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雲の侵食

困っていても前例に従うのがお役所仕事

霧の王都で買い物をしていたら浮島にいるはずのミヤがやって来ましたマル・・・で終わったらなぁ


「クラフタ様早く直さないと大変な事にゅぃぐ・・」


慌ててミヤの口を塞ぐ、これ以上危険な発言をされたら余計な面倒が増える。


「ミヤ、余り大きな声で騒ぐと周りの人に迷惑だよ」

「?・・・!!」


俺の言いたいことが伝わった用でコクコクと首を縦に振る。


「お知り合いですか?マエスタ男爵」

「ほほう、隅に置けんなクラフタ少年」


むむむ、どうごまかしたもんかな。


「えーと、彼女は俺の知り合いでして」

「初めまして、私ご主人様に御仕えさせて頂いておりますミヤと申します」


おいいいいっ!!

イキナリバラしおったー!!


『ご主人様、こういう時は下手に隠さないほうがいいですよ』


ミヤの声が頭の中に響く、通信の魔道具だ。

呼び方が変わってるんですけど


「従者が居たのですか」

「それもこんな美人とはな」

「え、ええ、アルマ様の件で先を急ぐ必要があったので彼女には荷物と一緒に後から来てもらうことにしたんです」


頭を掻く振りをしながらイヤリング型通信機のスイッチを押す、いちいち押すのは面倒だが常時起動型は魔力の消費がよろしくないし何よりプライバシーが無い。


『それで?何か用事があってきたんだろ?』

『そうなんです!研究所の雲を生成する装置が壊れてしまって止まらなくなってしまったんです』

『もしかしてこの霧の正体って』

『はい、生成装置が作り出した雲だったものです』



「所で先ほどの件は宜しいのですか?なにやら重要な問題があったようですが」

「あ、そうでした、馬車が壊れてしまってこのままだとご主人様の実験用機材に悪影響が!」


『今研究所からそれっぽい感じに壊した馬車を用意させておりますのでもう少々時間を稼ぎましょう』

『あくまで地上の技術を逸脱しない程度にな』


「中の荷物は?」

「いったん外に出してありますが霧の影響で薬や薬草がカビてしまうかもしれません」

「そこまで重要なものでもないし貴重品はこっちに入れてある、ミヤが無事ならそれで良い」

「ご主人様ぁ」


茶番を仕込みつつ思念での会話を続ける。


『このまま雲の生成が止まらないとどうなる?』

『限度を超えて生成されているのでこのまま装置に負担がかかると完全に壊れて修理が出来なくなるかもしれません』

『壊れた際のデメリットは?』

『爆発したりはしませんが隠蔽用の雲が生成できないので研究所が丸見えになります、あと霧で洗濯物がしけって地上の皆さんが困ります』


それは大変だ。


『パルディノ師匠は?』

『留守にしているとクアドリカ様がおっしゃッていました』

『ああ、居留守ね』

『……』


「これからどうするのですか?彼女を城に住まわせるのは許可が要りますよ」

「まぁ反対派の嫌がらせて城には入れんだろうな」

「そのあたりは考えておきますよ」


『修理は出来ないのか?』

『施設の重要設備ですので管理者権限での許可が無いと修理も出来ないのです』

『じゃあ許可だすから』

『ダメです、Bランク以上の案件は研究所で必要書類に記入していただかないといけません』


何そのお役所仕事。


『解った、いったん浮島に戻る。修理にはどれくらい時間が掛かる?』

『3日もあれば』

『アルマ、フィリッカの妹の治療があるから夜のうちに戻って書類にサインするから。浮島は何処に?』

『この真上です』


おおぅ…


『地上の人たちにばれないようにね』

『はい、それではお待ちしております』


「それでは私は宿を取ってから馬車の荷物を回収いたします」

「うん、任せたよ」


結局その日の買い物は理由を付けて適当に切り上げた、ディクセさんが妙に絡んできたが暇つぶしのネタができたと言うことなのだろう。



夜になるまで待ってから行動を開始する。

浮島に行くためには人気を避けた方が良いからだ。



「あら、クラフタ君」

「え?」


明かりを点けずに廊下を移動していたのだが早速見つかってしまった。


「フィリッカにアルマ、こんな夜更けにどうしたんだ?」

「クラフタ君こそ明かりも点けずに」

「こんばんわクラフタ様」


フィリッカはともかくアルマがこんな時間に外にいるなんて珍しい。


「姉様とお話していたらつい遅くなってしまいました」

「部屋までエスコートしてる最中よ」

「お喋りもいいけど体には気をつけてね」


「はい、クラフタ様はどちらに?」

「ちょっと散歩」

「また面倒ごとに巻き込まれてるの?」

「そーゆーのじゃないから」

「お散歩ですか、今夜も霧が深いので気をつけてくださいね」

「ありがと、じゃお休み」

「お休みなさいませ」


フィリッカとアルマと別れ城の外に出る、それにしてもあのアルマが夜更かしとは。

余り褒められたことじゃないけどそれだけ健康になって行ってるって事かな。

姉の悪い所は似ないでほしいが


城の中庭に出て宝物庫から飛翔機を取り出す。

本当なら町の外で出したいがこの時間は文が閉まっているので城を出ることは出来ない、

本来なら飛翔機なんて目立つもので出て行ったら一発でばれるのだが幸い今夜も霧が深い。

隠れて行動するのにはうってつけだ。


「?」


なんか飛翔機が重いな、加重が多く掛かったような感じだ。

霧の影響か?確かに魔法で作られた霧だし何か悪影響を及ぼす可能性もある。



飛翔機の不調は怖かったがそのまま空に向かって飛翔する、飛翔機は後でミヤに直してもらおう、

雲海と突きぬけ雲の上に出る、月の明かりに照らされた浮き島は非常に美しく、思わず俺は意識を飲まれる。

月明かりが浮島の水に反射して非常に幻想的だ。


「すごっ」

「綺麗」


余りにも綺麗でフィリッカの声を幻聴してしまったくらいだ。

だが時間は有限、おれは通信機でミヤに連絡をいれると飛行場に飛翔機を下ろした。


「お帰りなさいませご主人様」

「ただいま、書類は?」

「すでに準備は出来ております」

「サインしたらすぐに修理に取り掛かって」

「承知いたしました、ところでご主人様」

「なに?」


「後ろのお客様は宜しいのですか?」

「お客様?」


後ろを振り向くととてもよく見知った姿があった。


「フィリッカ」

「やーなんか気になっちゃって、ついて来ちゃった」


えへっって可愛い顔しても許さん。


「だーって城の中は退屈なんだもん、そこに丁度都合よく騒ぎを巻き起こす人がきたらもう付いていくしかないでしょう」

「フィリッカ」

「いいじゃない」


「あのご主人様」

「んー、付いて来ちまったもんは仕方が無い。」


騒がれても困るのでしょうがないから諦めることにした。


「あのーご主人様、フィリッカ様の事で無くですね」


ミヤが俺達の後ろを見ている、まさかと思い後ろを見ると…


「あの…」



なんとそこにはさっき分かれたはずのアルマが居た。



「すみませんクラフタ様、ついて来てしまいました」

チョコチョコバックナンバーを修正したり文章の加筆を加えたりしたいます。

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