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左利きだったから異世界に連れて行かれた  作者: 十一屋 翠
期間限定イベント開催編
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祭りの準備

「恋人居ないーオイラたちゃぁぁぁぁ嫉妬を募らせ壁殴りぃーアァァァァァァ!!!」


なんか見覚えのあるリッチが壁殴っとる。

引き返そうとしたのだが運悪く目が合ってしまった。


「いょーう!侯爵様じゃねえの!!」


「何やってんですかパル師匠」


「何ってほらサンタを迎撃する為のトレーニングで壁殴ってたんだよ」


何言ってんだこの人?


「あっち見てみろよ」


パル師匠が指を差した方向には何人もの男性、一部女性が壁を殴っていた。


「サンタの頭を狙い打てートナカイ襲ってナッベにしろー」


「こーとしーのクリスマスちゅーうーしーですー」


「「「イェアァ!!」」」


気が狂いそうな光景だった。


「幸せなカップルが憎い連中が自主的に集まって、ああやって壁を殴ってるんだよ。皆の妬みを昇華するためにな」


全然良い話になってません。

どう考えても奇行を行っている異常者の集団にしか見えん。


「即刻辞めさせて下さいっていうか自警団や警備兵は何をやってるんだ!?」


「ん」


パル師匠のが示した先には明らかに警備兵と思しき連中が混ざっていた。


「減給だな……」


「そう言ってやるなよ、これはこれで役に立つんだぜ」


「適当な事言わないで下さい、壁を殴ることが何の役に立つんですか?」


「……見てな」


パル師匠は壁の前腰を落とし両の拳を腰溜めに構える。


「ひゅぅぅぅぅぅ」


呼吸を正し


「破っ!!!」


壁に向かって拳を放つ!

その瞬間、拳の当たった部分を中心に放射状の亀裂が入っていく。


「ふぅぅぅぅぅ」


再び拳を腰溜めに構えて呼吸を正していく、弓道で言う残心と言う奴か?


「終わりだ」


師匠の言葉と同時にピシリと言う音がしたと思ったら壁がガラガラと崩れて崩壊する。


「おお!流石はパルディノさん!」


「どう見ても干物ボディなのに壁がクッキーの様に砕けたぞ!!」


「壁殴りはかくありたいものだ」


「齢2000を超えて武の真髄に足を踏み入れることが出来るとはな・・・」


いやいやアンタアルケミストでしょ、何武術に目覚めてんの。


「壁の修理費の請求書送っときますね」


「そーりゃないぜー侯爵様ぁー」


後日壁殴り禁止令を出したら凄まじい数のクレームが来た、アレはアレでストレスの解消に役立っていたのだとか。

仕方が無いので街のはずれに隔離するように巻き藁的な壁を作ったのだが、

まさかそこが数十年後に打撃系武術のメッカになるとはこの時は想像もしていなかった。

って、できるわけねぇよ!



「明後日クリスマスってお祭りがあるんだって」


「明日から前夜祭があるみたいだね」


「急ぐ旅でもないんだし泊まっていかない?」


「そうだな」



「異世界なのにクリスマスがあるんだ」


「多分僕達のような異世界人が伝えたんだよ」


「面白そう!参加しよ!」


「どうする?」


「良いんじゃないか?」


「賛成」



散策を続けているとクリスマスに興味を持ったのか旅行客や同じ異世界人達が話をしているのをちらほらと見かけるようになる。

念のためステータスを確認しておくか。

最近色々と騒動があったので見覚えの無い人間はステータスを確認するようになった。

善悪の判別までは出来なくともクラスとレベル、そしてスキルの確認が出来れば対策の練り様があるからだ。


それにしても予想外に人が多い、祭りに参加するためにホテルの部屋がどんどん埋まっていく。

これはゴーレムホテルを急遽建造して部屋数を増やしたほうがいいな。

そうなると人員が必要だが、ああそうだ周辺の村から人を呼ぼう。

年末に良い金になるバイトが出来るとあれば彼等も喜んで来てくれるだろう。

あとは金の無い客用に寝るだけの宿を提供すれば最小限の人員で運営できるな。

思い立ったが吉日とミヤに通信機で現在の宿泊客の数とホテルの部屋の残り、そして部屋の埋まるスピードから逆算して必要な部屋数を予測して貰う。

後は街の商店に話を通してベッドなどの必要な品を揃える。


準備が出来たら街のはずれに出てゴーレムハウスを大量に作りそれを組み上げホテルにする。

ちょっとしたパズル感覚だ、近くに居た人達がその光景を見て歓声を上げる、口をあけて驚いているのは旅の人間か。

ウチの領民はショー感覚で楽しんでいる、慣れって言うのは怖いなぁ。


暫くすると必要な数のホテルが完成する。

ゴーレムハウスの見た目は四角い箱に薄い四肢が出たデザインだ。

壁の側面に薄く広い溝が入っていて他の部屋と連結するときは側面壁に掘られたスリットに四肢を収納するようになっている。

それが上に横に積み重なって建物の形を成していく、積み重なった後は連結ポールがお互い接続して固定する。

また手足の生えたゴーレムなので解体したいときにはバラすも移動するのも自在だ、街の景観を壊すことなく建替ができるのがゴーレムハウスの強みだ。

壊すことなく家が勝手に移動するので都市計画が建てやすいのが最大の利点と言える。

これは拡大を続ける都市が抱える老朽化対策でもあり、周辺の家を避難させて解体する必要の有る建造物だけを解体できるので周辺の家に迷惑を与えなくて済む、つまり住民の反感を買わないで済むのだ。更に戦時中は町ごと逃げる事が出来るので街が焼かれる危険が大幅に減らせる、民族大移動ならぬ建築物大移動だ。


建物が出来たのでベッドを初めとした必要な品を揃えて従業員を配置すれば簡易ホテルは完成だ。

トイレ周りは外付けでその分宿泊費はお安めと。

んーでもそうなると結構寒いしついでに銭湯も作っとくか。

かんたんなプレハブを作って水路から取り入れた水を火の属性石で沸かして、湯船の真ん中に柵を作って男湯と女湯を分けよう。


あとは食事を提供する場所の追加だな。

高級料理よりもご当地B級グルメを増やそう。

客が予想よりも多いし屋台だけじゃなくファーストフード店を作ってとにかく数を捌けさせよう。

後はサンタクロースを雇って、トナカイは・・・ゴーレムに着ぐるみを着せるか?


そしてサンタと言えばプレゼントだな。

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