反撃開始
原稿を書いていたらうっかり7時を超えていました、反省。
危機一髪の俺を救ったのはマックスのおっちゃんだった。
「よく頑張ったな坊主、後は俺に任せてその子を連れて逃げな」
「あいつ等普通じゃありません、自分達のことを異世界人って」
「なるほど、異世界人か。道理でこの世界とは違う戦い方だと思ったぜ」
「信じてくれるんですか?」
「ああ、そういうこともあるって知ってるからな。さ、早く逃げな」
俺と同じ異世界人本人であるおっちゃんだからこそ理解してくれるか。
「あいつ等の狙いは陛下です、陛下をお守りしないと」
「安心しろ、俺だけじゃねぇ。坊主は女の子を守ることだけを考えときな」
「・・・頼みます」
俺は痛む体に鞭打って気絶したアルマを抱えて逃げる。
「逃がすかよ!!」
バリシャーが再び幾重もの紅弾を放つ、だが紅弾は全ておっちゃんのアックスによって打ち払われた。
「てめえ、その斧神器だな」
「神器って何でちゅかー」
変なポーズを取っておちょくるおっちゃん、味方の筈なのにその表情がまたムカつく。
「でめぇ・・・ぶっ殺す!!」
味方の俺でもムカつくのだ、敵であるバリシャーからすればムカつくことこの上ないだろう。
バリシャーの狙いは完全におっちゃん一本に絞られたみたいだ。
そして・・・バギャンは動かない、俺達のほうを見ているがそれは追撃の為ではなく俺達が無事に逃げるのを見守っているかのようだった。
ここなら大丈夫かな?
俺は王城の中庭の花壇の影に隠れて結界と気配遮断そして領域のスキルを発動する。
周囲50メートルの動く存在を認識する、敵味方の判別は付かないがこちらに近づいてくる者はいないようだ。
ステータスを使って自分の状態を確認する。
生命力:198/1598
魔力:2676/2797
やっば!!連中の攻撃でかなりやばい怪我をしていたようだ。
もう痛すぎて痛いという感覚に麻痺していた。
急いでハイポーションをバギャンに切られた傷口にかけ傷口を塞ぐ、その後数本のハイポーションを飲んで何とか体力を回復する。
傷まだ痛むが幻肢痛みたいなものだ、体と脳が回復薬で傷が修復したことを理解できていない為に発生する現象なので無視してもなんら問題はない。
自分の状態が一段落したのでアルマを確認する、未だに意識を戻さないが魔力を感じないので魔法を使われたわけではなさそうだ。
だとすれば薬か?念のため気付け薬を嗅がせると顔をしかめて身じろぎする、どうやら外界の認識は出来るようだ。
そういうわけなら慈悲無く気付け薬を飲ませる。
ぶふっ!!と美少女にあるまじき勢いで気付け薬を噴出すアルマ、この薬、薬効はまったく無いが凄く不味い、超不味い。
余りの不味さに目が覚めるのだ。
「うえぇえぇっ、何ですかいったい」
「ほれ水」
「ありがとうございま・・・って!凄い血ですよ!!け、怪我!ちちちち治療を!!!!」
「落ち着け、大丈夫だもう治った、ほらゆっくり飲んで」
「は、はい・・・んっ、くっくっくっ」
慌てるアルマを宥め水を飲ませる。
「アルマ、陰行スキルを使えるか?」
「は、はい!大丈夫です」
「効果時間は?」
「3時間はいけます!」
中級以上か。
それなら逃げるのには十分だな、正直あいつ等とやって勝てるとは思えない。
アルテア様の時もそうだっが一定のレベルを超えた相手にはまったく対応できなくなる、本当に情けない。
試練の谷のときは遊ばれていたのと奇策のお陰で助かったが所詮遊び扱いだった。
次に敵と会ったらせめてアルマを逃がすことだけを考えないと。
「クラフタ様、お体は本当に大丈夫なのですか?」
「ああ、もう問題ない」
「クラフタ様がこんな大怪我をされるなんて」
「まぁそんなこともあるさ、兎に角ここにいたら危ない、安全な場所に避難しよう」
「あの、父様や姉様は・・・」
「ここには騎士達もいる、心配は要らないだろう」
「クラフタ様!」
「なんだい?」
「お父様を守ってください、とても嫌な感じがするのです」
嫌な感じか、アルマは王家の人間だ。
つまり陛下たちのように予知の力を持っている可能性が高い、それを考えれば信頼性が高い発言だ。
だが今の俺では陛下を守るどころか自分の身を守ることも出来やしない、なんとも無力だ。
「すまんアルマ、俺だけでは無理だ」
「でもクラフタ様はいつも何とかされてきました、ドラゴンを倒したり試練の谷を突破されました。
領主となってからもすばらしい活躍で大勢の人たちを病から救ってくれました、私も」
「それは師匠がいてくれたからであって俺の力じゃないよ、アルマの病気を直せたのも師匠がいてくれたからだ」
「違います!!」
アルマが厳しい表情で俺の言葉を否定する。
まさかこんな強い顔を見せるとは思わなかった。
「私を助けてくださったのはクラフタ様です!!先生方はクラフタ様にたくさんの事を教えてくださいましたが学んだことを実行したのはクラフタ様です!!
