狼系男子とその彼女。
俺のベッドに座り、スマホに一生懸命な梓。でも、LINEとかTwitterとかじゃない。乙女ゲーム。
「あ、春陽からLINE来てる。エンドのことかなー…」
誰に聞かせるでもなく呟き、返事を打っている。
向かい側に座っている俺には目もくれない。溜息をついて手元にある雑誌をめくるが、内容は頭に入ってくるわけもなく。もう一度溜息をついて、真剣にスマホを見ている梓の横に座った。横から彼女のスマホを除くと、長文が送られてきていて、それに対し、梓は"羨ましい"と"そろそろ彼氏に構ってあげろ"と送る。自分の事は棚に上げた状態で。
LINEを閉じて、さっきとは違うゲームアプリを開こうとした梓。咄嗟にスマホを取り上げる。
「あー!何するんですか、大雅さん!」
「うっせ」
スマホをサイドボードに置き、梓を押し倒す。
「構ってあげねーと拗ねるんだろ?」
「それは佑樹君の話であって、先輩の話じゃ」
「先輩って言ったな」
「げ…」
梓が「先輩」「夏目さん」と先輩後輩だった時の呼び方で呼んだ場合、梓からキスするという約束をしている。
どうせ、慣れてきたから、と油断したんだろうけど。
「ほら、早く」
「無理無理無理無理!大雅さん絶対セ…ヤるもん!」
「当たり前だろ」
2人っきりなのにシないわけがない。
「そうじゃなくても、お前は約束破るつもり?」
「う…」
約束を破ったり破られるのが嫌いな梓。ポリシーに反する事はしたくないだろう。
少し間が空いて、梓は目をつぶって、小さく自分の唇を俺の頬と合わせた。
「は?」
「許してください」
「何、今の」
「キス……じゃないですね、ごめんなさい」
手で顔を隠す梓。
その手を片手でまとめ、頭の上で固定した。
「観念しろ、ばーか」
「大雅さんの方が、」
「馬鹿とか言ったらすぐ挿れるぞ」
「ごめんなさい頭いいです」
生意気な口に、噛み付くようなキスをした。
「ん…」
甘い声を出す梓に満足する。
ただ梓は、自覚してないけど、キスが好きで、甘えたがりになる。嬉しいけど、時々、困るほどに。
それでも
「大雅さん?」
「あ?」
「んー、だいすきですー」
唐突な告白に頬が緩むほどには、俺は梓に溺れてるんだろう。
「梓」
「ん…?」
今の梓の顔はめっちゃエロい。そして、俺の好きな顔の1つ。
「俺以外にその顔見せんなよ?」
「ん、約束するー」
頬に添えていた俺の手に顔をすり寄せる姿が愛おしく、欲情する。
「大雅さん」
「ん?」
「大雅さんも、私以外にそうやって触れないでくださいね?」
ギリギリで保っていた理性が吹き飛んだ。
「梓、悪い」
「え?」
「もー無理。ヤりたい」
「私も、大雅さんに触れたいです」
笑った梓に、激しいキスをした。
多分、というより絶対に、こいつに飽きることは無いんだろう。
小さく笑いながら、今日もまた、快楽へと身を投げた。
どうも、Transparenzの相良亜貴です。
タイトル詐欺。次回は、ちゃんとします。多分。
そしてそして、裏話。
実は、もっとラブラブさせるつもりでした。でもまあ、歯止めがきかない相良さんなので、今回は自制しました。R-18とまでは行かずとも、R-15は行っちゃうので。
いつか、続きを書くと思います。このカップルは好きです。大雅さんが好きです。梓も大好きです。
次回は、今回と前回の彼女達の親友が登場です。
では、また会える日を楽しみにして。
*2016/08/27 加筆修正しました