領地開発構想
計画は立てているときが一番楽しいのかも
俺がこのターゼの土地今はマエスタ領に来て3ヶ月が経った、
ちょっと現在の状況を整理してみよう。
まずこのマエスタ領、大きさは北海道ほどだが人間を拒む4つの領域がある所為で実際に人間が住めるのはその半分くらいだ。
モネ湖、ガンジェの森、オーリー山、イージガン平原の4つの土地が邪魔をしている。
このうちモネ湖は人工湖と水路を作って水の不安を解消し水中洞窟を封鎖することでメガシャークを初めとした大型の水棲魔物の再発生を阻止した・・・と思う。
今はクスジンの街にしか水路は繋がっていないが残り2つの村にも水路を繋げる作業をしている。
水路作業と魔物からの護衛の仕事で雇用はまだまだ確保できる。
次がオーリー山だがまったくの偶然で山の主であるストームドラゴンを討伐しその証であるドラゴンドロップと龍の逆鱗を手に入れた。
さすがに数百年間山の主をしていただけあってドラゴンドロップに込められた魔力は相当なものだった、以前作ったなんちゃってドラゴンドロップとは大違いだ。
そんなドラゴンも特製麻痺薬の前にあえなく敗北してしまったのだが・・・
せめて巣に戻るまで食べるのを待っていれば結果も違ったものを。
ドラゴンの素材の売り上げ大変美味しいです。
まぁそういう理由でオーリー山の鉱脈は開放された、現在鉱脈には鉄鉱石、エメラルド、風の属性石の鉱脈が見つかっているどの程度の鉱脈かは判らないがすぐに掘り尽くすものでもないだろう。
まだ開発は始まったばかりだが将来的には良い収入になるだろう。
副次的な収入としては山の幸と狩猟が出来る様になったのがでかい、
ドラゴンの縄張りと言うことで長らく放置状態だった土地なので更なる食料の確保が見込めるようになった。
ついでに腐葉土の確保と食料に出来る野生種の植物の量産を命じてある、一部は品種改良をさせる予定だ。
といってもやり方なんて良く知らないのでうろ覚え知識を総動員して一番美味い奴同士をかけ合わせろという物凄く抽象的な指示になったが。
ほかには山で作業する人間の為に山のふもとに街を作って鉱山街を造りそこをマエスタ領の開発拠点にするつもりだ、
難病治療希望者の家族や仕官希望者達から鍛冶に関わる仕事の経験者の入植を募集している。
あとコレは秘密なのだがストームドラゴンを討伐した後、俺はすぐさま皆に内緒で飛翔機に乗ってオーリー山の頂上に登った。
目的はストームドラゴンの巣だ。
いわゆる「ドラゴンは巣にお宝を溜め込む」というのは本当なのかを確認する為だ。
結論から言うと事実だった、ストームドラゴンはこれでもかと言うほどお宝を溜め込んでいた。
宝石は言うに及ばず黄金製のなんだかよくわからないオブジェや宝石でできた剣など煌びやかな物ばかりと言うかそういう物しかなかった。
要するにキラキラした物ばかりが集められていたのだ、どうやって集めていたんだろう?。
資産的な価値は相当なもので鑑定スキルによって判明した品物名称や歴史的背景から金銭的価値を調べてみたらかなりヤバイ金額になることが判った。
下手をすると正しい相場で売ったら小国の予算に匹敵するかも知れない、とても人には言えないお宝が手に入ってしまった。
そこで俺は芸術的、文化的価値の高いお宝は秘匿して、そうでない単純に金銭的に価値のあるものと文化的価値の高すぎないものをお宝として公表することにした。
秘匿したお宝は今後の交渉カードとして残しておく。
またドラゴンの巣でお宝を手に入れた事を公表したら多くの冒険者達が山に殺到しお宝が残ってないか隅々まで漁ってくれた、
お陰でオーリー山に巣くう危険な魔物は彼等が勝手に駆逐してくれ俺が手を下す必要は無くなり鉱山の開発に大いに役立ってくれた。
