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雲海の城

天空に城があるのは常識です。

それは人工の島だった。


雲海の上に浮かぶ島はその全容を雲に隠していた、だが雲から露出したそれは庭園であり水が流れる用水路も見える。


また周囲には幾つも小さな浮き島が浮かんでおり、幾つかの建造物が確認できる。

それぞれの浮島の端には通路が延び中央に浮かぶ大きな島に繋がっている。

何より目を引くのは中央の島の更に中央に立てられた白亜の城だった。


紛れも無く人工物だ。


「・・・天の玉座・・・」


フィリッカが呆然とした顔で口走る。


「知っているのか?」

「・・・昔話で」


フィリッカは深呼吸するように深く呼吸をするとゆっくりと語りだした。


「かつて栄えた魔法文明の時代には空を飛ぶ技術が有りその際たるモノが空に浮かぶ城だったそうよ。」


なんというかアレだな。


「でも戦争が始まって多くの空の城は墜ちて多くの命が失われた、その城の残骸と言われる建造物が世界には幾つもあるのよ。」

「只の廃城って言う可能性は?」

「平地に城が逆さまになって崩れていたり湖のど真ん中に城の先端が覗いていても?」


確かにソレなら只の廃城には見えないか。


「しかしどうしたもんかな」

「え?降りないの?」

「え?」


コイツ今どういう状況か把握してるのか?


「こんな凄いものを見つけたのよ、大発見じゃない!!」

「君、自分が何のために急いでいるのか覚えてる?」


ハっとした表情を浮かべて固まるフィリッカ、コイツ完全に妹の事忘れてたな。

とはいえこんな光景を目にしたらそうなるのもしょうがないか。


浮島に見蕩れるフィリッカを尻目に俺は耳に付けたイヤリング型通信機を起動させる。


『師匠、聞こえますか?』


しかし通信は通じずノイズが走るばかりだった。

コレが地球の携帯電話なら通信圏外と気にすることも無いのだろうが俺はこの事実に驚愕していた。

なぜなら師匠の作ったこの通信機は各地にある中継機を通じて世界中から師匠に通信が出来るのだ。

その通信機が通じないと言うことは原因は故障で無い限り外的要因にある可能性が高い。

つまり目の前の浮島だ。

この島は生きている、ただ浮遊機構が機能していると言う意味ではなく通信妨害と言う防衛機能が現役で稼動しているのだ。

コレは不味い、この城が古代の大戦期に作られた物で無くとも通信妨害ができると言うことは戦争を考慮した防衛機能があると言うことだ。

寧ろ未だに撃墜されていないのが不思議なくらいだ。


後で再調査に来るためにマーカーでも打ち込んでおこうかと思ったが下手な行動は敵対行為と判断される可能性が高いな。

ここは相手の気が変わらないうちにおとなしく帰らせてもらおうと思ったその時だった。


『・・・れ・・・ますか・・・』


「!」

「何?どうしたの?」


ノイズの聞き違いか?


『誰・・・居ます・・・』


聞き違いじゃない。


『そこに誰か居ますか?』


これはチューニングだ、こちらの通信機の魔力波を感知しこちらの波長にあわせてチャンネルに割り込みをかけてきたのか。


『そこの浮城の住人か?』

『っ!・・・ああ、ようやく来られたのですね・・・』


ようやく?誰かと間違えているのか?

それよりもコイツは何者だ?まさか古代文明の人間の生き残り?

