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〇〇系女子×〇〇系男子。  作者: 相良亜貴
5/10

寒色系女子×カフェ系男子。 後篇

莉紗(りさ)ちゃん、ドアのプレート、“Close”に変えてきてくれる?」

「分かりました」


9時を過ぎ、閉店した【Kaleidoscope】の店内は、いつも広く感じる。


「莉紗ちゃん、今日も迎え?」

「いえ。2人とも出張なので、歩いて帰ります」

「それなら、僕が送っていくよ。着替えたら店の中で待っていて」


そう言って階段を上がっていった雅臣(まさおみ)さん。自宅兼カフェとなっていて、2階が自宅らしい。


着替え終ってフロアに出ると、雅臣さんが待っていた。


「待たせてしまってすみません」

「ううん。じゃあ、行こうか」


互いに無言のまま、徒歩7分の私の家に向かう。会話もないし、ましてや手を繋ぐ、なんてこともない。

やっぱり、なんて思っていると、不意に陣内(じんない)さんの言葉を思い出した。


「あの、」

「ん?」


私達は、付き合っているんですか


口を衝いて出た言葉は、雅臣さんに届いたかどうか、なんか分からない。何も言わないし、何の反応もない、なんて。


「――莉紗ちゃん、なんでそう思ったのかとか、色々聞きたいことがあるから、お邪魔してもいいかな」

「あ、はい」


いつの間にか家に着いていたようで、鍵を開けて雅臣さんを迎え入れる。雅臣さんには敵わないけど、と思いつつ、彼の好きなコーヒーを用意して、ソファに並んで座った。


「それで?どうしてそう思ったの?」

「雅臣さんが、その、手を出さないから、」

「それと、あの男の子は誰?」

「男の子?……ああ、親友の彼氏です。けど、それが何か、」

「補講は?誰とだったの?」

「先生と、クラスの子です」

「男子も、女子も?」

「はい」


質問攻めにした後、彼は深いため息をついた。


「今から凄いかっこ悪いこと言うね」

「あ、はい」

「凄く、嫉妬した」

「…」


驚きで、言葉が出ない。顔も多分、間抜け面。


「補講って聞いて、男子と、なんて考えちゃったし、君の親友の彼氏と話しているのを見て、余裕なくなったし」


それに、


「手を出さない、じゃなくて、出せないんだ。きっと、一度触れたら理性なんかなくなる。それほど君が好きなのに、君は俺が好きじゃないの?」

「…好き、です」

「うん、知ってる」


ふわりと笑った雅臣さん。


「何回も手を出そうとしたけど、君を傷つけるんじゃないか、って怖かったんだ。俺のせいで君が余計な傷を負わないように、って思ってたけど、それが逆に君を不安にさせてたみたいだね」

「…全然知りませんでした」

「かっこ悪いからね」


君の前ではかっこよくいたいから、なんて。困ったように苦笑して、コーヒーを飲んだ。


「あの、」

「ん?」

「私は、雅臣さんに手を出して欲しいです…」

「…始めて見たなあ、莉紗ちゃんが顔を赤くするところ」


きゅ、と雅臣さんに手を握られる。

不意の行動に、どきりとした。


「ごめんね、止められないかも」

「はい」


ふわり、重なった唇は、苦くて甘い。

どうも、Transparenzの相良亜貴です。


今回、前篇後編に分ける予定はありませんでした。まさか、こんなに話が長くなるとは。といってもそんなですけど。


ちょこっと裏話。実は、雅臣さんは初期設定では年下でした。あざとい系にしようかと思いましたが、無理でした。まず、莉紗との話が弾んでくれない。ということで、年上にしてみたらスラスラやっちゃって。ありがたかったですね。

そして、寒色系、の意味ですが、まあ、クール系ってことです。イコールで考えてもらっても構いません。ちなみに、この「寒色系」っていうのは、友達と話してて思いつきました。


次回は年の差か、オネエのつもりです。


では、またお会いできる日を楽しみにして。

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