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王都に出発!(2回目)

陛下から王都に来いと連絡があった。

使者に理由を聞いてみたが唯急いで来いと言われただけらしい。

理由はわからないが何か緊急性の高い要件なんだろう、それも周りに口外できない類の。

念のためアルマも連れて行こう、陛下やフィリッカも会いたいだろうし仮にも王女を一人置いていくわけには行かない。


「王都にですか?なにがあったんでしょう?」


流石に理由が判らないのに呼び出しを喰らうのは不安だろう。


「ストームドラゴンの件じゃないかな?」


「ドラゴンの・・・きっとそうですね!」


とりあえず納得してくれた、というよりは不安をそらす為の理由付けが出来たというところか。


イヤリング型通信機でミヤに連絡を送る、飛翔機で街を立ち雲の上で合流をする予定だ。

師匠達にはミニゴーレム経由で王都に行くといったら浮島の設備を使って通信教育をするといわれた。

王都に滞在していた時に修行進まなかったのが原因だろうな。

ついでにミヤに頼んで陛下とアルマの為の通信機を作ってもらうことにする、いちいち王都に戻るのも面倒だ。

あと散歩癖の有るアルマの為に発信機も用意してもらおう、健康になってから行動範囲が広がったので街のあちこちに出歩いているらしい。

危ないので街の外には出るなといってあるが何時まで持つやら。


浮島を使うから侍女のラヴィリアは連れて行けないな。


「悪いんだけど飛翔機を使うからラヴィリアは連れて行けないんだ」


「かしこまりました、私はお屋敷の管理に専念いたします」


「屋敷内で使うゴーレムの指揮権は預けるから好きに使っていいよ」


「ありがとうございます」


皆ゴーレムに慣れたなぁ。

部下に王都から呼び出しを受けた事を話しゴーレムの指揮権の一部を移譲する。

簡単な方針を打ち合わせる頃にはアルマの支度も済んでいた。


「クラフタ様、ドラゴンドロップは持っていかれるのですか?」


「ああ、あったほうがいいな」


念のため宝物庫の中のドラゴンドロップと逆鱗を確認する、ついでに頭蓋骨も持っていくか。

ストームドラゴンの頭蓋骨はケレン味があるアイテムなのでそのまま残してある、街の入り口に飾ろうと思ったが希少な素材なので石膏型を作って複製を飾ってある。

街の広場に飾られるドラゴンの複製骨格、非常にシュール光景だが逆にそれが受け旅人の評判は良い。


「じゃ行くか」


「はい」


宝物庫から飛翔機を取り出し乗り込む、パラシュートと命綱をつけたことを確認してから発進する。

ちなみにこのパラシュート本当に只の落下傘である、使うときは肩口の紐を引っ張ると背中の袋が破けて落下傘が丸出しになる。

後は落下の勢いで勝手に膨らむという寸法だ、つまり使い捨てである。

パラシュートなんて映画で見るくらいだから細かい仕組みなんてさっぱり判らんということでこんなザルな造りになったのだがまあ大丈夫だろう。


暫くの間上昇しつつ飛んで行くと大きな雲が見えてくる、雲のカモフラージュをした浮島の研究所だ。

俺はためらわず雲の中に入る。


「きゃっ」


後ろでアルマの悲鳴がする。


「前に入ったことあるだろ」


「前は暗かったので良くわかりませんでした」


「そういえば昼間に来るのは初めてか」


「はい」


「驚くぞ」


「楽しみです」


そうこう言っているうちに雲を突き抜け中心部に到達する。


「っ!」


アルマの声にならない驚きが手に取るように分かる、雲海に浮かぶ幾つもの浮島。

その中心にたたずむ巨大な白亜の建築物、まるで物語の世界だ。


「凄いです!!!」


興奮を隠すこともせずアルマがはしゃぐ。


「凄いです凄いです!!こんなに素敵なところだったんですね」


「ドッグに入るから落ち着けー」


「もう入っちゃうんですか?」


残念そうな声を上げるアルマ。


