさか、戦闘している近くにいるのか?

分からないけど、巻き込まれたら心配だ。

急ごう。


厄翔は思うより早く、走るスピードを上げる。


長い一本道を左に曲がると.....。


「この、女!」

「いや、兄貴、この女は......!」


蛙に似た獣人の兄弟らしき男たちが、この世界の硬貨の入った包みをジャリジャリと音をならせながら尻餅をついて倒れていた。


「ま、まさか!」

「や、やばいよ!魔王の魔獣を倒した...」


(.....ん?魔王?魔王いんの?)

「へえ〜」と、厄翔は関心した。


”魔王の”魔獣って言うぐらいだ。

強いのだろう。


(コイツらが言った魔王の魔獣を倒したヤツって、どんなヤツだ?)

と、思い、2人の目の先を見ると。


赤髪のツーテールを揺らす。



『勇者、アエリナッ!?』



彼らは、目を見開き驚いていた。


「へ?」


先ほど会った美少女。

アエリナがいた。


アエリナと目が合うと。


「お前、勇者なの.........?」

ピクピクと眉が動く厄翔。

震える手でアエリナを指差す。


どうやら、俺の方が勇者に引きずられて大冒険に出るようだ。

どうも、乃ガマです。

ついに軸となる2人が揃いました!

また、2日後の9月8日投稿予定です!

次回は、第4話「勇者と一文無し、冒険に出る」。

確実に1人、不安でしかない。

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