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神話のお話

たくさんの感想ありがとうございます。

ストーリーに関わる疑問についてはおいおい紐解かれる予定ですのでもう暫くお待ちください。

また誤字脱字の指摘ありがとうございます。


観光施設として人工湖の水上レジャー施設、鉱物資源と製品を販売する鉱山街、

そして本拠にしてよく効く薬とストームドラゴンの骨格レプリカのあるクスジンの街。

この3つが現在のマエスタ領の名物だ。


ただ問題も幾つかある。


まずこの領地は周辺を問題に囲まれていたことが原因の僻地であること。

それゆえに寂れ、いや開発が遅れていたので領地には村が2つと街が1つしかなかった。

問題のうち二つ、湖と山は開発に成功した、まったくの偶然で。


ただ山の危険が無くなった所為で犯罪者や密猟者、そして恐らく他国のスパイとおぼしき連中が山を越えてくるようになった。

その辺は仕官希望の連中とゴーレムを投入して巡回と定期的な山狩りを行っている。

戦闘要員2名と索敵案内要員1名戦闘及び犯罪者捕獲用ゴーレム1体のチームを複数山に放っている。

ゴーレムはマーカーを持った人間は襲わないようにしているのでゴーレムが襲う=不審者と言う図式となり同士討ちを防いでいる。


湖はキャッスルトータスのドゥーロが主になったことで危険な生物の数がぐんと減った、お陰で漁師がまた漁に出れるようになったと喜んでいた。

ちなみにこの湖、くの字型の形状をしていて全長を測ったらなんと20キロ近くあった、前に見たときはくの字の一部だったようだ。


仕官希望の連中を雇って周辺の魔物狩りをさせた事で街道の危険が減ったので俺は定期馬車を増やすことにした。

念のため街道で魔物に襲われる危険を考慮して馬車の馬役はゴーレムに任せる事にした。

ディフォルメしたコミカルなゴーレムが引く馬車は人の目を引く、ついでにゴーレムの胸と馬車にチラシを張って街の宣伝をしておいた。

このチラシは只の宣伝だけでなく、俺の薬を求めてやって来る人達が無茶な行軍をしない為だ。

大切な人を助けたい気持ちは分かるがそれで無茶をして皆死んでしまっては意味が無い。

実際にそれをやって魔物に襲われ死に掛けた人達もいた、かろうじて助けられたが助けられなかった人達も居た。

お陰でけして安くない金額ながらゴーレム馬車は盛況だ。


だがやって来た人達は治療を受けることは出来てもその間住む場所が無かった、現在急ピッチで長屋を作っているが追いつかないのが現状だ。

難民キャンプ同然の平野には人がごった返しており治療の順番でイザコザが起きる事もあった。

まぁその辺は問題を起こした奴は順番を一番後に回すと言ったら大人しくなった、表向きは。


だからそれまでのつなぎとして病院を作ることにした、

体育館のような大きな空洞型の建物を造りそこに患者達を寝かせる。

豪華な掘っ立て小屋とでも思ってもらいたい。

これで患者は雨風をしのげる。


残る問題は二つの村だ、水路は引いたが正直特色も無いので開発は後回しになっていた。

この二つの村の開発もそろそろやらなければならない。

とりあえずゴーレムを派遣し開墾の手伝いをさせる。

あと出来ることは店を作ることか、クスジンの街と鉱山街の商品を村に持って行き店で売る。

住民は店に収穫物を売る、畑で作った作物、猟で得た獲物、薬になる薬草。

そうした物と物を流通させることで田舎の街の経済を循環させる。

俺としても多くの人々を養う為の食材と薬を作る為の薬草が手に入るので持ちつ持たれつだ。

特に鉱山街は怪我をする事が多いので薬草は必須だ。


なんとか領地経営も形になってきた。

細かい書類仕事は部下が全部やってくれる、自分は書類をチェックして判子を押すだけだ。


コレなら少しずつ領地の仕事も拡大出来るだろう・・・そう思っていました。



「領主様、領主様のペットがコレを・・・」


「ドゥーロが?」


ティーブレイク中の俺に漁師が持ってきたのは白い金属の含まれた鉱石だった。


見覚えが無い鉱石だったので検索スキルをかけてみる。


『オリハルコン 純度60%

神造の白い鉱石、非常に強靭かつしなやかな性質を持つ。

神の欠片と称され純度%の確立で接触したスキルを無効化する。

純度100%の鉱石と特定の素材を武具の素材として使用しさらにある条件を満たした場合、完成した武具は神器と呼ばれる物になる。』


ぶーッ!!!と口に含んだお茶を噴出す。

ちょっ、なんてモン持ってきやがった!!