正体がわからない以上慎重に対応しないといけないな。


『こちらはクアドリカ=ベルフェリオ=ロンブルの使いだ』


試しに師匠の名前を出してみる。


『ロンブル卿の使いの方でしたか、王都の使いの方は一緒ではないのですか?』

『それについては直接説明したい、着陸の許可を求む』

『承知いたしました、2番ゲートをお使いください。』


相手の言葉に合わせて浮島の一つにある建物が動きだす。


「ちょっ!なんか動き出したわよ!!」

「向こうから魔法でコンタクトがあった」

「人が居るの!!」

「人間とは限らないけどね」

「どういうことよ?」


フィリッカが不安そうな顔で聞いてくる。


「この城は明らかに古代魔法文明の物だ、古代魔法文明が反映していたのは数千年前。

つまりこれから会う奴は当時の人間の子孫かその当時のホムンクルスか何かだろう。」

「会話は通じたんでしょ?」

「挨拶くらいはな、だが遺跡が生きているのに数千年間沈黙を守っていたということは地上の状況を知らないという可能性が高い」

「知らないと何か問題があるの?」

「うっかり古代文明が滅びたなんて言ったら逆上して何されるか判らないぞ」


現実を受け入れられないだけならいいが俺達が敵のスパイだと思われるのは困る。

そうなったら確実に命は無いだろう。


「とりあえず向こうの誘導にしたがって降りる」

「う、うん」


飛翔機を飛行港とでも呼ぶべき区画に降ろす。

飛翔機が降りた直後にアームが伸びてきて機体を固定する。


「きゃっ!」

「大丈夫だ、只の固定用のアームだ」

「そ、そう」


これから会う得体の知れない相手が不安なのだろう、フィリッカの様子が硬い。


「安心しろ、お前は俺が守ってやるから」

「ッ!!・・・うん・・・」


俯き消え入りそうな声で返事をしてくる。

なんか顔が赤いな、もしかして強靭薬の効きが悪かったのか?