「中の探検はしたくないとおっしゃる?」


「したいです!!!」


素直で宜しい。




「お待ちしておりましたご主人様」


「王都までたのむよ」


「承知いたしました、それとこちらご依頼の品です」


ミヤがトレイに乗せた通信機と発信機を持ってくる。


陛下に渡す通信機は小型の置物型でアルマに渡す通信機は赤と青と緑の宝石のついたイヤリングだ、青が俺に緑が師匠達に赤が陛下に通信するスイッチだ。

発信機は指輪型で薬指様だ、ファンタジー世界のアルケルティアでは地球のように婚約指輪と言う概念が無いので丁度言い。


「ん、ありがと」


「何ですかそれ?」


「連絡用の通信機と発信機だよ、こっちが陛下のでこっちがアルマの分。ミヤ、使い方を教えてあげて。



「かしこまりました、アルマ様こちらの使い方ですが・・・」


ミヤが使用法を説明している間に陛下に渡す分を宝物庫にしまいこむ。


「ミヤ、説明が終わったら島の案内を頼む」


「かしこまりました、ではその間にご主人様には書・・・」


「いや俺も行くから」


「え?」


「おれ、ドックと研究所以外ほとんど知らないんだけど」


濃霧事件の件はノーカンである、霧まみれでまったく見えなかったしね。


「・・・そういえばそうですね、分かりました!今日は私が腕によりをかけてご案内いたします!!」


「おー!!」


二人ともテンションおかしいなぁ。




というわけでミヤに浮島を案内してもらうことになった、俺所長なのに施設について客以下の知識ってどうよ、フィリッカのほうが熟知してるぜ。

ドックから出た俺達にミヤが解説を始める。


「この研究所は合計7つの浮島からなる空中研究施設でそれぞれの島には役割がございます。

飛翔機を収納する空中港、ダミー雲発生装置の有るステルス島、水、食料の生産をする温室島、ゴーレムを初めとした従者をメンテナンスするゴーレム島、

職員の寝泊りする寮島、開発した機器を収納する倉庫島そして中央にあるのが全ての研究を行う研究所となります。

そしてそれらの島を繋げるのがこの空中回廊です。」


「ミヤ、ゴーレムの余裕はあるか?」


「ご入用ですか?」


「アルマの護衛用のゴーレムが欲しい」


「承知いたしました、では護衛用ゴーレムを用意いたしましょう。

あらゆる敵を粉砕する強行型ゴーレムなどいかがですか?」


「護衛の護の字もない用途じゃねぇか、あんまりでかくなくて目立たないのがいいな」


「では実機を用意いたしますのでお待ちください」




それから10分後、ミヤに案内されてゴーレムの待つ島へ入ると建物の入り口に50体近いゴーレムたちが鎮座していた。


「結構あるな」


「順に説明いたしましょうか?」


「この子がいいです」


間髪いれずアルマが選んだのは犬型ゴーレムだった、侍型とか無いかな?ないか。


「このゴーレムは偽装タイプですね、実在の動物のように振る舞いこちらの言葉も理解します。

ご主人様に第一指示権限、アルマ様に第二指示権限を委譲いたします」


「アルマに第一じゃないのか?」


「この研究所の全ての物はご主人様に使用権利がございます、今回の場合アルマ様への貸与となります」


「なるほど」


「この子の名前はなんと言うのですか?」


「愛玩動物型偽装護衛ゴーレム108号です」


「名前じゃないね」


「じゃあ私が名付けてもいいですか?」


「いいんじゃない?」


「どんな名前にしましょう?」


アルマはゴーレムの名前を考えてうなっている。


「ゆっくり考えればいいんじゃないか?」


「決めました!!」


「どのような名前にされたのですか?」


「この子の名前はクータです!!」



俺の顔を見ながらアルマが自信満々に宣言した。

ちょっとミヤさん、何頷いているんですか?

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