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出来ることをやっていこう

1度に出来ることには限界があります。

大量の仕官希望者と難病患者が来て2週間ほどが経った。


重症患者から順に症状を緩和する薬を与えていく、まずは全員の体調を安定させないと話にならない。

誰かを治療している間に待っている別の患者が死んでしまったらその家族は確実に暴徒になる、「何で俺の家族を先に治療しなかった」と。

だからまずは全員に万能薬を配る、万能薬といってもゲームみたいにどんな病気も治るわけではない、あくまで病気の進行を遅らせたり症状を緩和するだけだ。


でもこの薬、現代には存在しない失われた薬だったりする。

浮島の研究所の資料の中にあったんで気になってクアドリカ師匠に聞いてみたら当たり前すぎて教えるのを忘れていたといわれてしまった。

それだけ古代魔法文明の時代では当たり前の薬だったらしい、

この薬が開発されたお陰で進行の早い病気や治療法の確立されていない病気の治療に役立ちその後の死者数が大きく減ったそうな。


正直この薬を世に出すだけで左団扇で暮らせるだけの財産が手に入るだろう、なにしろほとんどの病気の進行をある程度抑えることができるのだ。

進行の早い病気の特効薬の材料を取りに行っても間に合わなかったらなんの意味も無い、だがこの薬があればそんな最悪の事態は避けれる。

そして薬に必要な材料も製法も俺だけが秘匿しているのだから競争相手もいない。

このルジオス王国だけでなく周辺国家からも薬を求める声で溢れるだろう。

この世界の魔法では病気の治療は出来ない、それゆえに薬を作れる薬師やアルケミストと言う存在の需要は大きい。


初めはアルケミストは地味系のクラスかとちょっとがっかりしたところがあったのだがそんなことは全然無かった、寧ろ後衛の花形クラスだ。

怪我を即効治療のヒーラーと病気治療のアルケミストはお互いに食い合わないので棲み分けも出来ている。

寧ろ領主よりも薬師として生きた方が気が楽かも。


『それは如何かのう』


モノローグに突っ込まないでください。


「どういうことですか?アルテア様」


『うむ、お主の薬は非常に有用じゃ、じゃがそれゆえに問題もある』


「問題ですか?」


『たとえばお主を拉致して薬の製法を吐かせたり作らせたりじゃな。ほかにも危険な薬品を作らせたりと他者に利用される危険がある』


「逃げればよいのでは?」


『いつまでも逃げ切れんじゃろ、実力者の数をそろえて来られたら逃げ切れまい?それに将来大事な相手が出来たら人質にされるかも知れんぞ、

おぬしが希少な能力を持っていればいるほど悪意を持った第三者にとっては利用しがいがある。

それゆえ貴族になったのはある意味では良い防衛措置といえる、なにしろお主に手を出せばルジオス王国を敵に回すことになるのだ』


「大げさじゃないですか?」


『大げさなものか、お主はルジオス王家に婿入りしたも同然なんじゃぞ。

表向きはアルマが嫁に来たがアレの名は未だ王家のままだ、その意味わかるか?』


「まだ正式に婚姻が結ばれていないんですか?」


『それもある、おぬし等が成人したら正式に書類上でも夫婦となるだろう、その際どちらがどちらの姓を名乗ることになるのであろうな』


意味深だ。


「さて、材料も切れたので視察に行きますか」


薬の材料はダミーを含めて医療難民の皆さんに自主的に集めてもらっている、集めた分だけ後で請求する薬代を安くすると言ってあるので皆頑張って集めている。

万能薬を持って医療難民のログハウスに赴く、病気が移る危険があるのでアルマは留守番、住民にも近づかないように言ってある。

俺が来ると外で仕事をしていた患者の家族が頭を下げてくる、俺は軽く手をふって奥に進む。

治療院のスタッフに万能薬を渡し俺は診察に出る。基本急患以外診察は順番だ、重症患者順に住む場所はまとめてあるので端から行く感じで診て行く。


_____________


「わかる範囲でいいので何処が苦しいかとか教えてください」


「喉の辺りがおかしくて、暫くしたら咳が止まらなくなって」


「暫くってどのくらい?そこをもっと詳細に」


「は、はい・・・」


「ふむ・・・」

_____________


「ずっと頭が痛くて」


「その前に倒れた事はありますか?」


「え、ええ」


「貴方の症状から言ってですね・・・」

_____________


「領主様、どうか息子を!息子をぉぉぉぉ!!」


「つまみ出せ」


父親がほうり出される。


「病気で何処が苦しいか教えてくれるかな?


「お胸が痛いんですそれに・・・」


「心配は要らない、俺が調合する薬を飲めばきっと治る」


「先生・・・」

_____________


今日の分の診察が終わる、書類を整理して切上げる、やることは治療行為だけではないのだ。

感染対策に消毒をして水路と人口湖の進捗を見に行く。


「どんな感じですか親方?」


「まぁまぁだな、水路は粗方終わったからあとはこの人口湖だな、所でこの段差とか分割は何なんだ?」


「完成したら説明しますよ」


「お楽しみってか」


人口湖の視察が終わったら湖に移動する、ここは魔物に襲われる心配があるがゴーレムに護衛をさせているのでそうそう問題は起きない。


「あ、男爵様お疲れ様です」


「お疲れ様」


「男爵様、何かゴーレムが2体止まっちまったんですが」


「何処ですか?」


「こっちです」


作業員に案内され湖の傍に近づくと2体のゴーレムがへたり込んでいた。


湖の調査を命じたゴーレムのスルガとサズだった。


「頼んだ仕事が終わって休眠モードになっているだけですよ」


「は?きゅうみん?」


「スルガ、サズ調査報告をしろ」


スルガとサズは手に持ったビンを渡してくる、それぞれ1と2の番号が割り振ってある、湖の水だ。

サズはさらに地図も渡してくる、湖の底の地図だ。

地図を見て初めて判ったがこの湖予想よりかなり大きい、最初に見たときは見えなかったがどうやらこの湖はくの字に曲がっているようだ。

直径にして20Kmくらいか。


更に言えばスルガもビンを出してきたということは本当に水中洞窟があるということだ。

なんというwktk、ちょっとロマン回路が刺激される。湖に飛び込みたくなるのを我慢しながらスルガとサズに再度の指令を下す。


「湖の水中洞窟の穴を岩を詰んで塞げ、その後湖の魔物を殲滅しここに持って来い!」


ゴーレム達は俺の指示に従い穴を埋める為に再び湖に潜っていった。

おれは代官の館で受け取った水を解析するとしよう。


「お帰りなさいませクラフタ様!」


帰ってくるとアルマが出迎えてくれる。


「ただいまアルマ」


アルマに挨拶をすると製薬工房として使用している部屋に向かう。


「クラフタ様、今日はお料理の勉強をしたんですよ」


「へえ、どんなことを勉強したんだい?」


「はい!お台所で油に引火したときの消し方を教わりました」


「消火は大事だね」


そういいながらアルマの頭を撫でてあげる。


「えへへ」


嬉しそうに目を細める。

オレは工房部屋に入りゴーレム達から受け取った2つのビンを取り出す。


鑑定スキルで解析をする。


『モネ湖の水

モネ湖の水を汲んだ物、只の水』


『モネ湖の水中洞窟の水

海水が多少混ざっているので少し塩味がする。』


やっぱりか、海水って明言されているのでやはり海と繋がっているらしい。

これは楽しくなってきたぞ。

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