「だ、大丈夫ですか領主様!!」


「あ、ああ。それでコレはどうやって手に入れたんだ?」


「といいましても、モネ湖で漁をしていましたら領主様のペットのでかいカメがやってきてコレを俺達に渡したんで領主様にもって行けばいいのか?と聞いたら頷いたんです」


「一息に説明ありがとう」


「そんなに凄いモンなんですか?」


「うーん、まぁ結構。ああ、ご苦労様帰っていいよ、あ、そこのお菓子持って帰っていいから」


「ありがとうございます、それじゃあ俺達はコレで」



漁師たちは菓子をもらって帰って行く、ちなみのこの菓子は名物の試作品だったりする。


しかしオリハルコンで神器でスキル無効か、盛りすぎだろう。

神器といえばおっちゃんの持っていた斧も神器といっていたな。

しかもそれが神話に関わるとか。

今夜辺り師匠に聞いてみるか。


・・・・・・しかし60%か・・・・・・やっちゃうか?・・・・・・



「というわけでオリハルコンをゲットしました」


「コレがオリハルコンなんですか」


夜の私室でアルマやアルテア様、それに師匠達のミニゴーレムと一緒に拳大の大きさのオリハルコンを見ていた。


『我もコレだけの純度のオリハルコンを見るのは初めてじゃな』


『すばらしいね、コレだけのオリハルコンならすばらしい道具が作れるよ』


『チョイ分けてくんね?』


『所でこのオリハルコンはいったいどれほどの純度なんだい?』


「100%です」


「『『『は?』』』」


「100%です、混じりッ気無しの」


『100%って、コレだけの大きさの物は相当貴重だよ』


『これだけあれば神器だって作れるぜ』


『量が少ないから小剣が精々じゃな』


元々60%だったが素材抽出スキルで不純物にスキルを発動させたことで100%のオリハルコンが出来上がったのだ。

オリハルコンそのものにはスキルは効かないがオリハルコンの周囲の不純物にはスキルも効果があったと見える。


「所で神器が古代の神話に関わると聞いたんですがどんな話なんですか?」


『ん?ああ、そうか。君は知らなくても仕方ないね』


『そうじゃな、アルマお前が教えてやれ』


「え?私ですか?」


『折角じゃ、たまには教える立場も面白かろう』


「わ、分かりました」


アルテア様に促されアルマが緊張しながら神話を語り始める。



昔々この世界にはたった一つの7色に輝く石が存在していました。

世界には何も無く7色に輝く石だけでした。

7色に輝く石は思いました、何も無いのは嫌だと。

7色に輝く石は自分を半分にしてもう一人の自分を創りました。

大喜びで7色に輝く石はもう一人の自分とお話をしました。

ですが すぐにつまらなくなりました。

もう一人の自分との会話は自分で自分に語りかけるのと同じ行為だったからです。

もう一人の自分が言いました、だったらもっと細かく分けてバランスを崩してみれば良い。


7色に輝く石はもう一人の自分の意見を聞き入れてさらに自分を分けました。

自分から色を分けて7つの色の石を作りました。

赤い石、青い石、黄色い石、緑の石、紫の石、黒い石、白い石。

7つの色の石はそれぞれ性格と力が異なりました。

7色に輝く石は色を失い透明な石になりました。


創造神と7色の神の誕生です。


創造神は7色の神に命じました。


違うもので満たせ。


7色の神は早速自分を分けて色々な物を作りました。

火、水、土、風、魔力、闇、光を作った七色の神は困りました。

作った物がそこら中に散らばってしまいぐちゃぐちゃになってしまうのです。

ぐちゃぐちゃになったものが一つの塊になりました、混沌の誕生です。

創造神は混沌を嫌いました、これは違う物ではない、と。


7色の神は困りました、どうやっても作ったものが混ざってしまうのです。

もう一つの7色に輝く石が言いました。

自分を受け皿にすると良い。

世界の誕生です。


世界になった7色に輝く石に7色の神は作った物を載せました。

さらに7色の神は生き物、鉱物、植物を作りました。


7色の神の作った生き物は瞬く間に増えて世界を満たしました。

