表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〇〇系女子×〇〇系男子。  作者: 相良亜貴
4/10

赤面系女子×無表情系男子。

すぐに顔が赤くなる、なんていつも不利だ。


「…」

「…」


人と対面するだけで、自分の意志に関係なく赤くなる。

例えそれが、クラスで1番苦手な人に見られたとしても。


「ん」

「え」

「手」

「あ、はい」


何故、私がクラスで1番苦手とする高槻(たかつき)君と一緒に、手を繋ぎながら歩いているのかというと、話は数時間前に遡るーーーー。



「…」


しまった、と思った。昨日すぐに寝てしまって、和訳するのをすっかり忘れていた。

焦りでどんどん顔が赤くなっていくのが分かる。


『じゃあ次、咲野(さきの)


やばい、なんて思いながらそろそろと立ち上がる。その時、横から紙を渡された。もしかして、とそこに書いてあったことをそのまま読む。


『OK、次は…』


少し角ばった綺麗な字は、隣の席の高槻君の字だ。

授業後、かなり勇気を振り絞って声を掛ける。もう既に、顔は赤い。


「あの、ありがとうございました」

「…」


眼鏡の奥から射抜くような視線。彼のこの視線が怖くて、少し…嘘、かなり、苦手。


「礼はいらない。その代わり、頼みたい事があるんだけど」

「何でも言ってください。責任持ってやり遂げます」


そう言ったのが間違いだったと、数十秒後に気付く。彼の眼鏡の奥が、怪しく光った気がした。


「なら、俺の彼女役になって」

「え…?」

「責任持ってやるんでしょ。今日の放課後、勝手に帰らないように」


話はそれだけ、という風に次の授業の準備をし始める高槻君。誰も話しかけんなオーラが凄い。

でも、私の頭の中はかなり混乱している。


なんで、私。


結局、高槻君のオーラに負けて、拒否権を発動出来なかった私は、大人しく生徒玄関で彼を待った。そして、何故か会って早々「手」と要求された。

そして、話は冒頭に戻るーーー。



「付き合い始めたのは1ヶ月前。デートはまだ。キスもまだ。いい?」

「は、はい」

「それから、俺の名前は“(いち)”って呼ぶように」

「い、壱君…」

「……まあいいか。俺も“ひかり”って呼ぶから」


急に呼び捨てにされて赤くなる顔。


「…なんで赤くなるわけ」

「その、すぐに顔が赤くなってしまうので…。え、えっと、どこに向かっているんですか?」

「すぐそこの噴水広場」


高槻君……もとい、壱君曰く、「面倒な奴がいる」とのこと。なんでも、2週間ほど前から、断っても告白し続ける女の子がいるらしい。彼女がいる、と言えばもう告白してこないだろう、と思い、私に「彼女役を」と言ったらしい。

その女の子のメンタルが羨ましいなあ…。


「ふふ…」

「…何がおかしいんだよ」

「壱君って、意外といっぱい喋るんですね」

「…」


そう言うと、驚いたように目を丸くした壱君。

あ、表情が変わった、なんて考えていると、前方から『高槻さん…?』と呼ぶ声がした。声のした方を見ると、可愛らしい女の子。


『その方って、』

「ああ、彼女だけど」


彼女の手にはリードがあり、犬の散歩中らしい。

キッ、と彼女が私を睨む。


『あの!高槻さんのこと、本当に好きなんですか!?』

「す、…」


好き、の2文字が出てこない。これを言えば壱君は困ることがなくなるんだろうけど、恥ずかしさでどんどん顔が赤くなっていく。


「ひかり、行こう。悪いけど、俺はこいつが好きだから」

『…そうですか。ありがとうございました』


下を向いている彼女の横を、壱君に手を引かれて通り過ぎる。


「よくあのタイミングで赤くなったな」

「なんか、見つめられるのもダメなんです。恥ずかしくなっちゃって」

「…そう」


物凄く、微妙な空気。さっきまで沈黙がなんともなかったのに、今は、少し息苦しい。


「あの、私、駅なので、ここでいいです。ありがとうございました」


するり、壱君から離した手は、もう一度彼に取られた。


「さっきの言葉、嘘じゃないから」

「さっき…?」

「タイミングの話の、前」

「前、って」


再び赤くなっていく顔。でも、赤くなる意味はこれまでとは違っていて。


「それ、いつもの?それとも、俺が原因?」

「い、壱君のせい、だと思います…」


不意に耳に顔を近付けて囁いた壱君。その言葉に、更に真っ赤になる。


そんな私を見て、壱君は私の前で初めて、笑みを浮かべた。




ーーーーーー早く、俺を好きになって?

どうも、Transparenzの相良亜貴です。


ごめんなさい、嘘つきました。後篇は次回です。

もう少し待ってください。


さて、毎度お馴染み 裏話。

今回の話は、突発的に浮かんだものです。ヒロインのひかりちゃんは直ぐにキャラが定まりました。問題は高槻です。初期設定は、チャラ男。絶対ひかりちゃんがビビる、と思い、優しい系に。……なんかちょっとウザかった。そして、今のクール系に。好きな人が隣にいるのに、照れたりドキドキしたりが顔に出ない高槻。よって、無表情系に。

表情の現れ方が全く違う2人は、多分清らかなお付き合いをするんでしょう。高槻はああ見えて傷付けるのが怖い子なので、ひかりちゃんを大事にするでしょう。絶対に大雅みたいにはなりません。絶対。


登場人物が多くなれば、関係性をまとめる回があったりなかったりするかもです。


では、また会える日を楽しみにして。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