本当にありがとう冒険者達。
開発した鉱山の監督役は仕官希望者中から鉱山経験者のドワーフ達に任せた。
鉱山といえばドワーフだ、鉱石と切っても切り離せない関係の彼等がいれば鉱山事故も少なくなるだろう。
サポートとして数体のゴーレムを貸し出している、人間に作業できない危険な場所でもゴーレムなら安全に作業が出来るので重宝しているようだ。
お陰でドワーフ達は俺のことをゴーレム男爵とか言っているらしい、いいけどね。
残り二つのガンジェの森とイージガン平原だが、現状ではノータッチだ。
先の二つの開発を安定させたいし、ガンジェの森の古代エルフもイージガン平原のアンデッドもこちらから手を出さなければ危険は無い。
なので今は仕官希望者に仕事を与え難病治療者の治療と彼等の食べる食料の確保、それだけの人間が住めるように街の開発が急務とされる。
幸い土地だけはあるのでゴーレム達に命じてグアツ達と家の建設に励んでもらっている。
とはいえこうして見てみるとかなりのハイペースで開発が進んでいる、やはりゴーレムを利用した基礎工事が大きな成果を発揮しているといえる。
ゴーレムはそれなりにメジャーな存在だが現代でゴーレムクリエイトを使える魔法使いは稀な上に俺のように用途別ゴーレムを作れるわけじゃない、
せいぜい人型ゴーレムに命じて岩を運ばせるくらいだろう。
もはや俺にとってゴーレム魔法と落とし穴魔法は欠かせない物になっている、何か姑息な気がするが問題ないおれは勇者ではなくアルケミストなんだから。
うんアルケミストだから薬も頑張らなくちゃね、ちゃんと難病治療希望者達の為の薬も作ってますよ。
とはいえいかに古代魔法文明の生き残りである師匠達と浮島の研究所といえど万能ではなかった、師匠達の知識でも治療できないものはあるのだ。
そういった病気の患者には進行と発作をある程度抑える万能薬を与えることしか出来ない、それでも患者とその家族は感謝してくれるのだが俺の気分は晴れない。
傲慢だと思っているがやはり治せるのなら治してあげたいのだ、そのことをクアドリカ師匠に話すと
「もしかしたら他の遺跡に当時の最新の医療研究が眠っているかもしれない、それを探すという選択肢もあるね」
と言われた。
確かに浮島の研究所には未だに全容を把握できないほどの知識が眠っている、他にも生きている施設があるのなら探す価値はある。
「でもね、古い知識にすがって欲しくもないというのが私の個人的な意見かな。
弟子である君には常に未来を見ていて欲しい、明日を見るからこそ見つかる発見もあるだろう」
つまり師匠は有るか無いか判らない他人の力にすがるんじゃなく自力で治療法を見つけろといいたいんだろう。
だが俺だけじゃ無理だ。
「マエスタ領に医療研究の出来る施設を作ろうと思います、人を呼んで皆で共同研究をさせるんです」
「そんなに美味くいくかな?」
「行かないでしょうね、でも今すぐ結果を出す必要はありません。まず場所を提供し人を集め二代、三代先を目指して研究させます。」
急いで結果を出す必要は無い、まずは才能があっても活躍できない人間を集める。
絶対に「出る杭は打たれる」といった感じで押さえつけられくすぶっている連中はいるだろう、そんな奴等を探して囲い込む。
そいつ等に自由に研究できる場所を与えるのだ、食いついてくる奴はきっといるだろう。
そんな医療の発展に貪欲な連中を使って俺の領地を医療の聖地にするのだ。
王都のバクスターさんにも伝えよう、知り合いにいい人材がいるかもしれない。
そんなことを考えていたら向こうからお声がかかった。
王都からの使者が来たのである。