クラフタ様は私の命の恩人でクラフタ様に命を救っていただいた皆さんもそう思っています!!」
まっすぐに俺を見つめるアルマ、どこまでも俺を信頼する瞳から俺は逃げることが出来なかった。
「だから自分を卑下しないでください、クラフタ様はとってもすばらしいお医者様です」
・・・・・・アルマの言っていることはきっと正しい、俺は自分を卑下してきた。
俺の薬が凄いのはスキルを持っているから、師匠が現代の技術をはるかに超える技術力を持っていてそれを俺に惜しみなく与えてくれるからだ。
それを師匠達の事情を利用して自分だけの手柄にしてしまっている事に引け目を感じていた。
人からはっきり言われると嫌でも実感してしまう。
我ながら情けない。
「クラフタ様、失礼します」
「え?んむッ!!」
アルマが俺の唇を塞ぐ、勢いのまま押し倒されてしまうがアルマはかまわずキスを続ける、息を吸うために唇を離してもまたすぐキスを再開する。
どれだけ時間が経ったのかあるいはほとんど立っていなかったのか俺とアルマは唇をお互いにむさぼり続けていた。
「大好きです、愛しています、一生貴方の傍にいます」
そういってまたキスをしてくる、唇を離すたびに「好き」「愛してる」「ずっと一緒」と言ってくる。
アルマはまだ10歳だ、そんな女の子が自分の人生の全てを俺に捧げている。
重いと思われるかもしれない、だが俺にはとても心地よかった、この重さがふらふらした自分を地に足が付いた存在にしてくれるようであったから。
「貴方と出会えたことが私の幸せ、たとえ貴方に医学の知識が無く病気で死んでいたとしても私は貴方に会えたなら幸せの内にその生を終えたでしょう。
だから貴方の力を自分の物と認めてあげてください、私が生きて幸せだといえるように」
ああ、参った。白状する俺は怖かったんだ。
師匠達から大きすぎる力をもらって、もし師匠達がいなくなったら、教わった力だけじゃ解決できない問題に出会ったら、そしたら皆俺にがっかりするんじゃないか?
師匠がいない俺なんて只の凡人だ、この世界で活躍できるのも地球の知識と師匠から教わった力があればこそだ。
でもアルマは言ってくれた、俺の恐れる時が来ても自分だけはずっと一緒にいてくれると。
無条件の愛を捧げてくれるといってくれた。
俺の嫁は男前過ぎる、本当に心から惚れてしまう、いや惚れてしまった。
俺にはもったいない最高の嫁だ、だから約束しよう。
「ありがとうアルマ、俺はもう情けない姿は見せない。お前の最高の夫として突き進むよ」
そういって俺からキスをする、何度も何度も情熱的に。
「はいっ!そうです、クラフタ様はドラゴンだって1人で倒しちゃう凄い人です!!」
「あれは薬で・・・・・・薬・・・・・・あっ」
「如何されました?」
勘違いしていた、なんていう凡ミス、いやミスリード?