「調子悪いのか?」

「えっ、ううん、そういうのじゃないから!うん、大丈夫」

「ならいいけど、具合が悪かったらすぐ言えよ」

「うん」


飛翔機から降りた俺達は周囲を見回す。

正直凄い光景だ、周囲には幾つもの飛翔機や予備部品、整備機材が置いてある。

ここの飛翔機1機でも相当な財産になるな。


「この飛翔機だけでも一財産よね」


同じ事を考えている奴が居た。


「触るなよ、窃盗犯にはされたくないからな」


『触れた位では怒ったりしませんよ』


フィリッカに注意した直後横から返事が来た。


「「!?」」


驚いて声のした方向を見るとそこには銀の髪の少女が立っていた。

驚くほど整った容姿は美しいがどちらかといえば作り物めいた美しさだ、凄く出来の良い人形を見ているようだ。


「君がこの施設の管理者かい?」

「はい、私はこの空中研究機関エウラチカの管理運営を任されている自立思考管理装置888号です」

「研究者達は?」

「職員の皆様はカルバニアとの戦争準備の為、軍務施設へと出向されました、私は所長に命じられこの施設に職員の方が戻られるまでの間の管理責任者に命じられました」

「軍務施設というのは戦争関係の研究施設の事?」

「はい、その通りです。ですがなぜそのような当然の質問を?」


まずい、ちょっと突っ込みすぎた。


「君が管理を任されてから時間が経ちすぎている、正常に機能しているかの確認だよ」

「そうでしたか、現在自己管理プログラムは正常に作動中です」

「ソレは結構だね、この後も確認で当たり前の事を聞くからよろしくね」

「承知いたしました」


「ねぇ」


フィリッカが俺の裾を引っ張り話しかけてくる。


「どうした?」

「何話しているかさっぱり判らないんだけど」

「・・・あ!」


そうだった、888号との会話で使っていたのは古代魔法帝国の言語だ、俺は言語読解のスペルで会話していたがフィリッカは古代帝国語を知らないのだろう。


「挨拶だよ、彼女はこの施設の管理用の人工生命体だ、888号というらしい」

「番号じゃない」


たしかに番号で呼ぶのも気が引けるな。


「888号」

「なんでしょうか」

「番号だと味気ないから名前を教えてもらってもいいかな」

「名前ですか」

「うん」

「申し訳ありません、私は施設管理用の素体ですので人間の方のような名前はございません」


ああ、作業用機械に人間の名前を付けるようなものか。

確かにそういうことをする人間は普通居ないよな。

うん、それなら。


「888号、これから君の事はミヤと呼んで良いかい?」

「ミヤ・・・それは私の名前でしょうか?」

「888号じゃ味気ないでしょう?」

「ミヤ・・・ミヤ・・・」


888号は名前を何度もつぶやいている。


「えーと、嫌なら止めても」


「ありがたく使わせていただきます!!」


こちらの訂正発言を食い気味にさえぎって提案を受け入れてくれる888号。

ちなみに名前は888=8が3つ=ミ(3)ヤ(8)だ、シンプルなほうが覚えやすいしね。


「じゃあよろしくミヤ、おれはクラフタ=クレイ=マエスタ、こっちはフィリッカ=ミンティ=ルジオス」

「はい!よろしくお願いいたします、クラフタ様、フィリッカ様」

「あのー・・・」

「今自己紹介をしたところ、彼女はこれからミヤと呼ぶことになったから」

「何話してるか判んないから詰まんないんですけど」

「あー」


どうしたもんかな。


「どうかされましたか?」

「いや彼女異国の人間だから君と言葉が通じなくてさ」

「共通語をお使いになればよろしいのでは?」


あー古代の共通言語ねー。地球で言う英語みたいなもんだな。


「いや、共通語を使わない所の人達でね」

「それでしたらこちらの入館許可証の翻訳機能で会話が可能ですが」

「ああ、それじゃあ頼めるかな」

「それが・・・」

「何か不都合でも?」

「はい、入館許可をするには上三級以内の職員の方の許可が必要なんです。


うむむむ、なんかよくわからんけどえらい人の許可が要るってことだよな。

どうするかな。


「あのさ、この研究施設の周辺での通信を阻害する機械が動いているよね」

「はい、現在は戦時中ですので機密保護のためステルス状態で活動中です」


