ゲーマー系女子×思春期系男子。
俺の彼女は可愛いと思う。つーか、めっちゃ可愛い。
だけど、俺的には残念な趣味を持っている。俺的には、だけど。
「なあ」
「…」
「おーい」
「…」
春陽の目の前には金髪碧眼というありがちな外国人。名前は確かアッシュ。身分は王子。声は優しくてちょっと低くてカッコイイらしい。ただし、あくまでスマホの中。次元が全然違う。
「はーるー…」
「しー。今いいところなんだから、静かにして」
彼氏なのに画面の中の王子に負ける俺。つら。
せっかく部活も休みで俺の部屋に二人っきり。なのに、色気もクソもない。
ふと春陽の方を見ると、静かに泣いていてぎょっとした。
「え、な、何?何かあったのか?腹でも痛えの?」
「違…、今回めっちゃいい話で…」
聞くと、身分違いな二人が、ようやく、晴れて恋人同士になったらしい。
知らねえよ…。
「あー、いい話だった…」
「終わった!?」
イチャイチャ出来るかも!とテンションが上がったけど
「まだ3つ残ってるー」
「…了解」
脱力してベッドに寝転がり、目をつぶって俺の存在意味について考える。
そもそも、春陽をこんなのにしたのは春陽の親友兼俺のクラスメイト、水原 梓。元々ゲーマーな梓ちゃんの所為で春陽が影響されてこうなった。人間、ハマったら早い。
「佑樹君」
名前を呼ばれて目を開けると、春陽の顔が目の前にあって驚いた。
「ビックリしたー…。喉乾いた?なんかいる?」
「ううん。梓がね、そろそろかまってあげなさいって」
春陽が見せてくれたLINE画面には“何そのエンド!うらやまー” “てか、そろそろ相手してあげなよ笑 拗ねるぞ笑笑 ゲームじゃなくて3次元でイチャイチャしなさい”とある。
「ゲームの方はいいの?」
「うん。佑樹君とイチャイチャしたい」
照れて赤くなりながらいう春陽が可愛くて、ぎゅっと抱きしめる。
「春陽、めっちゃ可愛い…」
「佑樹君、恥ずかしいよ!」
多分、っていうより絶対に顔が赤い。
「なあ、キスしていい?」
「ん」
真っ赤な顔で頷いた春陽を愛しく感じながらそっと口付けた。
「春陽、俺と一緒にいる時はゲーム禁止ね」
「え…」
赤い顔が一転、青くなる。
「ごめん、冗談…」
「よかったあ…。でも、出来るだけしないようにするね」
笑った顔に胸を打たれながら、今日もまた春陽を好きになった。
どうも、Transparenzの相良亜貴です。
初シリーズ、○○系女子×○○系男子。
如何でしょうか。日常を切り取れたんじゃないかな?と思います。
ちょっと裏話。実は、佑樹の設定はもうちょっとヘタレっぽい優男でした。
なんてったって、今の佑樹はただただ彼女とイチャイチャしたい思春期真っ盛りな男子高校生!DK!あんな感じになっちゃいましたね。
そんな佑樹は、普段は部活に励むバスケ選手。次回は彼の部活のマネージャーとその彼氏の話。どちら目線かはまだ未定です。
ちなみに、春陽は吹部のトロンボーン担当で、元々、のほほんとした子でした。
ちゃんと動く子っていいですよね。
では、また会える日を楽しみにして。
*2016/02/27 サブタイトルを変更しました
*2016/08/27 修正しました