俺は類まれな技量で剣を振るう戦士でも多彩な魔法で圧倒する魔法使いでもない、ただのアルケミスト、特技は薬作りだ。
つい進化した肉体のバカみたいなステータスに惑わされた、俺の戦いは何時だって能力頼りの素人戦闘だったじゃないか。
戦術も戦略も無いやることは薬で相手を弱体化して落とし穴に落ちて一方的に蹂躙する罠プレイだ!!・・・・・・最低だな俺・・・・・
そうだったそうだった、肉体の強さだけで肉弾戦が出来て思い違いをした、でたらめに強い奴が出てきて変なプライドを刺激されて真正面から挑んでしまった。
バギャンだって麻痺薬をしこたまぶち込むなり、魔法で視界を奪った後で落とし穴に落とせばよかったんだ。
完全に状況に飲まれていた、俺が持てる力の限りを尽くして卑劣な手段もかまわず使えば良かった、唯それだけだった。
なら出し惜しみは無しだ。
「アルマ、城の中に薬の材料がたくさん有る場所を知っているか?」
「はい、薬草や素材ならこちらの倉庫に沢山あります」
「案内してくれ」
「はい!」
幸い誰にも会うことなく薬剤庫に到着する、領域スキルでも敵は近づいてこない、再度結界スキルと気配遮断スキルを使用する。
「さぁ!反撃の準備だ!」
「はい!!」
アルマが語尾にハートマークが付きそうな勢いと笑顔で答える。
俺は早速薬を作り始める、ハイポーション、ハイマジックポーション、体力増幅薬、魔力増幅薬、麻痺直し、毒消し、石化治し、気付け薬、剛体薬、強力薬、高速薬、幻惑薬、凶化薬、麻痺薬、毒薬、石化薬、眠り薬
、忘却薬、盲目薬、混乱薬、発火薬、魔法封じ、変身薬、小人薬、ストレートに各種毒薬、ついでに惚れ薬に胸の大きくなる薬も作っておこう兎に角作れるだけ作る。
薬の完成に比例してアルマの顔色が悪くなって行く。
「あのクラフタ様、本当にこれらの薬を使うのですか?それに凄い勢いで材料がなくなっていますが大丈夫なのですか?」
「目的の為にはどんなものでも使わないとね、あと材料代は後で払うから大丈夫」
「・・・・・・はい」
直接薬を調合するのと違って薬調合魔法のプログラムに登録されている薬は材料さえあれば一瞬で作ることが出来る。
それを利用して大量の薬を作成する。
完成した大量の薬は宝物庫に搭載、一部普通の回復薬各種はアルマに渡す。
皮袋に薬の名前を書き薬をつめる。
「アルマこっちの薬は預ける、必要な時に使ってくれ」
「お預かりいたします!!」
「良し!!反撃開始だ!!」
「はい!」
俺達は早速薬剤庫を出る。
「あ、アルマついでに聞くけど属性石がしまってある所は?」
「それも持っていくんですか?」
「非常事態、非常事態」
「・・・はい・・・」
資材庫で大型のゴーレムコアを幾つか頂く、念の為だ。
今度こそ反撃に転じる、陛下を探して王城を移動する、領域スキルで近くの人間は判別できるので近づいたらアルマを隠れさせる。
「ガキか丁度良・・・・」
「喰らえ!!」
出会い頭に麻痺薬の入ったフラスコを投げつける、だが敵はそれを軽々と避ける、しかしそんなことは分かっている。
敵の横をすり抜けるときに俺はストームウォールの魔法を唱える、嵐の壁に激しい風にフラスコが割れ中の液体が拡散される。
敵自身も嵐の壁の範囲内中にいた為拡散された液体が鼻や口から体内に入る、その結果数秒と立たずに敵は地面に倒れ伏し痙攣していた。
見たかストームドラゴンも墜落する薬の威力は。
だがすぐには殺さない。
「おい、喋れるか?」
「てめへ、りょくみゅお」
「喋れんと意味が無いな、コレを嘗めろ薬だ」
麻痺治しを嘗めさせる、嘗める程度では口ぐらいしか治らないがな。
だが敵はチャンスと思ったんだろう、すぐさま魔法を使おうとしたので腕を折る。
「ぐぁぁぁぁぁ!!」
「次やったら指の骨全て折る」
「ひぃ!!」
「お前スキルは持っているか?」
「も、持ってます」
敵の口に水を飲ませる。
