Propose -莉紗×雅臣-
お久しぶりです、Transparenzの相良亜貴です。
今回は6月の第1日曜日がプロポーズの日ということで、個人的に好きな莉紗と雅臣のお話にしました。
では、また会えるのを、楽しみにして。
\後書きを読むことを忘れないようにしてくださいね!/
「莉紗、お疲れ様。帰り、送ろうか?」
「えっと、お願いします」
この辺りでは有名なカフェ【Kaleidoscope】は私の彼氏である、日向雅臣さんのお店。高校、地元の大学を卒業したあとも、このお店で働き続けている。
片付けと着替えを終え、雅臣さんを待っていると、いつもは持っていない車のキーを、手で持て余している姿が見えた。
「莉紗、今日はちょっと時間貰ってもいい?」
「はい、大丈夫です」
「良かった」
柔らかく笑う雅臣さん。彼の横はいつも安心する。
暫く車を走らせ、着いた先はちょっとした高台だった。星も、街の明かりも綺麗だ。
「すごい…」
生まれた時から住んでいたのに、全然知らなかった。私達以外は誰もいなくて、隠れた名所なのかもしれない。
「莉紗」
「はい」
少し息を吸って
ふわり、私の好きな笑みを浮かべて
「誕生日、おめでとう」
「え…」
言われてから思い出した。今日は、私の25歳の誕生日だ。
「それと、まだ言いたいことがあって」
「…はい」
「俺と、結婚してください」
一瞬何を言われているのかわからなくて。
徐々に、徐々に、心に広がってきて。
気付けば、涙が溢れていた。
「えっと……、泣くほど嫌だった?」
「ちが、…」
「…」
「すごく、嬉しくて。嬉し涙です、これ」
左手を取られ、薬指に指環を通される。華奢なデザインで私好みだ。
「ずっと俺のそばにいてくれてありがとう。これからも、よろしくお願いします」
「…私こそ、不甲斐ないですが、よろしくお願いします」
額を合わせて笑う。
永遠の愛を、貴方に。
* * *
「莉紗!」
「梓、春陽。来てくれてありがとう」
「何言ってんの、行かないわけがないでしょ」
「そうだよ~。莉紗、めっちゃ綺麗!」
「ありがとう」
結婚式が始まる少し前、控え室に親友の2人が顔を見せにきた。梓は紺のタイトなドレス、春陽はパステルピンクのフレアなドレスで、2人とも似合っている。
「やっぱり、莉紗にはマーメイドドレスが似合うね」
「凄い綺麗」
「2人が選んでくれたものだもの。ありがとう」
「どういたしまして」
2人と笑いながら話していると、コンコン、と扉をノックする音がした。
「莉紗、入っていい?」
「旦那様の登場か」
「じゃあ、私たちは退散するね。莉紗、式も披露宴も楽しみにしてるね」
梓と春陽と入れ違いに、雅臣さんが入ってくる。
「…」
「…」
「……月並みの表現になるけど、凄く綺麗だ」
「雅臣さんも、かっこいいです」
タキシード姿の雅臣さんはいつにも増してきまっている。
「幸せすぎて、涙出てきた…」
「ああもう、泣かないでください」
「うん…しっかりするよ」
そう言うと、額に小さなキスを落とした。
頬が熱を帯び始める私に、雅臣さんは大好きな笑みを浮かべながらそっと囁く。
―――――――「愛してる」
はやる胸を抑え、莉紗(愛しい人)の控え室のドアをノックする。莉紗の親友が来ていたようで、入れ違いに部屋の中に入った。
「…」
「…」
「……月並みの表現だけど、凄く綺麗だ」
「雅臣さんも、かっこいいです」
頬を赤らめる莉紗がこの上無く愛しい。綺麗な花嫁を貰える自分はとても幸せ者で。
「幸せすぎて、涙出てきた…」
情けない俺に、泣かないでください、と笑う莉紗。何度も莉紗の笑顔を見てきたけど、何度見てもどれだけ時間が経っても、飽きることなどなく、幸せな気持ちになる。
「うん…しっかりするよ」
そう言って小さく額にキスを落とすと、さっきよりも赤くなる莉紗。可愛くて、愛しくて。そっと耳元で「愛してる」と囁く。
永遠の愛を、君に。