新スキル
イザーに神器の使い方を教わった俺は神器の中に収められたスキルを確認していた。
大星剣メテオラに治められたスキルの総数は108個、戦闘系と製作系、移動系など多種多様だ。
その中にはなつかしの強奪を初めとした見覚えの有るスキルも幾つか確認できた。
また同じスキルは複数存在しなかった、おそらく統合され等級が上がっているのだろう。
イザーの話だとスキルには等級による強弱は無く単純にどれだけ長い時間スキルの力とリンクできるかだけらしい。
等級は初級、中級、上級とありその等級に応じて使える回数が変わる。
これはスキルの力が治められている場所にアクセスできる権限の高さの問題らしい。
等級が高いほどアクセス回数が多くなるのだとか。
手持ちのスキルとあわせて使いたいスキルだけ自分にダウンロードしておこう。
ところでこれを活用すれば仲間同士でスキルのやり取りも出来るんじゃないか?
なんかゲームのステータス画面で戦闘に使うスキルをセットしているみたいな気分になってきたな。
そうなると戦闘系のスキルは持っておきたいな、切断と紅弾ソレに空中機動と検索は持って置いて、
逆に植物育成のような使わないスキルは農業をやっている人物に授けるのもありか。
ただ死んでしまったらアンデッドにでもならない限りスキルは失われてしまうだろうから注意が必要だ。
それに信頼できる人物で無いとスキルを授ける事が出来るのが噂になってしまう、人選は慎重に行わねば。
今の所無条件に話すことが出来るのはアルマとミヤくらいか。
師匠達は知っているだろうしスキルを求めてくる事も無いだろう。
さてどんなスキルを持とうか?
とそこで興味を引くスキルを見つける、学習スキル(初級)と解明スキル(中級)だ。
学習は集中力の上昇と学ぶことの効率が20%上がるスキルで、
このスキルがあれば学習がアップするみたいだ勉強だけでなく戦闘中でも相手の戦い方を学んだりできそうだな。
そして解明は見たモノを正しく理解するスキル、理解度が50%上昇するみたいだ。
つまりラブコメ主人公が女の子を押し倒して胸を触っている所に遭遇したら、
ああ、じゃれあっている内にバランスを崩して二人とも倒れてうっかりラッキースケベをしてしまったんだな、と理解できる訳だ。
凄いなこのスキル!!このスキルがあれば世の中の不幸な誤解が無くなるじゃないだろうか?
この二つのスキルがあれば苦手な教科の勉強をしていても教科書の内容があっという間に理解できる様になる訳だ。
居ても立っても居られなくなった俺は領主の館の中にある自分の工房に急いだ。
ミヤに命じて浮島の研究所にある資料からアイテムボックスに関する資料を持ってこさせる。
これまでの酷使で壊してしまった宝物庫を修理するのだ。
神器を介して学習と解明スキルを使った俺は早速アイテムボックスの資料を読み解いて行く、
今までは難解で理解が及ばなかった事がどんどん頭に入ってくる。
凄いなこのスキル、地味系だけど凄い当たりスキルだ、二つがセットになったことで更なる真価を発揮した感じだ。
しかも常時発動型のパッシブスキルなのも非常に良い。
あっという間に宝物庫の修理が完了した、それ所かアイテムボックスの構造を理解したことで自分でも0から作ることが出来るようになった。
試しに作ってみよう、机の引き出しの一つをアイテムボックスにしてみる。
箱の内側に亜空間と直結する為の空間の入り口を指定する魔法式を刻んでいく。
そうして出来上がった入り口に亜空間の網を作り出す術式と生き物は入らないようにする術式を組み込んでいく。
あとは保険に術式にほころびが出来たら中の物をすべて排出する様術式を刻む。
最後に術式を隠すための偽装を施す、俺の宝物庫なら糸に直接術式が仕込まれているのだが、
まぁこれはもともと只の木の引き出しだからね。
「っと、こんなもんかな」
さっそく何か入れてみよう。
そこらへんに合った書類をポイッと入れてみる。
すると引き出しに入った書類が消えた、ソレを確認した俺は引き出しに手を突っ込んで書類を取り出したいと念じると書類が表れる。
うむ、完璧だ。
こうなると知的好奇心が止まらなくなり、俺はすぐさま浮島に飛んで研究所の資料を隅から隅まで読み漁り、
夜になっても帰ってこないのでミヤが迎えに来るという事を数日繰り返した。
そしたら
「クラフタ様はとっても楽しそうですね」
嫁が拗ねた。
その為アルマの機嫌を直す為に数日間アルマと文字通りべったり過ごすこととなった、嫁をほっぽっといたらイカンよね。
資料を読み漁るのはほどほどに抑えて数日分溜まった書類を裁く。
こちらにも学習と解明スキルを使用したら書類仕事のコツが分かる様になっていつもより早く書類が捌けた。
もっと早く使えていればいままでの苦労は無かったのになぁ。
仕事が速く終わった事でミヤにバレて追加の仕事を持ってこられる前に早々に街に逃げる。
年末ムードなので街の住民も気持ち忙しそうだ。
うーん、冬の寒さは水の街であるこの街にはちとつらいな。
水路の水を温水にするかそれとも町をドーム上に覆うか?
資料を読み漁って得た知識を使いたくてうずうずしてる所為か色々とアイデアが止まらない。
幸い領主になったことで素材集めの手間はかからない、なんなら冒険者を雇って貴重な素材を狩らせるのもいいだろう。
その辺は後で冒険者協会に依頼を出すとするか。




