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試練を探す

行き詰ったら総当りでフラグ回収

探索を進めて暫く経った。

具体的に言うと行き詰ってしまった。


あの後アンデッドがちらほら出たんで落とし穴→上から攻撃のコンボで黙々と作業戦闘のち獲物を回収の繰り返し。

いいかげんタールに入らなくなってきたんで素材を集めてクリエイトゴーレムで大き目のドラム缶ゴーレムを作る。

手が大きく足の短い2号ゴーレムの名前はジョッキにした、けっしてネタが思いつかなかったわけではない。


めぼしい魔物も落とし穴に埋めたので本格的に探索をしたのだがコレといった成果は無かった。

この谷は直径5キロほどの長さで他には細い横道くらいしかない、それもすぐ5mも歩けば行き止まりだ。

地下への入り口も無いし上へ抜ける道も無い、壁を登ろうにもすぐ崩れて落ちてしまう。


詰んだ。


考えても答えは出ないので昼飯にする事にした。

さっき倒したアーマーリザードの肉を焼いて美味しく頂く。

結構美味いけど料理スキルも関係してるのかな?

ウォーターボールの魔法で出した水を食後のお茶代わりに飲んで一服する。


「さて再開するか」


相変わらず何も無いので領域スキルで属性石がありそうな魔力溜まりを探して七天夜杖を変形させてハーケンモードをピッケル代わりにして属性石を収集する。

ジョッキに渡して収納させる。

そこでふと思いつく、ジョッキの手に乗って指示を出す。

ジョッキは俺を手のひらに乗せた状態でで思いっきり真上に腕を上げる、当然俺は上に吹っ飛ぶので上から周囲を見回す。

もしも隠し扉か何かがあるのなら今いる谷の外側に別の谷があるはず。


だが上空から見た光景には別の谷など無くあるのは谷の上の観光客用の屋台が見えるだけだった。

あ、観光客が手振ってる、折角なので手を振り返す。


さて、情報収集は終わったので戻るか。

というか落下中だな、このまま落ちると怪我するなぁ、たいしたダメージじゃないけど痛いのは嫌だな。

空中跳躍スキルで地面に落ちる前に一回飛んで再び落ちる前にジョッキの手の上に乗る。


結論として判ったのはこの谷の外に別の空間はないと言うことくらいか。

これは本格的に洞窟でも探すべきかな。

某ゲームの様に手当たり次第に壁を七天夜杖で叩いて回るも成果は無く次第に空は暗くなって行った。


「仕方ない、野営するか」


俺は細い横道に入って野営の準備をする。

といっても薪なんて無いので焚き火も出来ない、春だからあったかくて良いが敵に襲われたときに困るな。

護衛用にゴーレムを4体ほど作っておこう。

ついでなので新型のスペルプログラムを試してみることにする。


「クリエイトゴーレム!」


俺の呪文に応えてゴーレムが出来上がっていく。

今度のゴーレムは正方形を人型に組み合わせたようなゴーレムだ。

名付けてブロックゴーレム。


俺はブロックゴーレムに指示を飛ばす。

ゴーレムたちは俺の指示に従い通路の入り口付近に集まって体を重ねてゆく、その姿はさしずめ某ブロックパズルゲームのようだ。

あっという間に通路との間に高さ3mほどのバリケードが出来る。

コレで安心して休めるな。


残ったアーマーリザードの肉を焼いて夕食としゃれ込む。

たいまつも明かりの魔法も無いから夜は行動できんな、

ファイヤダガーは短剣状の火を投げる魔法だから常時燃え続けるわけじゃないし。

食事を終える頃には日も完全に落ちていた


もうこのまま寝てしまおうかと寝支度に入った所で奴等は現れた。

複数のカシャカシャといった音が重なってこちらに向かってくる。

俺は音を鳴らさないように起きて武器を構える。

音はブロックゴーレムの壁の向こうで止まる。


『試練を受けに来た者よ、姿を見せよ』


お、ボスイベントですか。

これは出ないと話が進まないんだろうな。

ブロックゴーレムを2体退かして道を作る


通路の向こうには20騎近いのアンデッドが居た。

そのアンデッド達が左右に割れると奥から一人の少女が歩いてくる。


美しい銀の髪の少女だ、見た目は。

だがこの少女が見た目どおりの存在で無い事を俺は知っている、

この少女から感じる気配、これは…


アンデッドだ。

死者の騎士団に守られた死者の少女。

間違いなくここのボスだ。


『我が名はアルテア=パミント=ルジオスなり』


「クラフタ=クレイ=マエスタです」


『少年、お主が王の試練を受けに来たのか?』


「はい、そうです」


『ほう、お主の様な子供が試練を受けに来るとはバラムスは死んだのか?』


「いえ、陛下は生きていますよ」


『? 王が生きていて何故に人が此処に来る?お主は王になるために此処に来たのではないのか?』


「いえ、違います」


王の座とか興味ないし。


『ふむ、なにやら込み入った事情があるようだな、申してみよ」


「身分違いのお姫様を妻に娶るために試練を受けろといわれました」


ざっくりと説明する。


『ほほぅ!』


少女がものすっごい嬉しそうに目を輝かせる。

アンデッドでもゴシップは好きなのだろうか?


『なにやら面白そうだの、オイお前達!宴の準備だ!!』


なんか宴会がはじまった。


後ろに控えるアンデッド達がゴザを敷いたり酒やつまみを持ってくる。かがり火まで炊いてやる気満々だ。


『よーし!飲むぞー!』


少女の号令の下宴会が始まった。

アンデッド達が一気に酒をあおる。

スケルトンが飲んだ酒がこぼれずにどこかに流れ込んでいく、どうなってんだあれ?


『さぁ!酒のつまみにお主の話を聞かせてもらおうか』


もうなるようになーれって感じでコレまでのいきさつを話す。


『なんと!不治の病の姫を救ったとな』


「ええ」


『しかしそのような功績をなした若者の足を引っ張るとは』


『然り、最近の若い者はなっていないですな』


『まったくだ』


なんかアンデッドの皆さんが同情してくれてるんですが。


『気に入ったぞ少年!!』


「はい?」


『愛する乙女の為にこのような場所まで来て愛を証明するとは天晴れ!!

我等歴代ルジオス王がお前の味方になろうではないか!!』


「えと、ありがとうございます・・・・」


「うむ!苦しゅうない!!」


「・・・・」


『はっはっはっ優秀な血が入りわが国も安泰だな』


『いやまったく』


「……」


『ルジオス王国万歳!』


『ルジオス王国に栄光あれ!』


んんっ?


「って!王様ぁぁぁぁぁー!?」


思わず叫ぶ、歴代ってどう言う事よ。


「ど、どういうことですか?あなた方は一体?」


『ふははははは、我等こそは歴代ルジオス王よ、こうして王の試練がある時のみ冥界より現世へと帰還するのだ』


き、聞いてないよー!


『試練の谷に人が入ったから新たな王候補が来たと思ったのだが、まさかこんな子供が来るとは思わんかったぞ』


「えー、王様?」


『アルテアで良い』


「アルテア様?」


『うむ、何じゃ少年?』


「味方になってくださるとの事ですが試練は合格という事ですか?」


『うむ、この門をくぐれば即合格じゃ』


そういってアルテア様が手を振ると地面から巨大な門が出てくる。

まるでナントカドアーって感じで気軽に出て来た。


『これでよかろ?』


「ありがとうございました、コレで…」


だがお礼の言葉をアルテアは遮る。


『それでは宴会のつづきぞ!!』


「へっ?」


『ははははははははっ!!』


こうしてアンデッド達の宴は明け方まで続いた。

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