まったく違う性格の生き物に創造神は喜びました。


ですが混沌は楽しくありませんでした。

世界を違う物で満たす為に生まれたのにそれを望んだ創造神から嫌われ世界の一員になることを許されなかったのです。

怒った混沌は自分を千切り世界に投げつけました。

投げつけられた混沌の欠片は世界に飛び散り飛び散った欠片は魔物になりました。

魔物は世界中で暴れ多くの生き物が死にました。

喜んだ混沌は更に自分を千切って世界に投げつけました。

大きな欠片は魔族になって魔物たちを統率し生き物を滅ぼす為に戦いを始めます。


創造神は怒りました、創造神は自分の欠片を生き物に与えました。

すると生き物は不思議な力を手に入れたのです。

スキルの誕生です。

スキルを使って生き物達は魔物や魔族を滅ぼしました。

創造神は喜び生き物達に混沌を滅ぼすように言いました。


ですが世界が止めました。

彼等もあなたのために生み出された物、滅ぼすのは可愛そうだと

創造神にとってもう一人の自分である世界の嘆願で混沌は世界に生きることを許されました。

混沌は世界に感謝し生き物を増やす手伝いを始めました。

自分の一部を何度も千切って新しい生き物をたくさん生み出しました。

混沌の生み出す混ざった生き物はこれまでの生き物には無い違う生き物だったので創造神は喜び混沌を許しました。


世界に平和な時代が来ました。

しかし平和は長くは続きませんでした。


スキルを与えられた生き物達がスキルを持たない新しい生き物達を支配しだしたのです。

創造神の与えられた力に増長した彼等は自らこそが選ばれたものとして傲慢な存在となり争いを生み出しました。


創造神は悲しみ7色の神に悪心をもってスキルを使うものを滅ぼすよう命じました。

7色の神は自分達の一部を千切り生き物たちに与えました。

生き物達は与えられた欠片を武具の形にしました。

神器の誕生です。


更に7色の神は自分達の色を千切りそれも生き物達に与えました。

属性石の誕生です。


神器はスキルを無力化し悪心を持ってスキルを使うもの達を滅ぼしていきました。

属性石には神の命で宿った精霊に正悪を見定められ正しい心を持った生き物のスキルを強化しました。

そうした精霊の宿った属性石は精霊石と呼ばれるようになりました。


悪心を持ってスキルを使うもの達は滅ぼされ、

創造神はスキルを与えるものを選ぶようになりました。


役目を終えた神器は神の力の象徴となり後に神器を持つ者達の国造りの助けとなりました。

神々は生き物達のいる世界への干渉をやめ見守ることとしました。

神々の時代は終わりを告げました。




「以上が神代の時代の創世の神話です、ざっくりとした内容ですけど」


アルマは長い物語を話し疲れたようでお茶に口をつける。


『お疲れ様、そして君の手に入れたそれこそ神話における神の欠片と言う訳だ』


「本当に神様の一部なんですか?」


『そういわれちゃいるが実際のところはわかんねぇな』


『でもスキル無効化能力はそう思われてもおかしくは無いよ』


何気に精霊石が出てきたな。

時々スキルが使用限界でも使えたり能力が変化したり統合されたのも精霊石が原因か?

今までに手に入れた属性石の中に精霊入りの石があるのに気付かず持っていたのかな?

そう考えると今まで生きてこられたのって偶然によるところが大きいような。

ちょっとぞっとした。


「それでこのオリハルコンは如何されるのですか?」


「んー、一端死蔵しておいてコレを発見した場所を発掘してみる」


「湖の中をですか?」


「水棲の異種族や水中呼吸魔法の使える人間を雇ってみようと思うんだ」


『うまくいけばオリハルコンががっぽがっぽか』


『そんなに上手くいくとは思えないけど』


『もし見つかったら我々にも分けてくれると嬉しいかな、オリハルコンは我々の時代でも貴重だったからね』



しばしの間、俺達は取らぬ狸の皮算用ならぬオリハルコンの皮算用をして夢を膨らませたのだった。

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