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少女達の道筋 SIDEアリス

 やー、どーもどーも。皆の魔王ササガワ=アリスちゃんだよー。

 誰だ! 出番の少ない産卵系出落ち魔王っつったヤツ。後で体育館裏な。


 私は今クラフタ君のお願いでヴィクツ帝国にデカいのぶちかます為に、水晶の町に戻ってきています。

 え? 何をするのかって? そりゃー勿論料理のためですよ。

 クラフタ君が珍しくポカやったからその尻拭いってヤツ。

 いや彼って結構ポカしてるよね。功績のほうがデカイから皆スルーしてるけどあれ結構なうっかりサンだよ。

 まぁ、お姉さんとしてはそんな弟分のフォローをしてあげるのも大人の役目かなって思ってる訳。

 だって今の内に貸しを作っておけば後々役に立つでしょ?

 どうやって貸しを作るのかって? そんなの簡単。

 料理を作るだけよ。

 幸いこの町ではすでに私達の顔って言うか料理が知られてるわ。

 クラフタ君の開いたメイド喫茶のお陰でね。

 だから短期間の開店許可を貰った後、そこそこの立地のお店を相場以上の価格で貸し店舗として借りたの。

 え? そんな事出来るのかって?

 それも簡単。お店の店長には私の考案した料理のレシピをいくつか現物とセットで譲ってあげたら速攻快諾してくれたわ。

 だって魔王が考案したレシピよ。人間が食べたら病みつきになるに決まってるじゃない。 

 そんな訳であっさりと私の異世界支店は開店しました。


 ◆


 予想通り私の店は大繁盛だった。

 だって私の料理スキルの等級は魔王級なんだもの、人間がどうあがいても私の料理には抵抗なんて出来ないわ。

 はじめの内は平民相手に手加減した料理を提供していき、平民の食事を面白がる酔狂な貴族がやってきたらちょっとだけ本気を見せる。

 そうすれば雪だるま式に貴族達がやってきて私の料理の虜になるって訳。

 ま、やってる事はクラフタ君の領地にある魔王亭本舗とおんなじなんだけどね。

 実はルジオス王国の貴族の大半は私の料理のリピーターなのよ。

 今じゃ食べた事の無い人の方が少ないんじゃないかしら?

 ふふふ、私が料理であの国を支配する日も近いわね。


 っと、横道にそれたわ。

 そういう訳で、私のお店にはこの国の貴族達がひっきりなしに料理を食べにやってきている。

 正直言ってクラフタ君から借りてきた元奴隷の女の子達を使ってもギリギリの回転率だわ。

 でも、もう少しで第一目標が達成できるからそれまで皆頑張ってね。


 ◆


 今日はお店はお休み。

 ウチは忙しいからちゃんと休みを取らないと店員が持たないのよね。

 いくらミヤが鍛えたとはいえ、貴族の女の子も居るから後々の事を考えて労働環境はちゃんとしておかないといけないのよね。

 ……というのは建前で、そろそろマエスタ領に戻らないといけないのよね。

 まおーていは向こうの店員に任せてあるから良いんだけど。

 魔王亭の方は私が直接作らないと駄目なのが面倒な所だわ。旅行にも行けやしない。

 で、一番面倒なのは……卵なのよねー。

 ……いやほら、私魔王じゃん。

 魔王だから魔物を生む義務があるのよ。っていうか強制。

 ほんっと混沌の奴碌な事しないわー。

 定期的に魔物を生まなくちゃいけないから、マエスタ領地下に広がる迷宮に行かないと行けないのよね。

 え? どうやって魔物を産むのかって?

 黙秘権を行使致します。

 ぜってー教えねぇ!!


 あ、そうそう。私の産んだ魔物だけど、今はもう私の言う事を何でも聞く様になってるの。

 その方法? それは勿論料理よ!

 私の料理を食べた魔物達はその美味しさにひれ伏し私の言う事に絶対服従する様になった。

 さっすが私ね!