「スキルの名前と用途を言え、嘘を言えば今飲ませた拷問用の嘘殺しの薬でお前は死ぬ」
本当は只の水だけどね。
「死っ!?」
「複数の捕虜から秘密を聞くための薬だ、嘘をついたものがすぐに見せしめになる」
「お!俺のスキルは測定です!個人の情報を読み取れます!一日10回使えます」
なすすべも無く無力化されたことと躊躇無く腕を折られた所為だろう、あっさり放してくれる。
「中級か?」
「そ、そうです!」
「複数持っていないか?」
「持っていません!!!!」
「後お前達がここに来た理由は?」
「俺達は異世界から来て自分の世界に無い素材や財宝を収集しています!!!!!でもこの世界には世界間の大規模な転移を封じる封印がありまして、
そいつがあると大人数の軍隊を転移できないんですよ、それで少人数で封印を解く為の鍵を探しているんです!!!!」
「この国を襲ったのは?」
「この国の王が封印について知っているらしいからです!!!!」
「誰に聞いた?」
「分かりません!!ただ上は信頼できる情報といっていました!!!」
やはり裏切り者がいたか、バリシャーにアルマが捕まったときアルマを姫と知っていたので気にはなっていたのだ、裏切り者から情報を与えられているのだろう。
幾つかの情報を聞き出した俺はもう用無しとばかりに接収でスキルを奪って止めを刺した。
スキルを奪って殺すとか誰かさんを思い出すが向こうも殺しにかかって来ている以上なりふり構っていられない。
その後も敵を見つけ次第同様の処置を施していく。
スキルがどんどん溜まっていく、ついでに魔力も頂いておこう、後装備も。
そろそろクラスが通り魔になりそうだ。
「アルマは脱出用の隠し通路とか知っているか?」
「すみません私は病弱だったのでそういったものは存じ上げません」
ああ、使う前に死ぬと思われていたわけか。
「かまわないよ、なら城中を総当りだ!」
実は俺クジ運が悪いんだ、当たり付きクジを買ってはずれが出続けて最後に残ったクジが一番良い賞だった事もある。
つまり陛下の居場所は分からなかった、領域スキルがあるから隠し部屋でも半径50m以内なら分かるんだが。
その後も敵に遭遇したので略奪コンボをかましておく。
アルマの視線が生暖かい、メンドイので接収スキルについては教えた、驚いたようだが俺が敵にしか使わないといったら信じれくれた。
そんなに簡単に信じていいのかと聞いたら
「愛する夫の言葉です、私は信じます」
感動したので廊下でたっぷりキスをした、誰も来なくて良かった。
そしてとうとう俺達は陛下達と合流した。
陛下たちは執務室の机の下の避難路に隠れていた。
「陛下ご無事で!!」
「父様、姉様!!」
「アルマ!クラフタ君!!」
「クラフタか、状況を知らせよ」
俺は陛下に今までの状況と敵から手にした情報を使える。
「異世界人と裏切り者か」
執務室の机の下は避難路になっていて避難路に入ったすぐの壁が隠し部屋になっているらしい。
隠し部屋で隠れていたら誰かが避難路の奥に向かって行ったらしいのできっと裏切り者だろう。
「異世界からの侵略者、早く殲滅せねばならん、クラフタやってくれるか?」
「お任せください」
「すまぬな」
「アルマは陛下と一緒にここに残って」
「・・・・・・嫌です、私もクラフタ様と一緒にいます」
「ちょっとアルマこんなときに我が儘を言っちゃだめよ」
「クラフタ様はとっても危険な目にあって死に掛けたんです、だからもう離れたくありません!!!」
うーんこの血だらけの格好が不味かったか。
「そこがたとえ死地でも夫の傍に!!」
嫁が健気可愛い、うんさっきから酔ってるね俺。
「絶対付いていきます!!」
「分かった」
すっかり嫁に甘くなってしまった、それにまた人質にとられたら不味いからな。
「クラフタ君!!」
「俺が守ればいいだけですよ」
