完治
サブタイトルでストーリーが判る70年代アニメ風
「ええと、今感じたことを詳しく説明してもらえるかな?」
いったん休憩する事にした俺は、治療を受けるアルマが治療行為で体がどのようになったのかを質問していた。
「はぃ……最初は体から水が抜けていく様で苦しかったんですが、すぐにぬるま湯が流れ込んで来るような感覚になりました。でもその流れ込んでくる水の量がどんどん増えてきて、体が破裂してしまうかと思いました……」
成程、魔力の流れを水の流れのように感じたのか。
それにアルマの体感からいって、流し込む量はもう少し控えめにした方がよさそうだな。
「ステータスを確認してもらえるかな?」
「はい、…?」
「どうかした?」
何かトラブルか?
「それが…」
生命力:10/8
魔力:52/50
「へ?」
現在値が最大値を越えた?
「どういうことでしょう?」
うーん、ドレインの影響なの・・・かな?
「治療の成果だね」
アルマを不安がらせるわけにはいけない、俺はきっぱりと言うことで問題ないと伝えた。
どの道初めての治療なんだ、イレギュラーはあって当然。
「アルマ今度は魔力を減らしたり増やしたりするからその都度報告を」
「はい」
その後、ドレインで流し込む魔力の量を減らし、代わりに回数を増やす事で、アルマも多少は楽になったのか、先ほどまでの悲鳴のような声を上げる事はなくなっていった。
生命力:20/10
魔力:60/53
アルマの最大生命力と最大魔力が増えていた。
「増えてます」
「うん増えているね」
念のため自分のステータスを見る。
生命力:1550/1598
魔力:2745/2797
減っている。
「ちょっと検査をするから魔力を減らすよ」
「はい」
ドレインで調節しながら数回魔力と生命力を減らしてからステータスを見させる。
生命力:7/10
魔力:41/53
マジックポーションを飲ませる
生命力:7/10
魔力:48/53
「!よし!!」
「どう良いのですか?」
「うん、いままでアルマがマジックポーションを飲んで回復していた魔力量は5だったんだ、
だけど今回の治療で回復した量は7、つまり回復量が増えている」
「それって」
「ああ、君の魔力を通う管は確実に広がっている」
「っ!クラフタ様!ありがとうございます」
アルマは飛び跳ねるように俺に抱きついて来た。
だが待って欲しい、今のアルマは目隠しをしている状態だ(俺の位置は目隠しをする前から把握していたので他所ずれていたがまっすぐこっちに来た)
そして治療の影響で、ほほが紅潮し吐息がやたらとエロい、しかもパジャマの布地はドレスに比べてが薄いのだ。
つまり……
ほっぁぁぁぁぁぁぁ!!
あれだ、アルマさん着やせするタイプだわ、姉より優秀なんじゃないですかね?ピンポイントに…
「落ち着いて」
寧ろ俺が落ち着け。
「す、すみません、私なんてはしたないことを」
「はしたないだと!!一体中で何が起こっておるのだ!!」
「だめです陛下!!入ってはいけません!!」
「離せ!!バクスター!ラヴィリア!!余は余はぁぁぁ!!」
もはや忍ぶつもりも無い王様の叫びが外から聞こえてくる。
「一端経過を見るから今日の治療はここまでです、というかそろそろ陛下のほうが持たないしね」
その言葉を聴いてアルマがくすくすと笑う。
「陛下、もう入っていいですよ」
その言葉を終える前にドアが音と立てて開け放たれる。
「アルマ!無事…か………」
部屋に入ってきた陛下の声が途切れていく、どうしたんだろうか?
「……」
「……」
バクスターさんとラヴィリアも無言だ?
「…クラフタよ。これは一体どういうことだ?」
「どうとは?」
「なぜ我が娘は顔を目隠しをされて紅潮させて荒い吐息を吐いているのだ」
っ! 全身の血が引いていくのを実感した。
やっべー!!目隠し外すの忘れてたー!!他はごまかしが聞くが目隠しはマズイ!!
「答えてくれるなクラフタ=クレイ=マエスタ男爵」
結果としてアルマに行った説明をしつつ説明の穴をすさまじい精度で突かれ弁解に苦労したものの治療自体は成功したので事なきを得た。
うん、カインやランドドラゴンに殺されかけたときより怖かったです。
数日を待って増大した最大値と魔力回復量に変化が無い事を確認した俺は治療を再開、
マジックポーションの回復量が頭打ちになったら少しずつ市販の物に近い濃度に変えていって治療を続けた。
そして2ヵ月後
「うん、市販のマジックポーションでも普通の人と変わらない回復量だ、それに魔力の減少も発生していない」
回復量の平均値を知りたかったので治療の合間に知り合いに頼んでマジックポーションの平均回復量を割り出していたのだ。
ポーション代はこっち持ちだったがその価値はあった、その結果を俺はアルマに告げる。
「アルマ、本日を持って治療は終了です、君の病気は完治した」
「完治ですか?」
実感が無いのだろう、きょとんとした顔で聞いてくる。可愛いなぁ
「そう、病気が治ったんだよ」
「治ったんですか・・・」
「そう」
「ですか・・・」
「?」
あー、思考が追いついてないって感じだな。もうちょっと待つか。
…………
…………
…………
待つこと数分
「私治ったんですか!!」
おお再起動した。
「そうだよ」
「っ~!」
アルマは言葉にならない声で満面の笑みを浮かべ俺にダイブして来る。
あわてて受け止めるがバランスを崩して椅子ごと倒れてしまう、丁度アルマに押し倒された感じだ、いいね。
いやいや良くないよ、アイムノーロリータ、アイムノーロリコンオーケー?
だがアルマは猫のように、俺の胸板にスリスリとマーキングをしてくる。
これはすばらしいと天国を味わっていた俺だったが
「仲が良いなクラフタよ」
おや、陛下が上から見下ろしていますよ、いやーん般若のようなお顔なんですけど。
その後バクスターさんとラヴィリアがやってきて、陛下を執務室に連行していったが部屋を出るときの陛下の顔を見た時は生きた心地がしませんでした。




