武術修行っぽいの
学習と解明スキルを使った勉強は相当な成果を挙げてくれた。
そこでオレは更なる強化の為サラメーの町に武術の修行にやってきた。
ちょっと前までは村だったんだがこの街の住人達が意外とその道の有名人ばかりだったので、彼等に会いに多くの人がやって来て町と呼べる規模になったのだ。
やってくる人の大半は弟子志願、時折決闘や道場破りをしにやってくる連中も居るが大抵はボコボコにされて逃げ帰る、根性のあるやつはそのまま弟子入りをして更に町が大きくなって行く訳だ。
なので今回は大きくなった町の視察も兼ねての訪問である。
町の入り口にはなにやら門がありそこを通らないと中にはいれないようになっている、前に来た時は無かったよなアレ。
オレは並んでいる連中を横から追い越し門番に話しかける。
「お勤めご苦労様」
「ん?なんだ坊主、町に入りたいのなら列に並べ」
おっと新鮮な反応、俺のことを知らないのか?
「お、おい、この方は領主様だぞ!!」
行列待ちの男達に書類を配っていた門番があわてて俺の相手をしている門番を諌める。
「は?何言ってるんだ、こいつはガキだぞ?」
「馬鹿‼︎お前知らないのか!?このマエスタ領の領主様はまだ11歳なんだよ!!」
「え?マジ?」
「マジだ」
真っ青な顔になってオレの顔をうかがう門番、そうビビらなくとも怒ったりしないよ子供じゃないんだから、いや子供だけど。
ああ、そういえばオレとアルマは誕生日を迎えて11歳になっていた、
アルマに誕生日を聞かれた時バカ正直に本当の誕生日を祝うと、
死んだ事になっている昔の俺と同一人物である事がばれる可能性が増すと言うことでオレの誕生日はこの世界に来た日にした。
アルマ的にはオレと初めてあった日が良かったらしい。
っと話を戻そう。
「通って良いかい?」
「はっはい!どうぞお通り下さいませ!!」
「頑張ってねー」
門を潜り抜けて町の中に入るとなんとも暑苦しい光景が繰り広げられていた。
そこらじゅうで人々が訓練をしたり模擬戦をしているのだ。
とってもカオス。
町の中を軽く見て回った事で気付いたのが、特定の戦い方で住む場所が分けられているという事だ。
打撃技を学ぶ者、投げ技を学ぶ者といった具合に住み分けているようだ。
その中で一際異彩を放つ集団が居た。
彼等は平地に作られた壁を一心不乱に殴っていたのだ、しかも多い。
クリスマスに壁を殴ってた連中か?
ふと見回すとその中に誰も殴っていない壁が大量にあった、その壁は一列に並べられまるで何かの儀式が行われようとしているかのようだ。
とそこで見覚えの有る人物を発見する。
その人物は列に並べられた壁の前に立っていた。
「奥義!天昇壁波!」
コツンとでも言いそうなゆっくりとした拳が壁に当たる。
その瞬間殴った壁を残して後ろの壁が全て打ち砕かれた。
「な、なにやってんですか?」
「お?」
俺の声に答えたのはいつものあの人、我が師匠が一人、パルディノ=メッカーノだった。
「おー侯爵様じゃねぇの」
パル師匠の声に反応して周囲の人達が俺に注目する。
「あれが侯爵?」とか「子供じゃないか」といったいつものセリフが聞こえるがスルー。
「いったいこんな所で何をしているんですか?」
俺の質問に師匠はえーわかんないのー?といわんばかりのリアクションをしながら
「壁を殴っていたんだ・ぜ!」
「殴っていいですが?」
凄いウザいです。
「弟子怖っ!ちょっとしたお茶目じゃーん」
「それで何してたんですか?」
「来年のサンタ迎撃の為に修行してた」
そっかーこの人アホだった、周りで壁を殴っていた連中も頷いている。
って言うか人増えてない?
「なんか増えてませんか?」
「おお、わかる?実はこの町に来てからさー、クリスマスの事を話したら意気投合した奴等が一緒に壁を殴り始めてくれたんだよ。
そんで来年こそはサンタを倒すんだって皆で頑張ってるわけ」
「「「おおおおぉぉぉぉ!!」」」
ホント駄目だわこいつ等。
「そういえばさっきの天昇壁波とか言うのは何なんですか?」
「奥義!目覚めた!!」
おぉう・・・・・・この人は一体何処まで行くつもりなんだろうか、って言うか多才すぎだろう、こういうのを本当の天才って言うんだろうか?
「我が弟子クラフタよ」
急にパル師匠が真面目な感じになる。
「な、なんですか?」
「他者を羨んではいけない、自分に無いものを望むくらいなら自分が持っているものを極めよ、それが我等作り手だ」
おお、師匠がいつもの三割り増しでかっこよく見える。
「んまー俺ってば天才過ぎるし!俺を羨んだらキリが無いもんなーははははっ!」
前言撤回、この人は天才と何とかの何とか寄りの人だ。