やっぱりか、まずはここから説得しないとなぁ。


「あのさ、ロンブル卿に連絡がとりたいから通信妨害を一時解除してほしいんだよ」

「ですが今は戦時中ですので」


きっと上の許可が居るんだろうなぁ。


「ミヤ、君に伝えたいことがある」

「私にですか?」

「ああ、まず第一にだね」


さぁ説得開始だ。


「戦争はすでに終わっている」

「え?」

「カルバニアとの戦争はもう終わったんだ」

「で、ですがそれなら何故職員の方は帰ってこられないのですか?まさかわが国はカルバニアに敗北を?」

「いや、カルバニアに敗北したのなら俺がここに来ることは無い」

「では」


ミヤが安堵したように次の言葉を促す。


「勝利も敗北も無かった、両国は持てる技術の全てを費やして戦いを続け共倒れになってしまったんだ。

その所為で多くの人命が失われ繁栄を誇った王国の知識もその大半が失われた。

人々は自力で空に上がることも出来なくなり地べたを這いずり回る生活を送っている」


そう師匠達には習った、それ故戦争の無常を知った師匠達は隠者のような生活を送っているのだ。


「そ、そんな・・・」


共倒れ、ある意味敗北よりもキツい内容だがこのまま畳み掛ける。

考える前に新しい価値観を植えつける。


「安心しろ、全てが失われたわけじゃない。

王国の血と技術を受け継いだもの達が人々を導き今の世界を支えている。

ロンブル卿を始めとした王国の方たちも存命だ」

「そうなのですか」


安心したように息を吐くミヤ、思いっきり落とした跡にちょっと持ち上げる。

説得の基本だ。・・・・洗脳じゃないぞ。


「だが君としても状況の確認が取れなければ勝手な行動は取れないだろう、

そこでロンブル卿とコンタクトを取り君に地上の状況を理解してもらう。

非常時のマニュアルで外部との連絡が許される条項は無いかい?」

「少々お待ちください、マニュアルの検索を行います。」


目をつぶり考え込むミヤ。


「ねぇ、今どうなってるの?」


小さな声で聞いてくるフィリッカ」


「フィリッカも会話に参加できる道具があるんだが使用には上司の許可が居るんだ、だから特例で道具を貸し出してもらう方法が無いか調べてもらっている」

「異国語会話のリング?」

「それの高性能版」

「凄い欲しいんですけど」

「貸してもらうだけだよ」


「検索終了、8条25項に上三級以内の責任者が存在しない状況で緊急性の高い案件がある場合ステルス機能の一部の解除が許可されます。

本案件は王国の安全および職員の安否確認を行う行為です、きわめて緊急性が高いと判断されます。」


どうやら答えが出たようだ。


「よって通信機能の阻害を一時的に解除する事が許可されます」

「じゃあ早速頼む」

『-アクセス-通信機能接続、ジャマー解除します』

「通信が可能となりました」


さっそく師匠に通信を試みる。



『師匠?聞こえますか師匠』

『クー君!!クー君なの!?』


イキナリでかい声で返事が来た。


『姉さん?』

『そうよ、貴方のお姉ちゃんですよ!!心配したんだから』


「うわっ、ヴィクトリカ、血を噴出すのは止めなさい!!」とか後ろで聞こえるんですが。


『えーとゴメン。っていうか城を出てからまだ1日しか経ってないじゃないか』

『だってお姉ちゃん心配したんだから!!ちゃんと連絡してくれないとお姉ちゃん夜も眠れないわ!!』


アンデッドが夜寝てどうするんですか。


『ゴメンゴメン、それよりも大事な話があるから師匠を呼んでくれる?』

『どの師匠?』

『えーととりあえずクアドリカ師匠で』


「お姉さんと仲がよろしいのですね」

「ちょっと過保護だけどね」

「ふふっ」


ヴィクトリカ姉さんは師匠達がアンデッドになってから仕えるようになったらしい。

数百年前に師匠達を恐れた人間達によって襲われ死んでしまったのだが恩義ある師匠達に恩を返す前に死んでしまったことが心残りとなってアンデッドになってしまったらしい。

そんなわけで数千年を生きた師匠達と一緒に過ごしてきたわけだが、いかんせん師匠たちと比べて生きてきた時間の桁が違う、師匠達からはいつまでたっても子供扱いなのが不満だったらしい。

