表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

最期の手榴弾

作者: 野路えりー

ハンドグレネードのピンをいじる。

栄養が行き届いていない僕の指では、もう硬い。

出来ればこれを敵陣に向かって投げたかったけれど、それはもう無理な話だ。

厳しかった上官も、肉が食いたいと笑った友も、真新しい死の臭いが鼻を突くこの中で逝ってしまった。

僕は未だ見ぬ娘に会いたくて躊躇ってしまった。

四散した誰かの腕が「早く来いよ」と僕を招く。

ああ、行かなければ。

最期の力を振り絞り、指に力を込めた。

どうせ死ぬのに楽もくそも尊厳もあるものか。

ハンドグレネードのピンを抜く。

後三秒もすれば爆発するそれを、僕は胸に抱かずに

光の差すほうへ思いっきり放り投げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