 ◆


 とうとうこの時が来たわ。

 私の前には王都からの使者が立っている。

 彼の主は私の料理の評判を聞いて是非食べてみたいから連れて来いって命令したそうよ。

 勿論私は快諾したわ。

 だってその為に私はお店を開いたのだもの。

 お店は元のオーナーに任せて私達はすぐに王都へ向かった。

 オーナーは私の後を継いでホクホク気分だろうけど、魔王スキルが無い彼に私の料理は5%も再現できないでしょうね。

 それでも初めて食べる人には十分評価される物だと思うから、自分の料理に昇華できるまで頑張りなさい。


 ◆


 王都で貴族達を相手に料理を振舞い続けた私は、とうとう王族に料理を振舞う機会にめぐり合った。

 その最中で王族毒殺未遂事件や魔王プロポーズ事件、果ては第一王子と第二王子が血で血を争う後継者戦争を行いそうになったんだけど、そこら辺も私の料理スキルで黙らせてやったわ。

 いや本当料理スキルヤバすぎだわ。

 水組成変更も魔王級のお陰で超絶美味しい水に変身して水を飲んだだけで人を泣かせる位なんだもの。


 うふふふふふふふふふふふふふっ私の時代がきたぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


 ゲフンゲフン、えーと……ああそうそう。でね、私の料理で改心した王子達は和解して文官肌の第二王子が王様になって、軍人の第一王子が将軍になったの。

 んで、将来生まれる二人の子供を結婚させて国を継がせるって事で話がついたわ。

 ここら辺のトラブルで初めて分かったんだけど、どうもこの国の王様は毒殺されたみたいなのよね。

 犯人はまだ分かってないみたいだけど、王様の死因は今は使われていない珍しい毒が原因だったそうよ。

 ここら辺はミヤの情報ね。初めは病死と思われていたみたいなんだけど、なーんか気になったから彼女に王様の死因を伝えたのよ。

 そしたらそれは絶滅した魔物の毒が原因だって教えてくれたの。

 でもそれを伝えたのはマズったわね。

 それを知った王子達が王様を殺した犯人を捕まえろー!! って大騒ぎ。

 元々国が乱れたのも王様が殺されたのが原因な訳だからその気持ちも分かるわー。

 けど他国と戦争とかになったら困るから抑えるように言っておいたわ。

 何しろあの二人はもう私の料理の虜だもの。

 私がお願いすれば大抵の事は聞いてくれる様になったわ。

 くくくくくっ、この国もチョロイわね。


 ◆


 はーい、私は今エルーカ国の周辺にある国を巡り歩いてます。

 あ、エルーカ国ってのは水晶の町があった国の事ね。

 王子達、ううん、第二王子の戴冠式で、私は総料理長代理として戴冠パーティの食事を任されたの。

 で、戴冠式に参加した近隣国のお偉いさんが私の料理に感動して、ぜひとも自分の国に来て欲しいってお願いされちゃったんです。

 計画通りだけどね!

 王子達は別れを惜しんでくれたけど、また来るって約束したら納得してくれたわ。

 王妃にはならんけどな!


 こうして帝国周辺の国家を渡り歩いた私は、各国の貴族とコネを築いて回った。

 それもコレも帝国に一発ぶちかます為。

 そしてクラフタ君に貸しを作る為!

 まずミヤのお店の支店を各国に作る為の口利きをして、それと同時に物資の買占めと帝国への輸出についての計画を持ちかけたの。

 この辺りの細かい打ち合わせはミヤの部下の子達がやったから私は知らないんだけどね。 

 っつー訳で私は見事役目を果たしミヤと一緒に帝国包囲網を完成させたのでーす! 褒めろ、マジ褒めろ。

 今や帝国は虫の息。突いたら崩れる砂の城って訳なのです。

 今のセリフかっこよかった!

 後はクラフタ君に任せて私は異世界観光を楽しむのだー!

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