そんなところに俺が半死人となって運び込まれてきたわけだ。しかも治療の副作用で子供の姿に若返った、さらに半分アンデッドに近い存在になるというおまけで。

こうなると姉さん大喜び、俺が師匠達の弟子になったことで弟が出来たと喜び俺を猫かわいがりときたもんだ。

まぁ実際数百年を生きたアンデッドにとってたかが20年程度しか生きていないアンデッドもどきの俺は子ども扱いというわけで。


『やぁクラフタ君、どうしたんだい?もしかしてホームシックかい?』

『いやいやいや、そうではなくてですね、ちょっと空の上で空中研究機関エウラチカとか言う建造物を発見しまして』

『エウラチカ!また懐かしい名前だな』

『ん?なんかなつかしい名前が出てきたな』

『まだ稼動していたのかい?』


なんか外野が増えた。


『そこの管理者と話をしたんですが、現在の地上の事を知らないらしくてちょっと話をしてあげてくれませんか?』

『管理者というのは自立思考管理装置の事かい?』

『888号と名乗っていました』

『わかった、代わってくれ』


俺はミヤに目配せする。


『お初にお目にかかりますロンブル卿、自立思考管理装置888号です。ミヤとお呼びください』

『ミヤ?』

『クラフタ様に名づけていただきました』

『そうか、良い名前だね』


師匠に褒められてミヤが目を細める、嬉しいようだ。


『ありがとうございます』

『それで君は何を聞きたいんだい』

『身元確認の為の住民コードと王国の現在の状況の説明を求めます。クラフタ様より王国はカルバニアの戦争で両国共に崩壊したと伺いました』

『コードを送ったよ。そして王国の崩壊の件は事実だ、王国はカルバニアとの決戦で王城ごと崩壊した。カルバニアも同様に。

結局勝者は無く犠牲だけが増えた戦いとなった』

『・・・』


無言で俯くミヤ、無理も無い、数千年待ってやっと来た待ち人から祖国の滅亡を聞かされたのだから。


『それではこの研究所の職員の方々も?』

『私達の知っている限りは』

『・・・』


声をかけづらいな。

どうやってフォローしたもんかと悩んでいたがその必要は無かった。


『おーい、888号だよな?』

『は、はい。どちら様でしょうか?』

『俺だよ俺!!パルディノ様ですよ!!』

『パルディノ副所長ですか!!ご無事だったのですか!?』

『いやー、あんまりご無事じゃなくてね、色々会ってリッチになっちゃった」


オレオレ詐欺かよ、てへっとかいう擬音が飛びそうな口調で言ってのけるパルディノ師匠、超うざいマジ殴りてぇ。


『所長は、他の方々は無事なのですか?』

『死んだよ、スパーンと戦争で、全員ダァーイ」

『ちょっと師匠!!』


何でこんな場面でふざけるかなこの人は。


『それでは私は、この研究所の意義は』

『さぁ』


さぁじゃねぇよ副所長。


『私はどうすればよろしいのですか副所長』

『好きにすれば?』

『では再び研究所にお戻りいただくことは?』

『そっちに行くのめんどーい』


マジ最悪だこの人。


『師匠!いい加減にしてくださいよ、彼女困ってるじゃないですか!!』

『んーそういってもなぁ、必要な機材はこっちにあるし、いまさらそっちに戻る必要も無いのよねー』

『それでも責任者でしょうに』

『副所長で所長じゃないもん』

『所長がいないから実質所長でしょう』

『うーん、あ!そうだ』


師匠が何かを思いついたらしい、正直凄く嫌な予感がする。

こういうときのパルディノ師匠はたいてい碌なことを言わない。


『888号』


『ミヤです、クラフタ様に名付けていただきました。』

『ほう、そんじゃミヤ』


師匠が一呼吸入れる、過去数度あったいつものパターンだ。


『戦時暫定上1級管理者権限で命ずる。我が弟子クラフタ=クレイ=マエスタを研究所所長に任命する。

以後彼に従い支え尽くせ』


「は?・・・はぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

「うわっ!え?な、何?」



思わず声が出てしまたがそれ所ではない。


『どういうつもりですか師匠!!』

『いや俺そっちに戻るつもりないしならお前が代わりに管理するのが筋だろ?』

『そんな筋ありませんよ』

『なぁクラフタ』

『・・・なんですか?』


『弟子は師に学ぶ、学ぶために弟子は師に尽くす。だから管理業務を代行しろ俺の代わりに。はい論破!!あーとまーかせた。あ、所長に任命したから施設は実質お前のモンだから好きに使っていいぞ。じゃ』

『ししょーーー!!』

『おかけになった念話信号は現在使われておりません、もう一度よくお確かめになってからおかけ直しください。つーつーつー』

『思いっきりアンタの声だろーがー!!!!』


ノイズが広がる、マジ切りやがったあのアホ師匠。


「ねぇ、どうしたの急に叫んだり黙ったり」


フィリッカがそろそろ我慢できないといった雰囲気で聞いてくる。


「いや、何というか」

「クラフタ様」

「ん、何?」


ミヤが恭しく話しかけてくる。


「現時刻を持ってコルディノ副所長の上位権限によりクラフタ=クレイ=マエスタ様を本研究施設の所長に登録いたしました、何なりとご命令を」


そういって三つ指そろえそうな態度で頭を下げてくる。


「ちょっとー」

「フィリッカ」

「何、やっと説明してくれる気になったの?」


俺は大きく息を吸ってからフィリッカに言った。

「俺」


「この浮島の主に登録されちゃった」


俺の発言にフィリッカは反応せずただ息を大きく吸った。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


フィリッカの発した声は浮島全体に響き渡りそうな、ソレはソレはとても大きな声でした。

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