時間も惜しい、問答をしている場合ではない。
「ありがとうございますクラフタ様!!」
「じゃ、行ってきます」
「頼むぞ」
「アルマをよろしくね!!」
隠し部屋を抜けた俺達は領域スキルで敵の居場所を察知し不意打ちで敵を沈めていく。
「私達通り魔みたいですね」
それを言ってはいけない。
「敵に襲われた人達の治療もしているだろ?」
そうなのだ、敵に襲われて命のあった者、襲われている最中の者達は俺達が薬で治療していた。
殺された者達は救えなかったがそれでも救えた人たちはいる。
「そう・・・ですね」
流石に死体を見るのは初めてだろうから気分が優れないのだろう、だが付いてきた以上は自分の責任、そこは甘やかさない。
「さっさと敵を倒して犠牲者がこれ以上出ない様にするぞ!!」
「ハイ!!」
「コレであらかた倒したか」
敵から得た情報でこちらに来た人数は判明している、俺が倒したのと誰かに倒された人数を計算すると敵はあと二人。
裏切り者についてはわからない、そして残りの二人は想像が付く。
「アルマ!もうすぐ敵がこちらに来る、隠れていろ」
「ハイ!!」
領域レーダーが現在いる広場に近づく3つの反応を教えてくれる。
それと共に爆音が近づく。
俺はおもむろにピットホールで落とし穴を複数作り麻痺薬を空中にばら撒く。
その直後3人の男が広場に飛び込んできた。
そして全員落とし穴に嵌る、おおよその位置を予測して幾つか落とし穴を掘ったが見事に嵌ってくれた。左側全員の穴に麻痺薬とストームウォールをぶち込むと全員がぐったりとする。次に睡眠薬を放り込む。
おっちゃんを含めて全員が眠った。
ああ・・・むっちゃ楽だったわ、俺の戦いはこうあるべきだよな。
早速バリシャーだけ掘り起こす、念のため毒薬を飲ませてから気付け薬で起こす。
「お早うバリシャー君、よく眠れたかね」
嫁を人質に取られたので悪役チックな気分だ。
「てめぇさっきのガキ!!何をしやがった!!」
「毒を盛った」
「けっ!姑息な野郎だぜ、よっぽど自分に自信が無いんだな、臆病者」
「その通り、姑息で自信が無くて臆病者だ」
「なっ!」
俺が簡単に認めたので逆に面食らったようだ。
「プライドもねぇとは恐れ入ったぜ」
「俺のプライドは取り外し式なんだよ」
今の俺に挑発は無意味だ。
「質問に答えろ」
「断る」
指の骨を折る。
「話せ」
「ぐっ、てめぇ!!お断りだ!!」
腕の骨を折った。
「ぐああっ!!!」
「話せ」
「は、折れる腕が無くなったら如何するんだ?」
「切る」
言葉通り指を切る。
「っ!」
バリシャーの顔が青ざめる、だが強気な顔で不適に笑う、まだ嘗めているな。
「おいおい、何処まで切る気だ?俺が死ぬまで切るか?いや出血多量で死んじまうかもな。そうなったら困るのはお前だろう?」
無言で指を切る。
「っ!」
「別に殺さない方法は幾らでもある、最悪首だけでも生きることはできる。
そういって肉を削ぐ、バルシャーは蒼白だ、此方が本気だと分かったようだ。
「さらにいうとお前には毒を飲ませてある、そろそろ体が熱くてたまらないだろう」
「な、何を飲ませやがった!!!」
「ただの発火薬だ、体の内側から薬が燃え内臓を焼かれてから外へ燃え広がる、毒というよりも発火する液体といった所か。
ああ、気にするなよ、お前が答えないのなら他の誰かから聞く、お前以外にもまだまだ仲間がいるようだしな」
最後の言葉が引き金になったのだろう、バリシャーはぺらぺらと喋りだした。
残念なことにこいつの情報も他のやつらと大差なかった、しいて言うならスキルくらいか。
俺を攻撃したスキル紅弾、コイツは1回に20発打てる光線で障壁無効の効果があるらしい。
さらばバリシャー君、君のスキルは美味しかったよ。
なおアルマは離れたところで気絶したおっちゃんと待機させてあるのでこの会話は聞かれていなかった。
さぁ最後はこの男バギャンだ




